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俺たちの『GOLDEN TIME』は続いてく――
幾度もの分岐点を越え転がり続ける
a flood of circleのツアークライマックスに捧ぐ
佐々木亮介(vo&g)撮り下ろしインタビュー&動画コメント (1/2)

 怒涛の全県ツアー、自らのアーカイヴを振り返る全曲演奏ライブ、新ギタリストDuranの加入、そしてニューアルバム『GOLDEN TIME』…このバンドはまだまだ留まる気はないらしい。'09年のメジャーデビュー以来、ギタリストの失踪、ベーシストの脱退&加入という幾度もの分岐点をその身に刻み付けてきたa flood of circleがリリースした『GOLDEN TIME』は、バンドとしての身体を取り戻した歓びと、使命感にも似たロックンロールとブルースへの愛、そして長年サポートギタリストを務めた曽根巧から受け継いだバンドマンイズムを注入した、新生a flood of circleのはじまりを高らかに告げる1枚だ。現在は、同作を携えた全国ツアー、その名も『Golden Time Rock’n'Roll Show』も残すは東名阪というクライマックスシーズンにいるバンドのフロントマン佐々木亮介(vo&g)に、Duranとの出会い、曽根巧が遺したもの、今作に至るまでの濃厚なロックンロールライフを語ってもらった撮り下ろしインタビュー。饒舌ににして真摯に覚悟を語るこの男の言霊は、収録曲『Black Eye Blues』の如く胸に迫る。“全ての街を回ってもまだ 全ての歌を歌ってもまだ この国にブルースを流し込んでく Black Eye Blues”。

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フラッドはずっと止まらないできたバンド
 
 
――『GOLDEN TIME』に続く道として、まずは去年の夏の全曲演奏ライブがあったと思うんやけど、そもそも全曲演奏をやろうと思ったのは?
 
「全県ツアーをやったから、次は何がパンチあるかな?っていうだけですよ(笑)。先輩方からは“ホントにお前らアホだな”って褒められたんですけど(笑)。80曲弱を3日間で、3日目は3時間半とかやりましたね」
 
――あのテンションで3時間半やったの?(笑)
 
「だからこっちも戦いでしたよね(笑)。お客さんを飽きさせたくなかったし、セットリストも練りに練って考えたし。楽しかったけど、やっぱり時間とスキル的には大変でしたね。あと、a flood of circleってメンバーチェンジがありながらもアルバムはずっと作ってきたんで、そのときの気持ちを1つずつ思い返したんで結構ね…疲れました(笑)。でも、俺自身もメンバーも、“a flood of circleの歴史って何だったんだろう?”って改めて振り返って格闘する時間が長かったからこそ、『GOLDEN TIME』を作るときにヘンに過去を引き摺らなかったんですよね。“じゃあ今までにやってないことって何だろう?”って考えて作れたんで、アルバム制作には活きたかなぁと」
 
――いい区切りやったね、そういう意味では。
 
「あと、これからバンドを前進させようと思ったとき、シングルの『KIDS/アカネ』(‘14)から始めた曲から作るやり方をさらに強化させようと。それまではずっと詞先だったから、最初は時間が掛かってみんなをめっちゃ待たせたっていう(笑)」
 
――その割にって言ったらおかしいけど、肌触り的には劇的な変化という感じでもないもんね。何かこう“身が締まる”感じというか、チェンジじゃなくてアップデートというか。
 
「普通は新メンバーが入ったら仕切り直すべきかもしれないんだけど、フラッドはずっと止まらないできたバンドだし、このスピード感を大事にしてるから。そのストーリーの中で俺たちが作ってきたものをDuran(g)が理解して演奏するという。世界観を変えるとかじゃなくて、もっと強くするというか尖らせる、開く方向に向かったので、地続きではあるんですよね」

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曽根さんは、俺のバンドマン人生の命の恩人です
 
 
――新加入したDuranとの出会いももちろん聞きたいなぁとは思ったんやけど、多分この話は俺しか聞かれへんと思うから、長年共に連れ添ったサディスティック・ギタリストの話をしたいなと(笑)。
 
