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諦めが生んだ“俺は俺でしかない”決意表明
ソロ最高傑作『MY LIFE IS MY LIFE』にコロチキの『さぁ』騒動
SURFACE再結成の行方までをとことんぶっちゃける!(笑)
椎名慶治インタビュー&動画コメント

 「いやぁ~もう“何が起こるか分かんないね”っていう言葉を、多分100回ぐらい言ってますよ(笑)」と本人が漏らすのも納得か。昨年、『キングオブコント2015』で優勝したお笑いコンビ・コロコロチキチキペッパーズが、その決勝ネタでSURFACEの『さぁ』(‘98)を使用し、SNSを大いに沸かせたまさかの大騒動も記憶に新しい(笑)、椎名慶治の3rdアルバム『MY LIFE IS MY LIFE』が届いた。’10年のSURFACE解散直後にスタートさせたソロ活動5周年イヤー真っ只中に制作された3年ぶりのフルアルバムとなる同作は、自身が築いたSURFACEという大きなキャリアに鼓舞され翻弄され続けた時代をブレイクスルーし、“諦め”という名の覚悟が自身の個性と才能をフルドライブさせた最高傑作と言える1枚だ。フォロワーであるUNISON SQUARE GARDENの田淵智也(b)のペンによる『人生スパイス–go for broke-』のゴージャスな再録ほか、この3年の間に生まれた真骨頂と深化の応酬は、この歌い手の音楽人生が再び音を立てて動き出したことを証明してくれている。“俺は俺だよ!”…1stソロライブ『RABBIT-MAN』(‘11)の最後のMCで発せられた自身の言葉に長い旅を経て帰還した椎名慶治に、コロチキの『さぁ』騒動から衝撃のSURFACE再結成の行方まで(!?)、とことん語ってもらったインタビュー。いや~こんなにタブーがない人、いないです(笑)。

 
 
俺が若いヤツらを研究して吸収しようとしても
変わらない気がしたんですよね
もう“俺は俺だなぁ”ってすごく感じてしまった
 
 
――’16年も早々に3rdアルバム『MY LIFE IS MY LIFE』がリリースされましたけど、そのキャンペーンで飛び回ってる中、キャリア18年のアーティストが新幹線で寝過ごし、ラジオの生出演に間に合わないという事件が(笑)。
 
「初めてだったなぁ~(苦笑)。名古屋に着くちょっと前ぐらいにクッと寝落ちしたの(笑)。肩をポンポンッて叩かれて、“あの~その席、僕の席なんですけど”って言われて、“俺はちゃんと確認して座ってるし、いやいや俺の席だよ!”って思ったけど、とりあえず荷物を持ってそこをどいたら“プシュー”って扉が閉まる音が聞こえて(笑)。そのまま京都まで行って降りた後にラジオ局から電話がかかってきて、“この後、本番で番組とつなぐので、どこか静かなところで待機しててください!”って言われて、本当に申し訳ないけど多目的トイレをちょっとだけお借りして(笑)。しょっちゅう駅のアナウンスがあるから、なるべくスピーカーから離れた隅の方に座ってずーっと話してるっていう」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「“椎名さん、何か声が遠くないですか?”、“いやいやそんなことないですよ~”なんて言いながら、どうにか(笑)。ご迷惑をおかけしました…」
 
――何ででしょう? 疲れてたんですかね?
 
「疲れてんじゃないですか? 人生に」
 
(一同爆笑)
 
「今年は1月2日からずーっとバタバタ仕事してたし、本厄だし、音楽には全然疲れてないけど、人生にちょっと疲れてるんでしょうねぇ(笑)。気を付けようって」
 
――そんなドタバタの新年でしたけど、無事にアルバムもリリースされて。とは言え、この3年はリリースもライブも途絶えたわけじゃないですもんね。
 
「いろんな形で5~6枚出してますからね。DVDとかミニアルバムとかセルフカバーアルバムだったりとか。全然休んでないんだけどフルアルバムのナンバリングってやっぱり大事で、食い付きが違うというか。こっちもどっちかって言うと“気合い”よりも“気負い”の方が先に出ちゃって、とにかく最初は空回る(笑)。自分の過去の作品を聴いて過ごす1~2週間があって、それこそライブDVDも観るし、SURFACE時代のCDも聴く。家で“あのSURFACEの曲聴きてぇな~”って思ったら持ってなかったりするんで(笑)、音源がないときはYouTubeで観るし(笑)」
 
