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ホーム > インタビュー&レポート > the chef cooks meが大阪に帰って来た! ROKKO SUN MUSIC、RUSH BALL 2014を経て 梅田Shangri-Laにてワンマンショー『それからの事柄』を開催。 新旧織り交ぜたライブの模様をレポート!!


the chef cooks meが大阪に帰って来た!
ROKKO SUN MUSIC、RUSH BALL 2014を経て
梅田Shangri-Laにてワンマンショー『それからの事柄』を開催。
新旧織り交ぜたライブの模様をレポート!!

 開演前。この日DJを務めた大阪のレコードショップFLAKE RECORDSのDAWAさんの選曲が場内に広がり少しずつ暖まっていくその時点で、今日のライブは絶対に楽しくなるに違いないと確信した。だって、単純にカッコよくて気持ちよくてただただ血が騒ぐ曲ばかりが次から次へと聴こえてきたから。その音が鳴りやみ『Ain’ t no mountain hige enough』に乗ってthe chef cooks meの3人とサポートメンバーが登場。下村亮介(vo&key&per)、はすでに満面の笑みに両手でピース。「君たちが居なかったら今日のライブはできなかった。本当にありがとう! 今日は思いっきり音楽を楽しもう!」の言葉を合図にパーティーが始まった。
 

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 1曲目は『ハローアンセム』。聴く時の状況によって切なかったり、晴れやかだったりするこの曲が、今日はとことん楽しくてソウルフル。“鳴らすものは何でもいいよ”という詞の言葉は、まるで「どんな風に楽しんだっていいんだよ」と言っているようだ。歌心とソウルマインドあふれる『四季に歌えば』。1曲終えるごとに、ものすごい歓声と拍手が起こる。そのリアクションに下村は「もう僕ら、“大阪のバンド”でいいんじゃないかな(笑)」と。彼らはこの夏、6年ぶりに『RUSH BALL』に出演した。そのライブでのお客さんの反応に心から感動した、と下村はMCで言った。「関西にこんなにも自分たちの曲を聴いてくれる人がいるなんて」というその時の思いから今回のShangri-Laワンマンが決まった、と。だからこの日のライブのタイトルが『それからの事柄』。「ソールドアウトしちゃうと、他に聴きたい人が聴きに来れない。喜んじゃいけないけど、でも今日のソールドアウトは本当に嬉しい! ありがとう!」との言葉は全員でかみしめた。その『RUSH BALL』で本番前のサウンドチェックで演奏していたら、集まってきたお客さん達で謎の大合唱が起きたという新曲『PAINT IT BLUE』。「楽器の音よりも、人の歌ってる声が最高だから」ということで、来年2月に発売されるこの曲のコーラス部分を、この日のアンコールでみんなで歌ってレコーディングしたい、というアイディアを下村が打ち明けると、すさまじい拍手と歓声が沸き起こった。サポートメンバーが一旦下がったステージで、まだ正式タイトルのついていない新曲(すごくイイ!)と、「4年前にツアー会場と通販と大阪のFLAKE RECORDSだけで売っていた」という自主制作盤『JOY&SORROW&TEARS&SMILES』から「僕らがボロッボロだった頃の曲です。でも全然暗い曲じゃないんだよ(笑)」と披露した『Across The Love』。小気味よいテンポに“僕らは進むだけ”との壮絶な決意をあくまで軽やかに込める。派手ではない、どこにでもある毎日の暮らしの中から生まれる歌ばかり。『環状線は僕らをのせて』を聴くといつも、頭の中では“環状線”が“感情線”に変換されている。電車だって気持ちだって、日々いろんなことがぐるぐる回り続けている。大瀧詠一クラシックスを彷彿とさせるメロディーラインに明るい照明が華やかな『ケセラセラ』。「音楽が人生を変えるなんて無理だと思う。でも何かが変わるきっかけになるかもしれない。自分が死んでもCDは残るし、音楽に罪はない。今、ここで生きてるみんなと素晴らしい音楽を共有したい」と、まるで歌うように気持ちを言葉に変えて下村は投げかける。マイクのコードをぐるぐると腕に巻き付けたかと思うとステージを下り「俺の特等席はここだぁ!」と、フロア中央のバーカウンターに上って歌った『song of sick』。誰もが声を上げ、腕を伸ばし、拍手で応えていた。