「アハハハハ!(笑) S・O・N・Eね(笑)」
 
――長年バンドをサポートしてくれたギタリストの曽根(巧)くんとここまで一緒にやってきて、そもそもの発端は正規メンバーを探していたのか、過去の全県ツアーも含めて、どういうテンションで過ごしてきたのかなって。
 
「’09年にギタリストが失踪して、そのときは正直足掻いてたんで、3人ぐらいオーディションしたのかな? いろんな人を試したんですけど、やっぱり合わなくて。だからもう、音源は3人で作る、ライブはサポートを入れて4人でやるっていう形が=俺たちなんだっていうところに一旦落ち着いて。そういう意味では、曽根さんとやってるときも何の迷いもなかったし、いまだに感謝しかないんですけど。だって元のメンバーよりもう長いですからね(笑)」
 
――そっか!(笑)
 
「曽根さんがいてこそのフラッドだと思ってた人もたくさんいたと思うし、俺もそう思ってやってたぐらいだから。もたらしてくれたものの大きさは、多分もっと後で感じると思うけど、今思えるのはホントに支えてもらってたし、つないでくれてたなぁと。俺とナベちゃんが“メンバーが変わってもガムシャラにやっていくんだ!”って転がってるときのスピード感を、兄貴ならではの角度というか優しさで見守ってくれてたし、プレイも最高だから。“お前らしょーもないことやってんじゃねぇぞ!”ってガツンと演奏で見せてくれて、そこで目覚めさせられるポイントもたくさんあったから。ある意味、俺とナベちゃんもつないでくれてたし、a flood of circleとして、バンドで生きていくということがどういうことなのかを見せてくれたというか。“フラッドってこうでしょ?”って言葉で説明するんじゃなくて、“今行かないでいつ行くんだよ!”みたいな感じでステージでガーン!とやってくれたから。奥さん(=筆者)も来てくれた京都のお別れの打ち上げで言ったことは嘘じゃなくて、ホントに命の恩人だと思ってるんで。俺がa flood of circleに命を懸けて、人生を懸けてやってるんだって口では言ってたかもしれないけど、身体で分かったのは曽根さんのお陰だし、ツアーバンドが毎日毎日家賃が無駄だと思えるぐらい家に帰れなくても、そこで生きて、1日1日を最後だと思って“これが俺たちの生き様なんだ!”っていうものを見せることを教わったのは、やっぱ曽根さんなんですよね。曽根さんは、俺のバンドマン人生の命の恩人です。それはホントです。曽根さんもそういう気持ちで、フラッドをもっと上に引っ張っていくぞって、思ってくれてたので」

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お客さんがチケットとかCDを買ってきてくれる以上
そこに自分の全てのメッセージを懸けたいし
それが俺の政治で、俺の経済で、俺の人生
 
 
――まぁでも、前作『I’M FREE』('13)が素晴らしいアルバムで、これを超えるのは結構至難の業というか。そんな中で『GOLDEN TIME』に向けてどう進んでいったのかなと。
 
「だからすごいしんどかったんですよ(笑)。ホンットにギリギリまで時間掛かっちゃったし、曲作り、メロディ、リズム、コード進行を音楽的にもっと成長させたり、ロックンロールとかブルースの枠をちゃんと広げるアプローチをしたかったので。そこですごい葛藤もしてたし納得のいくものを作りたかったから、デモも20曲作って10曲録りましょうとかの割合じゃなくて、もうね、これしかないんですよ(笑)。それぐらい追い込んで作りましたね。でも、タイトルにもしたように、俺たちのロックンロールが鳴ってる時間が=『GOLDEN TIME』だと思ってるんです。やっぱそれはね、曽根さんからもストーリーはつながってます。ツアーバンドとして生きていく。毎日、今日が最後でもいいと思えるライブをする。それが続いていくのがバンドマンだから。頑張って働いたお客さんがチケットとかCDを買ってきてくれる以上、やっぱりそこに自分の全てのメッセージを懸けたいし、それが俺の政治で、俺の経済で、俺の人生だと思ってるんで。この世界で、この社会でバンドマンとして生きていく上で、やっぱり曲と、ライブを最高の時間にすることに、とにかく全てを研ぎ澄まそうと思ったんですよね。朝イチだろうが、深夜だろうが、俺たちが出て来たら『GOLDEN TIME』で、そこにもし来てくれるなら、絶対にもっといい景色を見せるから着いてこいと全員に言いたかったんですよね。ロックンロールとブルースってそんなに分かりやすい音楽じゃないと思うかもしれないけど、『ホットチョコレート』(M-5)とか『アカネ』(M-10)とか、俺たちの音楽をもっと広げるためのアピールも諦めてないし、前進したい気持ちが今はすごくあるから。時間は掛かるかもしれないけど、絶対にデカい波を起こして、いつの間にかシーンの真ん中にいてやろうと思ってるし、それが俺たちのロックンロールで、a flood of circleの物語だと思ってるんですよ。好きなルーツにハッキリ自信を持ってるからこそ、そこに閉じこもりたくない。悔しい気持ちで閉じていくんじゃなくて、もっと聴いて欲しいって欲張りになってるから。もうね、ここにきてめっちゃハングリーかもしれないです、俺たち。9年目のハングリー(笑)」
 