――椎名さんは周りのシーンを見渡すというよりは、常に今までの自分はどうだったのか、という意識ですよね。
 
「でもそれは、みんながそれぞれ素晴らしいから。その個性を貰おうとしたところで、それはその人の個性=パクリだから、そんなの要らないなぁって。だからこそ、“自分の中にあるものって何なんだろう?”って模索した期間が今回はありましたね。’14年に(ソロ以降の楽曲のみで構成した)『HENSEIKI』っていうコンセプトライブをやって、そのときに作ったのが『フラストレーションNo.5』(M-5)。その後、ミニアルバム『I & key EN II』(‘14)で2本のツアーをやったんですけど、そこで『キミノモンスター☆』(M-6)と『シャクシャク』(M-10)が生まれた。この3曲はライブサウンドだったりロックな部分が俺っぽい。じゃあそれ以外でとなると、まずバラードが絶対的に足りてないんで、『言いたくて言えなかった』(M-3)と『絵空事に』(M-8)を作って。それでちょっと肩の荷が降りたかな。あとは、いつも完成してからタイトルを付けてたせいでギリギリまで(仮)で告知していたアルバムタイトルを、今回はもうちょっと事前に、ビシッと出していきたいのもあって。今の時代に良くも悪くも流されるわけでもなく結局は“自分は自分”という意味と、逆に言えば“もう、俺は俺だよ! 文句あるか!!”っていう開き直りと(笑)。どっちの意味でも『MY LIFE IS MY LIFE』がいいんじゃないかなって提案して。だから、どの曲も俯瞰で見て“椎名っぽいかどうか”が判断基準というか」
 
――ここにきて、“俺は俺でしかない”と改めて思えたのは何なんでしょうね。
 
「40歳になったことですよね。そして、いい意味での“諦め”ですよね。結局、今売れてる人たちと同じ世代に戻れるわけじゃないし、逆に’98年にSURFACEがデビューした頃は、自分たちも率先して新しいことをやってたと思うんですよね。だからか今では、自分で言うのはおこがましいですけど、“何かSURFACEっぽくない?”っていう曲が世の中にも少しあったりするから。ってことはもう、これが1つの個性なんじゃないかと。俺が若いヤツらを研究して吸収しようとしても、変わらない気がしたんですよね。結局、“何かSURFACEっぽいね”って言われておしまいなんだろうなって(笑)。そこで、もう“俺は俺だなぁ”ってすごく感じてしまった」
 
――でも、“諦め”がここまで強いアルバムを作るんですね。
 
「ね。自分でも思いました。諦めてる割にはね(笑)」
 
 
いやぁ~もう“何が起こるか分かんないね”っていう言葉を
多分100回ぐらい言ってますよ(笑)
 
 
――ここ数年では最も精神状態良好な感じというか、生命力のある作品ですよね。
 
「フルアルバムって、出た後の結果次第では次がないっていうのを、SURFACEがデビューしてから解散するまでの間に、相当植え付けられちゃってるところがあって。昔はレコード会社も事務所もデカかったからね(笑)。アルバム=音楽活動が継続出来るか/終わるか。だから、2ndソロアルバムの『S』(‘13)を出してからは正直、結果から逃げてたところもあったと思う。でも、自分の中で“これ以上出来ない”っていうぐらいベストを尽くそう、“これで終わってもいいや”ぐらいの気持ちで作ったらこうなったっていう」
 
