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「今は2回目の初期衝動が来た感じですね」
デビュー25周年を迎えた人間椅子が、最新アルバム『無頼豊饒』に
バンドブーム、ももクロ、ロック人生の秘訣と覚悟を語る
和嶋慎治(vo&g)インタビュー&動画コメント

 80年代のバンドブーム時代から活動し続け、今年でデビュー25周年を迎えた人間椅子。インタビュー中でも触れているが、人身絶頂のアイドルグループ・ももいろクローバーZのライブサポートや楽曲提供、HR/HM界の生きる伝説・オジー・オズボーン主催の『Ozzfest Japan 2013』出演など、ここにきてより脚光を浴びつつある。そんな中、デビュー時をも彷彿とさせる10ヵ月というタームで発表された最新アルバム『無頼豊饒』について、現在の状況に対しどんな想いでいるのかを、『OTODAMA'14~音泉魂~』への出演、そしてリリースツアーの東名阪クライマックスを控える、人間椅子・和嶋慎治(vo&g)に聞いてみた。

 
 
辞めずにやり続けていたら、自分たちを救ってくれる人が出てきた
 
 
――ももいろクローバーZのライブサポートや楽曲提供、『Ozzfest Japan 2013』への出演など、デビュー25周年にして再び盛り上がっている感じがします。
 
「まぁ狙っても出来ないことなので。25年前にデビューして、『イカ天』出演もあり、勢いもあったし、そこそこはいけたんです。でも、バンドブームが去ると共に売り上げが落ち、動員が減り…。でも、辞めずにやり続けていたら、自分たちを救ってくれる人が出てきて。メジャー契約がなくなってもインディーズで活動が出来たり、時にメジャーでワンショット契約(※1作単位の契約)があったりと、活動停止にはならなかったんです。そうしたら、5~6年前からライブの動員が増え出して、若い人も来始めてくれて。自分たちでも不思議でしたし、おかしいと思いましたね(笑)。露出もなかったですから。なので、その理由を探そうとアンケートを取ったこともありました。まぁYouTubeが大きいのかなと。随分前ですが地方で番組を持っていて、ファンの人がそれをYouTubeに流してくれていて。でも、宣伝になるからいいやと放っといて(笑)」
 



――(笑)。ある意味、ネットと言えども草の根の口コミで、ちゃんと伝わっていたんですね。
 
「街でライブのチラシをコピーしていたら、若い子に“和嶋さんですね?”と声をかけられて、“何で知ってるの?”と聞いたら、“こんな個性的なグループはいない”と言ってくれて。その子は筋肉少女帯と人間椅子が好きらしいです(笑)」
 
――昔だとサブカル周辺で終わっていたかもしれない空気が、今はメジャーといい感じに混ざっていますね。
 
「前はメインとサブ(カルチャー)が別れていたけど、今は一緒になってきてますよね。ももクロは特撮のNARASAKI(g)さんと関係があったり、オーケン(大槻ケンヂ)も歌詞を書いたりしてるから、そんな感じで僕らにも話が来たのかなと。そういう歩み寄りもあったので、こっちも“俺たちはロックだ!”という意地を張ることもなく。まぁフリーダムの象徴が本来はサブカルなわけですから、おかしいことではないですよね」
 
 
自由って難しいんだよね。怠けるとは違うし
好きなことをやるだけではなく、与えられた環境の中での自由な表現というか
 
 
――25年間、ありとあらゆるシーンを見てこられたのはスゴいです。特にバンドブーム時代の話は気になりますね。
 
「あの時代はバブル末期でしたけど、世の中は浮かれていましたよ。今は景気も悪いし、管理化も進んでるから、何かするとすぐネットで叩かれたりする。でも、当時はみんな好きなことをやって浮かれてましたよ。楽天的でしたね。ハードロックが時代遅れでダサいと言われることもありましたが、だからこそやりたいと思っていましたね。バンドが止まらなかったのは誇れるところですね。おもしろいことをやっている自負はありましたし、オリジナリティがあると思ってましたから。今は2回目の初期衝動が来た感じですね。この勢いでアルバムを作れると思ったし、前作を作り終えた時点でモチベーションもありましたから。でも、毎回制作は苦しいんですよ。ライブが多い中で、時間がない中でやるので。でも、苦しいけど、楽しいですから」
 
――最新作の『無頼豊饒』を聴いて感じたのは、自由な雰囲気で。でも、責任を持っての自由というか。
 
「自由って難しいんだよね。怠けるとは違うし。好きなことをやるだけではなく、与えられた環境の中での自由な表現というか。言いたいことは何年も前から同じなんですよ。人にとって大事なのは心ということで。でも、それをそのまま言うと説教クサいし、そこはロック的に言いたいなと」
 