――a flood of circleが、ようやくバンドとしての身体を取り戻したというか。
 
「そうなんですよ。また新しい物語が始まったと思うから」
 
――『GO(Album ver)』(M-1)がTVCMで流れてきたとき、もうね、“誰だよコイツ!?”って映像に目がいかないぐらい曲のメッセージが強くて(笑)。それぐらい耳に飛び込んでくるなぁと。
 
「アハハハハ!(笑) でも、アレで知ってくれた人もたくさんいたんで、やってよかったなぁと。今はホントきっかけを作りたいし、こっちも超オープンだから。ライブに来てくれたら、全員をちゃんと連れていく自信はあるんで」

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一番古い付き合いだからこそ、甘えたくなかった
 
 
――『STARS』(M-4)のライナーノーツには、“これを作っていた頃は解散かなと思うくらいナベとたくさん話し込んでいた時期で”とあるけど。
 
「やっぱね、お互いに納得いかないところが結構あったんですよね。“ツアーをこれだけやってきたのに、何かここのリズム突き抜けてなくない?”とか、そういう話を結構バチバチにやってて。一番古い付き合いだからこそ、甘えたくなかったというか。ロックンロールバンドって延命治療じゃダメだと思うんですよ。毎回ギリギリまでやんないと転がれないと思うから。お互いに激しく求め合ってたときに、まぁ言葉のあやとかも含めて“もうやってらんねぇよ!”みたいになっちゃったことは結構あって。そんときに『STARS』を作り始めて。でも、a flood of circleの今までの感じだと、この曲でMVは作んなかったと思うんですよ。インディーの2ndミニアルバム『泥水のメロディー』(‘08)に『ロシナンテ』って曲があるんですけど、それは俺が高校生のときに作った曲で、何となく自分の無意識下で自然に出てくるタイプの曲がそれで、他にも『LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL』(‘11)の『Boy』、『I'M FREE』(‘13)の『Diamond Rocks』とかが俺の中のド真ん中路線で、『STARS』はその中にちゃんといるんだけど、ナベちゃんと俺のその話、Duranが入ってきたこと、それを姐さんが見守ってる感じがないと(笑)、あの形に多分ならなかった。そういうド真ん中タイプの曲でMVを作ったのは初めてだったから、そういう意味でも芯に自信があるっていう感じなんですよね」
 
――それにしても、中ではそんなにバチバチにやってたんやね(笑)。
 
「もうめちゃめちゃやってます(笑)。でも、ちゃんとバチバチやってるからこそ、転がれてるって思いたいから。今の方がよっぽど初期衝動を感じてる(笑)。ただそこに、やっぱり10年弱やってきた渋みとか苦みみたいなものが…そういう意味ではホントにブルースの説得力みたいなものが、やっと曲に滲み出てきたのかなって思ってるんですよ」
 
 

 


(2015年2月26日更新)


Check

Movie Comment

盤にライブに関西に音泉魂と喋り倒す
佐々木亮介(vo&g)からの動画コメント

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Release

エナジーと愛と使命感と闘魂注入
ロックンロールアルバムの決定盤!