――それが、ある種の“諦め”=“開き直り”ですよね。
 
「そうそう! 本当にそう!」
 
――特に『S』の頃は、インタビューしてても分かるぐらい身も心も憔悴し切ってる状態でしたもんね(笑)。バイオリズムで言ったら、『S』は下がり切ってるときに何とか踏ん張って作ったようなアルバム。『MY LIFE IS MY LIFE』は逆に、上がっていく中で作られたアルバムだなぁって、聴いていてすごく思います。
 
「言われてみると、まさにそんな気がするわ(笑)」
 
――それもあってか、ここにきてコロチキ(=コロコロチキチキペッパーズ)が『キングオブコント2015』で優勝した際に、決勝ネタでSURFACEの『さぁ』(‘98)を使って一躍話題になるミラクルも起きたわけで(笑)。
 
「いやぁ~もう“何が起こるか分かんないね”っていう言葉を、多分100回ぐらい言ってますよ(笑)。iTunesのランキングでも100位以内にずーっといたりとか、いまだに継続して浸透してる感じもあって。この前インストアライブをやったときも、女子高生が“さぁ”って歌った瞬間に“キャーッ!”って言うの(笑)。あれってもう18年前の曲だから、その子たちは0歳か、下手すると生まれてない。今、俺が獲得したい第2世代が“キャーッ”て言ってくれてるんで、このチャンスを逃す手はないなと(笑)。だから、コロチキと一緒にテレビにも出たり、コロチキの大阪のワンマンライブにゲストで出たりもしてね。そもそもコロチキの西野くんが小っちゃな頃に『さぁ』を知って好きでいてくれて、コントを作ってるときに“あの曲があったじゃないか”って融合したみたいですね(笑)」
 
――そう考えたら、音楽ってすごいですね。どこでハネるか本当に分からない。
 
「リバイバルヒットの話は聞くけど、こういうことを自分が経験するとは、まさか自分が巻き込まれるとは本当に思ってなかったから。しかも俺、その番組を観てなくて、Twitterを開こうと思ったらコメント数が多過ぎて開かなくなっちゃってて。“え? 何が起きてんだ!?”って。そこからですよ」
 
――それってアルバム制作の真っ只中ですよね? この出来事って、レコーディングの後半戦に影響を与えました?
 
「ありましたね~!(笑) スケジュール管理的な問題も相当あって」
 
マネージャーS氏「例えば、コロチキさんの大阪のライブに出たスケジュールって、レコーディングを夜中までやった次の日だったり」
 
――あと、あざとく言えば、『さぁ』をボーナストラックで入れたりしてもいいわけじゃないですか。
 
「それは考えました。『Phase』のセルフカバー盤(‘13)を出してなかったら、100%入れてましたよ(笑)。でも、やっぱり近いタイミングで出してしまってるから、そのことを知ってもらうように告知しましたけどね」
 
――ぴあ関西版WEBも、当時の『Phase』のインタビュー記事を、ちゃっかり乗っかりツイートしましたから(笑)。
 
「あれはありがたかったです! 俺もそれをリツイートしたりね(笑)」
 
――子供の頃その曲を聴いていた人がコントで使ったり、まだ生まれていなかった世代が反応したり、過去に自分が作ったある種の財産が、こうやって掘り起こされることもあるんですね。
 
「ね。『さぁ』がこのタイミングで5万ダウンロードぐらいされて、それが実証されちゃってるんで。YouTubeとか無料でだったら、その何倍もの人が聴いているわけですから。やっぱり音楽っておもしろいなぁってつくづく感じながら、レコーディングしてましたね」
 
 
えぐってますよね、ちゃんと自分のことを
 
 
――今作では、例えば『人生スパイス–go for broke-(Horn Mix)』(M-2)はホーンが加わってアレンジも華やかになって、再録でもちゃんと意義がある形態になっていますね。
 



