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“出来ない”からこそ出来ること
最前線で苦闘するクリープハイプの『エロ/二十九、三十』を
初のホールツアー真っ只中の尾崎世界観(vo&g)が語る
撮り下ろしインタビュー&動画コメント (2/2)

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変わる手前の言い切れない感じとか続いてる感じが、自分にすごい合ってる
 
 
――『二十九、三十』は同世代のことを初めて歌ったということやけど、過去、現在、未来を行き来して、どこか素直なところも新鮮というか。
 
「こういうタイプの曲が出てきたのは初めてだったし、1回合わせてみたときにすごいしっくりきて。そこにちょうどもらったお題が“同世代の曲で”ってことだったんで、この曲だったら言葉を乗せられるかもしれないって思ったんですよね。何かアツい言葉で“頑張れ!”とか言われても、やっぱり“うるさいわ!”って思ってしまうんで(笑)。何となく同じスピードで一緒に歩くみたいな感覚で書けたらいいなって。まあ自分がどう言われたいかというか、結局は自分に書いたっていうのが大きいですね」
 
――29~30歳って人生の大きな変わり目だと思うけど、そういうことを感じたりする?
 
「バンドをやってるとあんまり感じないですね。何も変わってないなぁ~ホントに(苦笑)。まあでも、周りのバンドマンの友達がドンドン辞めていなくなるぐらいですかねぇ」
 
――30になるから辞めるって、バンドみたいな面倒くさいこと自分から始めといて、そんな普通のこと言うんやみたいな感じもするけど(笑)。
 
「アハハハハ!(笑)」
 
――30って世間的には人生の転機みたいによく言うけど、後から振り返ると、社会に出て何年か生きてきて、ある程度コレは出来るなぁとか、コレはやりたくないなぁとかが分かってきて、何か新しいことをしたくなる時期なのかなって。30になったから何かするというよりは、そこまでの人生でやってきたことが1回落ち着く時期というか。でも、尾崎くんは全然続いてるもんね。
 
「そうですねぇ。だから“三十”とは言えなかったんでしょうね。これは『十九、二十(じゅうく、はたち)』(原田宗典著)っていう僕が好きな小説のタイトルを意識して付けたんですけど、そういう“20歳”とか“30歳”じゃなくて、変わる手前の言い切れない感じとか続いてる感じが、自分にすごい合ってるなって。“どこを聴いて欲しいですか?”とか言われても、“ここです。あ、いやでも、ここもですね”、みたいな(笑)。曲全体を聴いて欲しいなってすごく思う。Aメロから頑張ってるし(笑)。そういう感じはすごくあります」
 
――何かスケールがデカいもんね、この曲。
 
「最初は弾き語りとかでアコースティックっぽい感じでやったらすごくいいんじゃないかって何となく思ってたんですけど、合わせてみたらすごくバンドっぽかったんで。意外とこういう感じに合うんだなぁってビックリしました。派手さはないんだけど、包むような感覚の曲は初めてだったんで」
 
――この曲を聴いて、クリープハイプがバンドとしてこれから歳を取っていくのもおもしろいなと思いました。
 
「そうですよね。歳を取ったら徐々にテンポも落として、キーも下げて(笑)。40過ぎて、今の歌をそのまま歌えるイメージがないですからね」
 
――変わるんかなぁやっぱり。元々声が高くても。
 
「結構キツいですからね、今でも(笑)」
 
(一同笑)
 
――アハハハハ!(笑) でも、やっぱりこの帯域が歌いやすいというか、届くなって感じ?
 