――なるほど…重みを感じます。あと、最近では25年、30年やり続けているバンドが増えてきましたよね。
 
「キャリアを重ねると、みんな友達になれるんです。昔はみんなライバルだったんだけど、今はそういうのはないんじゃないかな。いい意味でのライバル心はあるんだけど、ネガティブな妬みの感情はない。同志、戦友と言いますかね」
 
――その話を聴いて今作を聴くと、より沁みます。
 
「人間椅子、今キテると思いますよ(笑)。歳をとる良さを感じています。誰にでも悩みはありますが、好きなことをやっていれば、必ず何かが見えてきますから。自分たちに正直にやっていると、豊かさが生まれます。僕らの活動は、いいと思っていることをやるだけなので、迷いはないです。ライブもスゴくいいですよ、今」
 
――今回のジャケットもそうですが、人間椅子からは日本のバンドからしか感じられない良さがあります。
 
「70年代のブリティッシュ・ハードロックが好きですけど、そのままでは外国人にかなうわけがない。日本人のアイデンティティを入れないとダメ。今回のジャケしかり、日本人であることを意識していますが、ナショナリズムにならない中でのそれだと思いますね」
 
――最後まで深いお話が聞けて、楽しかったです。『OTODAMA’14~音泉魂~』、そしてツアーと、ライブも楽しみにしています!
 
 
Text by 鈴木敦史



(2014年9月 4日更新)


Check

Movie Comment

インタビューに続いて名言連発!
和嶋慎治(vo&g)からの動画コメント

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Release

25年仕込みの重低音鳴り響く
純正ハードロックサウンド!

Album
『無頼豊饒(ぶらいほうじょう)』
発売中 2857円(税別)
徳間ジャパンコミュニケーションズ
TKCA-74085

<収録曲>
01. 表徴の帝国
02. なまはげ
03. 地獄の料理人
04. 迷信
05. 生まれ出づる魂
06. 悉有仏性(しつうぶっしょう)
07. 宇宙船弥勒号(うちゅうせんみろくごう)
08. リジイア
09. ミス・アンドロイド
10. グスコーブドリ
11. がらんどうの地球
12. 結婚狂想曲
13. 隷従の叫び

Profile

にんげんいす…写真左より、鈴木研一(b&vo)、和嶋慎治(vo&g)、ナガシマノブ(ds&vo)。’87年、青森県出身の和嶋と鈴木によって結成。ブラックサバスなどの70年代ブリティッシュ・ハードロックのサウンドに、日本語の歌詞を載せた独特の音楽性を特徴とする。’89年、テレビ番組『三宅裕司のいかすバンド天国』への出演がきっかけとなり、翌’90年、アルバム『人間失格』でメジャーデビュー。’04年からはドラムにドミンゴス等で活躍中のナカジマノブを迎える。近年はライブ動員、音源売上共に上昇、イベントやフェスからのオファーも後を絶たない。今年6月25日にはニューアルバム『無頼豊饒』を発表。

人間椅子 オフィシャルサイト
http://ningen-isu.com/


Live

『OTODAMA'14~音泉魂~』出演に
リリースツアーも残すは東名阪!

Pick Up!!

【大阪公演】

『OTODAMA'14~音泉魂~』
チケット発売中 Pコード232-499
▼9月7日(日)11:00
泉大津フェニックス
1日券6900円
[出演]キュウソネコカミ/ORANGE RANGE/POLYSICS/東京カランコロン/筋肉少女帯/MONGOL800/ユニコーン/フラワーカンパニーズ/TOMOVSKY/ハルカトミユキ/赤い公園/真心ブラザーズ/GRAPEVINE/人間椅子/a flood of circle/ニューロティカ(湯あがりアクト)/ガリガリガリクソン(入浴宣言)
清水音泉■06(6357)3666
※雨天決行・荒天中止。小学生以下は無料(入場券をお持ちの保護者の同伴が必要)。出演者変更に伴う払戻しは行いませんので、予めご了承下さい。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 

【大阪公演】

『二十五周年記念ツアー ~無頼豊饒~』
Thank you, Sold Out!!
▼9月12日(金)19:00
Shangri-La
オールスタンディング4000円
清水音泉■06(6357)3666
※小学生以上は有料、
未就学児童は入場不可。

 
【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード234-731
▼9月14日(日)18:30
エレクトリック・レディ・ランド
前売券4000円
エレクトリック・レディ・ランド■052(201)5004

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら


【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月20日(土)18:00
LIQUIDROOM
オールスタンディング4000円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※3歳以上はチケット必要。