「やっぱりそのまんま入れるのはイヤだなって。これはUNISON SQUARE GARDENの田淵(b)が書き下ろしてくれたSURFACEオマージュみたいな曲ですけど、最初は“お前これ、『それじゃあバイバイ』(‘99)じゃん!”、“いや~ちょっと寄せ過ぎですかね?”とか言ってて(笑)。でも、田淵が椎名慶治というフィルターを通したSURFACEのアンサーソングはファンもおもしろいと思うだろうなと。でも、そのときのアレンジの方向性はバンドサウンドだから(※上記YouTube)、ホーンセクションは入ってなかった。だけど、当時のSURFACEの1stアルバムはホーンがバンバン鳴ってるイメージがあったし、“もう1回ホーンセクションを入れて録り直したい”と直談判して。だから余計にSURFACEを感じてもらえるんじゃないかなぁと」
 
――『絵空事に』には生のストリングスも入ってますしね。この曲の“君が飲んでた あのなんとかっていう お茶を”という歌詞で、明言せずに“なんとか”のままでいったラインがすごいなと思いました。でも、日常生活って案外そうじゃないですか。具体名があった方が物語としてはハマるけど、実際はパッケージの絵面は覚えてても。
 
「名前までハッキリ覚えてないことの方が多いですよね? 『MY LIFE IS MY LIFE』(M-7)と『絵空事に』の歌詞は、SURFACEの1stから3rdアルバムまで一緒に書いて、『I & key EN II』(‘14)で久々に参加してもらった、俺の小学校1年生からの付き合いの野口圭と共作して。『絵空事に』は自分でも、いい歌詞、いい曲になったなぁと」
 



――タイトル曲の『MY LIFE IS MY LIFE』もね、それこそさっき言った“開き直り”であったり、開き直りからくる“覚悟”であったり。“まだ終わらせない”とか“まだ消せやしない”っていう執念みたいなフレーズって、やっぱり自分に今エネルギーがないと言えないと思うんで。
 
「本当にそうだと思います。覚悟を決めて、命を削った曲を久しぶりに書いたかなと。相当魂を込めました。えぐってますよね、ちゃんと自分のことを」
 
――とは言え、この曲はアレンジに苦労したようで、“いっせーのーで”でやっての4名併記のクレジットかと思いきや、みんなの手を回り回っての4人なんですね。
 
「やっぱり聴く人はこのタイトル曲を、“椎名慶治が今回伝えたかったメッセージはこれなんだ”って、絶対に思ってしまう。共同プロデューサーでレキシのベースを弾いてる山口寛雄もそれが頭にあるから、アレンジが上がってきてもなかなか納得がいかない。それをずーっと繰り返して、“次がダメだったらもう俺が自分でアレンジするわ”って言い出した頃に、(磯貝)サイモンが“ちょっと時間が調節できそうなんで手伝います!”と言ってくれて。サイモンから上がってきたアレンジを聴いて“あ~そうそうこの感じ!”ってまとまっていくまでに、すごい時間がかかりました」
 
――タイトル曲であると同時に、今後の音楽人生の1つのテーマでもありますよね。
 
「本当にそうですね。ただ単純に“カッコいい!”とか“いい曲!”と言ってほしくて作った曲じゃないんで。タイトルチューンなのにアレンジ的にもいろいろとチャレンジしたその精神だったり、歌詞もただ前向きと言えるものじゃなかったり、そういう曲が作れたことにはホッとしてますけどね」
 
――サイモンくんは『言いたくて言えなかった』(M-3)でも、すごくいい仕事をしてますよね。あと、椎名さんも何だか言葉の置き方もシンプルな方向に向かってるというか、素直というか、ギミックが減った感じがしました。
 
「それには実は、SURFACEの1stアルバムとかを改めて聴いて、シンプルだなぁと思ったのも結構あって。言葉に関してはいろいろとおもしろい試みをしてきたと思うんですけど、“タイトルはおもしろくなきゃいけない”とかそっちばかりに特化してくると、それはそれでちょっとリスキーだなと思って。そういう意味では自分でブレーキ踏んで、シンプルにしたところはありますね」
 