「そうなんですよねぇ…もう大変です(笑)」

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自分自身がまず一番嬉しいし
それをお客さんが喜んでくれるのがまた、すごく嬉しい
 
 
――C/Wは一転、過去の空気がしますね。
 
「そうですね。『東京日和』(M-3)は苦しい時代の、それこそオラトリオ(※筆者と共通の知人であるバンド。’08年解散)とツアーを廻ってた頃の曲ですね。やっぱり当時の音源とかは、今聴くとちょっと恥ずかしいですけど」
 
――当時はみんなに知ってもらうことが出来なかった曲だけど、こうやって改めて聴かせられるのは嬉しいね。それが出来るのも、自分が続けてきて今ここにいるからやし。
 
「そうですね。自分自身がまず一番嬉しいし、それをお客さんが喜んでくれるのがまた、すごく嬉しいですね」
 
――あと、初回盤に入ってる『なぎら』(M-4)って何?
 
「適当に仮タイトルで付けたんですよ。なぎら健壱さんが歌いそうだなってことで(笑)」
 
――俺の中で“なぎら”って言ったらもう健壱しか出てこないから、何だろうって思ってたらやっぱり(笑)。
 
「そのまんまいきました(笑)。歌詞はちょっとだけ変えました。当時のデモの歌詞が自分でも聴き取れなくて(笑)」
 
――通常盤には恒例のカオナシ(b)作詞曲の『ベランダの外』(M-4)も入って。これはこれで尾崎くんと重なるんだけど違う色がちゃんとあって。今作にはいろんなトライアルがあって、意義あるシングルという感じがしますね。出来上がったときには何か思いましたか?
 
「『エロ』は先に出来てたんですけど、『二十九、三十』はホントギリギリで。それも『二十九、三十』を急遽入れることになったからなんですけど、もうすごく良かったです。こういうことが歌えるようになったんだなぁって、しみじみ感じて。あとは、お客さんと同じような感覚でリリース日を迎えられたことですね。今まではだいぶ前にレコーディングも終わってるし、結構聴き込んでる状態で発売日を迎えてたんで。今回は近い感覚で曲を聴けたのが嬉しかったですね」
 
――だって、歌うのも録るときが初めてぐらいの話だったもんね(笑)。
 
「そこはちゃんとしないといけないんですけどね(笑)」

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2014年前半は準備してきた感じが強かったんで
後半は今までやってきたことに意味があるように、形になるように
 
 
――そして、初のホールツアーもあって。まだまだ“初”があっていいね。
 
「そうですね、もうそろそろなくなってくるから(笑)。いいライブをしたいですね。やっぱりヘタだから何回もリハをしなきゃダメなんですよ。ちょっとやらないと、すぐダメになるんで」
 
――もうホンマに筋肉みたいやね。トレーニングというか。
 
「そうなんですよ。しばらくレコーディングばっかりやってたんで。結構…大変です(笑)」
 
――ここまでにシングルが2枚出て、ホールツアーもあって、1年も半ばを過ぎましたが。
 
「早いですねぇ。でも、ここからですね。この先もいろいろと出していきたいと思ってるんで、あと4ヵ月ぐらいがすごい大事になりますね。2014年前半は準備してきた感じが強かったんで、後半は今までやってきたことに意味があるように、形になるようにしたいですね」
 
――これからクリープハイプどうなっていくのか、楽しみにしています。本日はありがとうございました!
 
「ありがとうございました!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by 宮家秀明(フレイム36)

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(2014年8月27日更新)


Check

Movie Comment

話し声にも味がある
尾崎世界観(vo&g)からの動画コメント

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Release

バンドの正常進化をきっちり形にした
まばゆきニューシングル!