Album
『GOLDEN TIME』
発売中 2800円(税別)
Imperial Records
TECI-1423

<収録曲>
01. GO(Album ver.)
02. Golden Time
03. スカイウォーカー
04. STARS
05. ホットチョコレート
06. Cigarette Roll
07. Black Eye Blues
08. Rodeo Drive
09. KIDS
10. アカネ
11. Party!!!

Profile

ア・フラッド・オブ・サークル…写真左より、Duran(g)、渡邊一丘(ds)、HISAYO(b)、佐々木亮介(vo&g)。’06年、東京にて結成。’09年に1stアルバム『BUFFALO SOUL』でメジャーデビューしたのも束の間、ギタリストの失踪という不測の事態が発生。ゲストギタリストを招き緊急制作された2ndアルバム『PARADOX PARADE』をリリース。’10年には3rdアルバム『ZOOMANITY』を発表するものの、年末にベーシストが脱退。同時期にHISAYOが加入。’11年には4thアルバム『LOVE IS LIKE A ROCK’N’ROLL』を発表。’12年にはレーベル移籍第1弾となるミニアルバム『FUCK FOREVER』をリリース。’13年4月にはシングル『Dancing Zombiez』を、7月には5thアルバム『I’M FREE』リリースし、47全都道府県を廻るバンド史上最長のツアーを敢行。’14年4月にはシングル『KIDS/アカネ』を、6月には47都道府県ツアーファイナルとなった東京・日比谷野外大音楽堂ワンマン公演を収めたライブDVD『I'M FREE The Movie-形ないものを爆破する映像集-』をリリース。同時期に、サッカーをモチーフにした朝日新聞CM『サムライに告ぐ。』篇に新曲『GO』が使用され大きな話題を呼び、7月にはこれまでリリースした全曲を演奏する公演“レトロスペクティヴ”を、3日間にわたり東京キネマ倶楽部にて敢行、全公演ソールドアウト。同年9月、新メンバーDuranの加入を発表。11月5日には6thアルバム『GOLDEN TIME』をリリース。現在は全国ツアー『Golden Time Rock’n'Roll Show』を展開中。

a flood of circle オフィシャルサイト
http://www.afloodofcircle.com/

Live

ツアーも終盤戦で残すは東名阪!
大阪公演が間もなく開催へ

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード247-506
▼2月27日(金)19:00
BIGCAT
オールスタンディング3240円
[共演]GOOD4NOTHING
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら


【名古屋公演】
Thank you, Sold Out!!
▼2月28日(土)18:00
ダイアモンドホール
前売3240円
[共演]有
[ゲスト]ROTTENGRAFFTY
ジェイルハウス■052(936)6041

【東京公演】
チケット発売中 Pコード247-866
▼3月7日(土)18:00
[ゲスト]ROMEO's blood
▼3月8日(日)18:00
[ゲスト]アルカラ
EX THEATER ROPPONGI
アリーナスタンディング3240円
スタンド指定3240円
ホットスタッフ・プロモーション■03(5720)9999

チケットの購入はコチラ!
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【大阪公演】New!
Thank you, Sold Out!!
▼3月22日(日)10:30
国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)
スタンディング3999円
[出演]a flood of circle/ARKS/BOMB FACTORY/BEAST/BUZZ THE BEARS/THE→CHINA WIFE MOTORS/Day tripper/Dizzy Sunfist/フラワーカンパニーズ/GOOD4NOTHING/HAWAIIAN6/HOTSQUALL/ISCREAM 7 SHOWERS/韻シスト/Jr.MONSTER/Ken Yokoyama/locofrank/OVER ARM THROW/PAN/POLKADOT/RAZORS EDGE/SABOTEN/SHONEN KNIFE/SiM/SPREAD/STOMPIN’BIRD/SUNSET BUS/10-FEET/ウルフルケイスケ/UZMK/ヴードゥー・グロウ・スカルズ
SMASH WEST■06(6535)5569
※未就学児童は保護者同伴に限り無料。60歳以上は公演当日、身分証提示で無料。

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『FUCK FOREVER』!!
“LOVE”と表裏一体の“FUCK”
を言葉の弾丸に込めてぶっ放す
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メンバーの脱退&加入を乗り越え
ぶっ放した『LOVE IS LIKE A
ROCK'N'ROLL』制作秘話

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