――歌も録り方が変わったのかな?って思うぐらい生々しい感じもしますけど。
 
「録り方は変わりましたね、何曲もオケが間に合わなかったせいで(笑)。『キミノモンスター☆』(M-6)も『MY LIFE IS MY LIFE』もそうだったし、変えたくて変えたわけじゃないけど、変えざるを得なかった。アレンジから何から全部完成してる曲にボーカルを乗せると、その音圧に負けないように、ある意味“がなって”歌う。今回はその音圧が足りない時点で歌ってるから、どんなにうるさい曲でも少しテンションが落ち着いてるというか、スーッと歌えてるのが功を奏したのかもしれない(笑)」
 
――『フラストレーションNo.5』『キミノモンスター☆』の流れが顕著なんですけど、アッパーチューンに関しては今まで以上にへヴィなサウンドですね。『キミノモンスター☆』とかは、言わばエアロスミスっぽい雰囲気で。
 
「まさに! この曲はエアロスミスがずっと頭にありましたね。元々この辺りの曲を作ってた時期のライブが初めてのキーボードレス編成で、ギター・ベース・ドラムでバンド感を強く意識したまま曲作りに入っちゃってたので。自分がバンドとしてやりたいものとなると、今聴くとちょっとダサいぐらいの70年代のロックとかがいいなぁって」
 
――ちなみに、『フラストレーションNo.5』は、何で“No.5”なんですか?
 



「この曲は『HENSEIKI』の1曲目にやったんですけど、“変声期”=これから声が変わるときに使う言葉だし、新しく生まれ変わる=“編成期”という意味でもあるとすると、1曲目が既存の曲なのは何か違うなって。新曲でザワつくぐらいの方がいい。みんながライブに来る理由って、やっぱり日々のイヤなことを忘れて発散したいからじゃないかと思うんですよ。だから“フラストレーションが溜まったとき、みんなが呼んでくれたら俺は現れるよ”っていう想いで“フラストレーション”っていう言葉がまず出てきて。で、“フラストレーション~フンフフンフフン”って歌ってたら次に“No.”が浮かんで(笑)、『HENSEIKI』のバンドメンバーは自分も含めて5人だな、よし!って(笑)。でも、今回は音数が全然5人じゃないので、多分『フラストレーションNo.9』ぐらいになってる(笑)」
 
――(笑)。今作は全体を通して筋肉質というか、楽曲がパンプアップされた感じがしますね。状況的にも追い風が吹いてる感じがあっていいですね。
 
「まぁコロチキのことも勝手に盛り上がってくれてるところもあるから。逆にこういうときこそいつも通りにしないと、後々苦しむのも自分なんで(笑)。18年間培ってきたことを崩さずやっていけば、ここで焦っちゃダメだなって」
 
 
“SURFACE再結成の気持ちはある”って全然書いてもらっていいです(笑)
 
 
――それこそソロワークスも5周年イヤー中ですけど、率直に振り返ってどうです?
 
「まず、SURFACEが解散して本当によくソロになれたなと思いますね。SURFACEが’10年の6月に解散して11月にはソロデビューですから。解散して1ヵ月は本当に何も出来なくて、“今年中に何か出さなかったら消えるよ!”みたいにあの人(=マネージャーS氏)に言われて(笑)、無理矢理作った感じだったんで。そこから5年間、あーだこーだ言って乗り越えてきたというか、ありがたいっちゃありがたいし、よく続いたなぁ。だから、全然あっという間ではなかったけど、辛いことばかりではなかったし、不思議な5年間でしたね」
 
――その間もSURFACEについては意識しつつの活動だったと思いますけど、まぁずっとインタビューしてきて常にSURFACEの話は出てきながら、意固地な2人はなかなか噛み合わない(笑)。
 