Single
『エロ/二十九、三十』
【初回限定盤DVD付】
発売中 1944円
ユニバーサル・シグマ
UMCK-9684

<収録曲>
01. エロ
02. 二十九、三十
03. 東京日和
04. なぎら

<DVD収録内容>
くそキャンプ2014

【通常盤】
発売中 1296円
ユニバーサル・シグマ
UMCK-5482

<収録曲>
01. エロ
02. 二十九、三十
03. 東京日和
04. ベランダの外

Profile

クリープハイプ…写真左より、小泉拓(ds)、小川幸慈(g)、尾崎世界観(vo&g)、長谷川カオナシ(b)。’01年、クリープハイプを結成。3 ピースバンドとして活動を開始する。’05年、下北沢を中心にライブ活動を活発化。ライブを観たいろんな人から「世界観がいいね」と言われることに疑問を感じ自ら尾崎世界観と名乗るようになる。’08年9月、メンバーが脱退し、尾崎世界観の一人ユニットとなる。’09年11月に小川、長谷川、小泉を正式メンバーに迎え、本格的に活動をスタート。’12 年4月、1stアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビュー。同年10月に『おやすみ泣き声、さよなら歌姫』、’13年3月に『社会の窓』、5月に資生堂アネッサ2013CMソング『憂、燦々』と3枚のシングルをリリースし、7月に2ndアルバム『吹き零れる程のI、哀、愛』を発売。今年4月には初となる日本武道館公演2DAYSを成功させた。翌5月には4thシングル『寝癖』を、7月23日には5thシングル『エロ/二十九、三十』をリリースした。

クリープハイプ オフィシャルサイト
http://www.creephyp.com/

Live

只今リリースツアー真っ最中!
大阪公演が間もなく開催

Pick Up!!

【大阪公演】

『全国ホールツアー2014
「八枚目でやっと!九枚目でもっと!」』
8月28日(木)Sold Out!!
8月29日(金)チケット発売中
Pコード230-765
▼8月28日(木)・29日(金)18:30
オリックス劇場(旧大阪厚生年金会館)
全席指定4900円
清水音泉■06(6357)3666
※3歳以下は入場不可、4歳以上は有料。

【福岡公演】
Thank you, Sold Out!!
▼8月31日(日)18:00
福岡市民会館 大ホール
全席指定4900円 立見4900円
BEA■092(712)4221
※3歳以下入場不可/4歳以上チケット必要。

【札幌公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月5日(金)18:30
札幌市教育文化会館 大ホール
全席指定4900円
WESS■011(614)9999
※3歳以下は入場不可。
4歳以上はチケット必要。

【神奈川公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月8日(月)18:30
よこすか芸術劇場
全席指定4900円
VINTAGE ROCK■03(3770)6900
※3歳以下は入場不可。
4歳以上はチケット必要。

【高松公演】
チケット発売中 Pコード230-016
▼9月12日(金)18:30
サンポートホール高松 大ホール
全席指定4900円
デューク高松■087(822)2520
※3歳以下は入場不可、
4歳以上はチケット必要。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
【広島公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月13日(土)18:00
アステールプラザ 大ホール
全席指定4900円
夢番地広島■082(249)3571
※4歳以上はチケット必要、
3歳以下は入場不可。

【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼9月17日(水)・18日(木)18:30
NHKホール
全席指定4900円
VINTAGE ROCK■03(3770)6900
※3歳以下は入場不可。
4歳以上はチケット必要。

京都の濃厚ミュージックフェス
『ボロフェスタ』への出演が決定!

Pick Up!!

【京都公演】New!!

『BOROFESTA 2014 昼の部』
チケット発売中 Pコード240-320
▼10月26日(日)昼12:00
KBSホール
オールスタンディング4200円
[出演]クリープハイプ/畠山美由紀/Limited Express(has gone?)/大森靖子&THEピンクトカレフ/川本真琴/プラニメ/HAPPY/八十八ヶ所巡礼/odd eyes×contact Gonzo/髭/KING BROTHERS/jizue/白波多カミン/BELLRING少女ハート/ミライスカート/Amia Calva/バズマザーズ/nayuta/Noise and milk/Seuss/THE FULL TEENZ/白い汽笛/TheThisTown (ex.dOPPO)/the coopeez/他
Live House NANO■075(254)1930

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チケット情報はこちら

Column

「違和感に対する責任を取っていく」
クリープハイプの宣戦布告なる
確信と自信の2ndアルバム
『吹き零れる程のI、哀、愛』!
音楽を諦められなかった男
尾崎世界観の12年目の現在地に迫る
前回の撮り下ろしインタビュー