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 約束通り、アンコールでは『PAINT IT BLUE』のコーラスをレコーディング。ステージにイイジマタクヤ(dr)と下村を残し、後のメンバーはフロアのあちこちに分け入ってお客さんと一緒にコーラスをする。「オーオーオーオー」のコーラスをリハーサルも含めて何回歌っただろう? 肌寒い季節に汗が出るほど声を張り上げたのも、忘れがたい思い出になった。シングル発売されるのはまだまだ先だけど、この日一緒にコーラスした人たちは、みんなもうこの歌をフルで歌える勢いだ。レコーディングという大仕事(?)を終え、「サディステックなアンコールを!」ともう一度『PAINT IT BLUE』を、そして『まちに』、最後はフロアにマイクを向け、一緒に歌った『WEEKEND MAGIC NUMBERS』。

band.jpg 明るくなった場内を出口に向かいながら「めっちゃ楽しいー!」と誰かが言い、そのすぐ後に違う誰かが「泣ける!」と言った。それだ。それこそがthe chef cooks meの音楽に惹かれる理由だ。手を叩いたり、一緒に歌うきっかけをいつもステージから彼らがくれて、気づいたらステージの上もフロアも同じように歌ったり踊ったり。“楽しい”なんて言葉も忘れるぐらいめっちゃくちゃにハッピーな瞬間の連続だ。それでいてどの曲も、心の奥のほうで鍵をかけている哀しいものが詰まった部屋の入り口をトントン! と軽やかにノックしていくのだ。この日のMCで、新曲のリリースに加え、来年の東京と京都でのワンマン公演が発表された。“ガンバろうぜ”なんて言わないけれど、ただそこにあって昂ぶる気持ちをほぐしてくれたり、シンドい時はやさしい笑顔を思い出させてくれたり。そういうthe chef cooks meの歌を私たちが住む町にも、まだ知らない誰かの町にも思いっきり響かせたい。


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text by 梶原有紀子
photo by tetsuya yamakawa




(2014年11月20日更新)


Check

Set List

01.ハローアンセム
02.僕らの住む町
03.四季に歌えば
04.パスカル&エレクトス
05.PAINT IT BLUE
06.UCHU
07.間の季節
08.環状線は僕らをのせて
09.頼りない奇跡 3人
10.Across the love 3人
11.ゴールデン・ターゲット
12.流転する世界
13.ケセラセラ
14.適当な闇
15.song of sick

ENCORE
16.PAINT IT BLUE【REC】
17.まちに
18.WEEKEND MAGIC NUMBERS

Profile

シェフ・クックス・ミー…2003年結成。磯部正文(HUSKING BEE)BANDや岩崎愛、LITE、COMEBACK MY DAUGHTERS、ASIAN KUNG-FU GENERATION、後藤正文のサポートとしても活躍したシモリョーこと下村亮介(Vocal, Keyboards, Programming, Songwriter, etc...)、佐藤ニーチェ(Guitar)、イイジマタクヤ(Drums、Percussion)、の3ピースバンド。
都内を拠点に精力的にライブを行い、ポップスやロックなどさまざまな要素を取り入れたサウンドと個性的なライブ・パフォーマンスを行う。幾度かのメンバーチェンジを経て、管楽器、コーラス、鍵盤などサポートメンバーを迎えた10人編成のポリフォニックなバンド・サウンドとなり、2013年9月、後藤正文のプロデュースのもと、3rdアルバム『回転体』をonly in dreamsよりリリース。
それに伴い2014年1月から3月にかけて『回転対展開tour2014』と銘打った全国ツアーを展開。その後もRECORD STORE DAY2014での7inchEP『ハローアンセム』のリリースや自主企画『代官山そうるじゃらんぽん』の開催など精力的に活動中。2015年には新曲4曲を含むEPの発売も決定。

the chef cooks me
オフィシャルサイト

http://www.thechefcooksme.co.uk/index.html


Live

年明けリリースも決定!
初の京都・磔磔公演も決定!!

the chef cooks me ワンマンショー
『京の街の色柄』
 
1/11(日)発売開始 Pコード248-870
▼2月10日(火)19:00
磔磔
オールスタンディング3000円
GREENS■06(6882)1224

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Interview

the chef cooks me『回転体』
リリースにまつわる裏話を
シェフ・下村亮介×8otto・TORA
×FLAKE・DAWAの3人で
スペシャル対談

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