「アハハハハ!(笑)」
 
――でも、ここ最近のブログとかを見ていると、永谷(g)さんとちょっと呑みに行ったり、バースデーライブに永谷さんが来てくれたり、何だか雪解けの予感がありますね。
 
「永谷の方から連絡が来たわけですよ、“もう一度改めて向き合いたい”って。それで呑みに行って、ちゃんと話して。ざっくり言えば、永谷次第で、本当に再結成はある」
 
――マジか(笑)。むしろここ5年は、椎名さんの方がSURFACEに関しては前のめりというか、“まだまだ全然SURFACEが好きだしやりたい”みたいに公言してたのに。じゃあ永谷さんも変わったんだな。
 
「随分とねぇ。解散して2年目に1回会ったときにさらに仲違いして(笑)、そこから俺が連絡しても音信不通になるわけですよ(笑)。だったのにそれから3年経って改めて連絡が来て、その2週間後にコロチキですよ(笑)」
 
――何だかもう、神様のお導きやな(笑)。
 
「だから逆に俺は今はやりたくない、あまりにも話が上手くいき過ぎてるから(笑)。しかも今年は本厄じゃないですか? 絶対にどこかに落とし穴があるんですよ!」
 
――じゃあやっぱりSURFACEのデビュー20周年=’18年がキレイだな~。
 
「美しいのはそこですよね~。でも、20周年のときには多分、永谷のモチベーションが下がってるっていう(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) その怖さは確かにある(笑)。
 
「お、20周年なったぜ! やろうぜ! あれ? 既読無視? みたいな(笑)。それがやっぱり“2人”ってことなんですよね。バイオリズムの話じゃないけど、20周年のときにどうなってるかは、分っかんないですよ~本当に」
 
――そこがグループのおもしろさでもあり、だからこそミラクルも起きる。
 
「そうそう! その危うさが音楽のカッコよさだったりするじゃないですか。それはそれでいいんです。だから、“SURFACE再結成の気持ちはある”って全然書いてもらっていいです(笑)。期待せずに待っててくれたら、その内あると思いますよ~?(笑)」
 
――あるんだ(笑)。ホント珍しいですよ。僕も相当な数のアーティストにインタビューしてきましたけど、元いたグループのことを解散直後からずっと好きだって言い続ける人もいないし、再結成のことをこんなに濁さずに“あるんじゃないですか?”って言う人はいないです(笑)。
 
「アハハハハ!(笑) そうだよねぇ~別に嫌いになって解散したわけじゃないんでね。だから40歳を迎えたバースデーライブでも、半分はSURFACEの曲ですもん(笑)。逆にお客さんの方が最近は心配しちゃって、“私たちを気遣ってSURFACEの曲をそんなに歌わなくても大丈夫です、ソロの曲を歌ってください”って(笑)。“ちょっとはSURFACEの曲も歌ってくださいよ~!”みたいなのが普通なのに、こっちがバンバン歌っちゃってるから(笑)」
 
――椎名さんは自分のキャリアとの距離の取り方が、やっぱり他の人とは全然違いますね。
 
「結局、自分が愛してきたアーティストがみんな歌ってるんですよ。例えば氷室京介さんも、再結成はしなくとも震災があったときに東京ドームでBOØWYの曲だけでライブをやってくれたり、THE YELLOW MONKEYなんかも復活したわけじゃないですか。先輩方がそうなんだから、俺なんかはもう最初から“やるよ!”って言わないと(笑)」
 
――結局、みんながハッピーですもんね。しかもこのアルバムでむしろソロとして脂が乗り始めたのを感じさせるから、懐古趣味も、苦肉の策な感じも全くしない。
 
「今作はハッキリと“自信作です! これが俺です”って言えるアルバムが出来たと思うんで。名刺代わりというか、“椎名さんのことを最近好きになったんですけど、どれから聴けばいいですか?”って聞かれたら、間違いなくこのアルバムをオススメしますよ」
 
――そして、ツアーもありますけど、バンドを伴うツアーとしては長めですよね。
 
「そうですね。ツアーの本数が2桁を超えたのは、ソロになってから初めてなんで。このアルバムの曲をやるだけでライブのバランスはかなり取れちゃうんで、そこにいかに昔の曲を、SURFACEの曲をやるの? やらないの?っていう。あんまりSURFACEばっかりやってるとお客さんに怒られるんで(笑)。あと、『MY LIFE IS MY LIFE』は音数を敢えて増やしてるところもあるんで生演奏だけでは絶対に再現出来ないから、初めて同期も使おうかと。俺の声がコーラスで出たり、吹いてもないホーンが鳴ったりする(笑)、SURFACEの頃のシステムでやろうかなぁと思ってます。それも俺は俺だし、SURFACEも俺なんで。いつもみたいに元々鳴ってる音を削ぎ落としてリアレンジしなくていいんで、どっちかって言うと忠実に『MY LIFE IS MY LIFE』の世界を楽しんでもらおうみたいなところはありますね。あと、2月14日(日)の大阪公演には、コロチキが来ますよ!(笑)」
 
――いや~2016年もおもしろくなっていきそうですね(笑)。
 
「ね。2016年もいろいろ控えてますよ~(笑)。ちゃんと頑張りますけどね!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2016年2月12日更新)


Check

Movie Comment

自ら『さぁ』もやっちゃいます(笑)
椎名慶治からの動画コメント!

Release

椎名慶治の全方位がアップデート
3年ぶりの傑作3rdフルアルバム!

Album
『MY LIFE IS MY LIFE』
発売中 3000円(税別)
High Wind
HWCL-0007

<収録曲>
01. HIGH & HIGH
02. 人生スパイス-go for broke-(Horn Mix)
03. 言いたくて言えなかった
04. ボクのアトラクション
05. フラストレーションNo.5
06. キミノモンスター☆
07. MY LIFE IS MY LIFE
08. 絵空事に
09. ささくれ
10. ウェザーリポート
11. シャクシャク

Profile

しいな・よしはる…’75年12月30日生まれ。SURFACEのボーカルとして、’98年にシングル『それじゃあバイバイ』でデビュー。親しみやすいメロディと独特の歌詞、印象的なアレンジが融合したオリジナリティに溢れるサウンドが支持を集め、『ショムニ』『お水の花道』等の人気ドラマをはじめ、『守って守護月天!』『D.Gray-man』『NARUTO』等の人気アニメまで、幅広いジャンルのテーマソングを手掛ける。SURFACEとして、シングル21枚、オリジナルアルバム6枚をリリース。’10年6月13日の東京国際フォーラム・ホールA公演にて解散。惜しまれながらもSURFACEの12年の活動に終止符を打つ。バンド解散後、’10年11月に1stミニアルバム『I』でソロデビュー、’11年6月リリースの1stアルバム『RABBIT-MAN』にてソロ本格始動。今年の1月6日には、最新作となる3rdアルバム『MY LIFE IS MY LIFE』をリリースした。

椎名慶治 オフィシャルサイト
http://www.yoshiharushiina.com/

Live

リリースツアー開幕! 大阪公演には
コロチキも出演ということは!?(笑)

 
『Yoshiharu Shiina LIVE 2016
「MY LIFE IS MY LIFE」』

【福岡公演】
チケット発売中 Pコード281-998
▼2月11日(木・祝)17:00
DRUM SON
全立見5000円
キョードー西日本■092(714)0159
※未就学児童入場不可。


【岡山公演】
チケット発売中 Pコード282-025
▼2月12日(金)19:00
CRAZYMAMA 2nd Room
オールスタンディング5000円
夢番地岡山■086(231)3531
※未就学児童は入場不可。
 

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード281-690
▼2月14日(日)17:00
梅田クラブクアトロ
オールスタンディング5000円
キョードーインフォメーション■0570(200)888
※未就学児童は入場不可。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【東京公演】
チケット発売中 Pコード284-936
▼2月19日(金)19:30
SHELTER
オールスタンディング5000円
SHELTER■03(3466)7430
※この公演は男性のみ入場可。要身分証明書。未就学児童は入場不可。

【埼玉公演】
チケット発売中 Pコード282-175
▼2月20日(土)17:00
HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
オールスタンディング5000円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※未就学児童は入場不可。

【愛知公演】
チケット発売中 Pコード283-601
▼2月27日(土)17:00
名古屋クラブクアトロ
スタンディング5000円
ジェイルハウス■052(936)6041
※未就学児童は入場不可。

【福島公演】
チケット発売中 Pコード287-635
▼3月4日(金)19:00
Hip Shot Japan
オールスタンディング5000円
Hip Shot Japan■024(921)2007
※未就学児童は入場不可。

【宮城公演】
チケット発売中 Pコード282-069
▼3月5日(土)17:00
仙台MACANA
オールスタンディング5000円
キョードー東北■022(217)7788
※未就学児童は入場不可。

【茨城公演】
チケット発売中 Pコード282-165
▼3月13日(日)17:00
水戸ライトハウス
オールスタンディング5000円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※未就学児童は入場不可。

【静岡公演】
チケット発売中
▼3月20日(日)17:00
Live House Quars
オールスタンディング5000円
Live House Quars■055(952)7333

【札幌公演】
チケット発売中 Pコード282-237
▼3月25日(金)19:00
COLONY
オールスタンディング5000円
マウントアライブ■011(623)5555
※未就学児童は入場不可。

【東京公演】
チケット発売中 Pコード282-165
▼4月2日(土)17:00
TSUTAYA O-EAST
オールスタンディング5000円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※未就学児童は入場不可。
 

Column1

変わりたい気持ち、変われない現実
ユニゾン田淵、高橋まことらも
参加した『I & key EN Ⅱ』を語れ
揺れ動く感情の中で、自身と、
そして過去=SURFACEと対峙する
前回インタビュー&動画コメント

Column2

『それじゃあバイバイ』
『なにしてんの』『さぁ』他収録
SURFACE時代の大ヒット作を
完全セルフカバーした大胆不敵で
前代未聞の『Phase』制作秘話!
15周年を駆け抜けるインタビュー

Column3

らしさと懐かしさと新しさ
SURFACE→椎名慶治の15周年
幸福なハプニングが生み出した
2ndアルバム『S』インタビュー

Column4

SURFACEから続くキャリアと
ソロとしての新たな刺激が結実
人と人の縁が導いたミニアルバム
『I & key EN』を語る

Column5

SURFACEの解散から何から
ぶっちゃける!(笑) 1stアルバム
『RABBIT-MAN』インタビュー

Comment!!

ぴあ関西版WEB音楽担当
奥“ボウイ”昌史からのオススメ!

「椎名さんに初めて取材したのは、結果的にSURFACEのラストアルバムとなった『Invitation No.6』(‘08)。え、もうそんな前!? こわいよー! 時が経つの早いよー!(笑) 以降は、全アルバムにカバー盤『Phase』、ミニアルバム『I & key EN』のⅠとⅡとガッツリとソロの歩みを聞いてきましたが、紛れもなく今作『MY LIFE IS MY LIFE』が最高傑作だと思います。SURFACEという大きなキャリアを起点に、椎名さんがある意味引き継いでいる特有のサウンドは、変わらないために変わり続け、今が一番イイ状態。椎名さんのオイシイとこ出てるわ~。そういった音楽人生の紆余曲折が分かるのも、こうやって毎回インタビューさせてもらってるからですし、毎回椎名さんが腹を割って話してくれるから。こっちが心配するぐらいに(笑)。1stアルバム『RABBIT-MAN』(‘11)の取材時からSURFACEへの未練を微塵も隠さないのは衝撃だったなぁ…今回の再結成のくだりもすごいけど(笑)。こういうガチンコの関係を築けてきたのは、書き手としては本当に光栄ですね。そして、コロチキのことといい、この追い風が継続することは、これだけ載せてもまだ載せられない様々な話からも(笑)間違いないです。椎名さんの今後に期待してください!」