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ホーム > インタビュー&レポート > 『それじゃあバイバイ』『なにしてんの』『さぁ』他代表曲満載 SURFACE時代の大ヒット1stアルバムを完全セルフカバーした 大胆不敵にして前代未聞のニューアルバム『Phase』制作秘話!  デビュー15周年を駆け抜ける椎名慶治インタビュー


『それじゃあバイバイ』『なにしてんの』『さぁ』他代表曲満載
SURFACE時代の大ヒット1stアルバムを完全セルフカバーした
大胆不敵にして前代未聞のニューアルバム『Phase』制作秘話! 
デビュー15周年を駆け抜ける椎名慶治インタビュー (2/2)

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もう守るも何も、お前SURFACEじゃんって(笑)
 
 
――振り返ってみて、レコーディング中の印象的なエピソードってあります?
 
「15年前の作品を改めてパッケージすればいいってもんじゃなくて、やっぱり“ん?”っとなるオリジナル感が欲しい。まず1曲目の『空っぽの気持ち』の頭からかまして、『まだまだ』(M-10)で急にラップしてみたり、『ジレンマ』(M-12)になかったはずのギターソロだったり、『冬の終わり』のイントロでコーラスやったり。『ふたり』(M-4)ではギターソロをぶっ壊してるんですけど、最初はオダクラが原曲のソロを一音一句間違えず完璧に弾いてたんですよ。だから“それはなし、壊せ!”って。逆に“ここは残さなくていいんじゃないんですか?”って言ってきたところは“残せ”みたいな(笑)。そこら辺の温度差というか散りばめ方が、すごくいい塩梅になったんじゃないかなと。15年経ったからこそ出来るニュアンスというか、新鮮さと安定感がホントに上手く共存出来たと思います」
 
――今作は、椎名さんのアルバムだなぁと思いました。SURFACE云々じゃなくて、椎名さんのニューアルバム。
 
「Twitterでもコメントをもらうんですけど、新曲を聴いたような気持ちになるとか、オリジナルアルバムに聴こえるとか、みんな言うんですよね。ありがたいことに過去の『Phase』を知らなかった人もいて。過去を知らないから聴けないんじゃなくて、過去を知らないからこそカッコよく聴こえてる子もいるのが、すごく嬉しくて」
 
――いろんな予備知識とかじゃなく、もう作品で。
 
「昔を知らないんだって。だから、“どっかの中古屋さんに行ったら300円くらいで売ってるから買ってきなよ”とか言って(笑)。嬉しかったです。過去を知らなくてもカッコいいって言ってくれるの、嬉しいじゃないですか」
 
――前回の『S』のインタビューで印象的だったのが、“前はSURFACEの看板を一生懸命背負ってたんですけど、ようやくSURFACEが自分の身体の一部分になった”って。
 
「まさに! ホントにそうです。だから『Phase』が出来るんですね。何か守んなきゃ守んなきゃみたいな気持ちがあったんですけど、今はそれがなくなりましたね。もう守るも何も、お前SURFACEじゃんって(笑)。今度フルアルバムを出すとしても、下手するとまたSURFACEの曲が入ってるかもしれない。全然抵抗がないので」
 
――最初にインタビューしたときから、そこがめちゃくちゃ他の人と違うところですね。
 
「辞めた人ってだいたい昔の曲をやりたがらなかったり、音楽のジャンルすら変えてしまったり。いろんな人がいますけど、俺はホントにSURFACEが好きでやってましたから。SURFACEに謀反を起こすようなやり方は今後もないんじゃないかな。だからと言ってマンネリ化するわけにもいかないんで。『Phase』を出してしまったからこそ、次の作品がさらに難しくなった。オリジナルで勝負しなきゃいけないときに、いったいどう変化していくんだろうなって。今回こういう形で出来たので、オダクラと山口寛雄の3人で何か作ってみたり、磯貝サイモンには言わないでくれ言わないでくれって言われてたんで言いませんけど、時間が無い中サイモンのアルバム用に無理矢理作詞を頼まれて、俺2日で書いたよね?と(笑)。ということは俺のアレンジは2日でするよね?って(笑)。ただ、そのときにサイモンが“椎名くんホントすごいっす”って嬉しがってたらしくて。俺には直接言ってこないくせに(笑)。だからいつか何曲か作ってみたいなぁとか。次は今までに出会った人脈をフル活用してアルバムを作りたいと思ってます。例えば、UNISON SQUARE GARDENの田淵とも曲を作ろうかなとか。いろんなことをやりたいなと思ってますね」
 
 
SURFACEから数えて15周年っていうのはあるけど
ソロになって3年じゃないですか。ということは2年後に5周年なわけですよ
またヘンな記念日が来るわけですよ(笑)
 
 
――新しい『Phase』が出来上がったときってどう思いました?
 
「やっぱりちょっと変な気分でしたよ。何か“完成した”っておかしいなぁと思って。15年前に完成してるから。『Phase』=経過、段階。これからも変わっていくよっていう意味を込めて付けたアルバムを15年経ってまた出して…=これも途中段階ってことですよね。完成してるんだけど完成してない。ってことはまた20周年30周年と迎えて、もう1回『Phase』を作ったらどうなるんだろう?って。だから今回はとりあえず出来ましたね、よかったですね、お疲れ様でした~ぐらいな感じで(笑)」
 
――当時はメジャー1stアルバムだったし、まぁ喜んだでしょうね。
 
「もう喜んだし、福岡かどっかのライブの帰りにオリコンで2位になったって聞いて。宇多田ヒカルが1位だったんですけど、何か自分たち的にも違和感があって。何で俺たちみたいなヤツがこんなに売れたんだろう?って相方と握手した思い出がありますね」
 
――ジャケットの顔もホンマに全然違いますね(笑)。
 
「この頃体重51キロですからね」
 
――細ぇ!
 
「中も改めて見たらもうすごかったです…特に永谷がヒドかったです。別人だよお前は!って(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) そうだな、髪型も変わったもんな。
 
~ここから書けないSURFACE話が延々と続く…~
 
「全部書けないですけどね!(笑)」
 
――今めっちゃくちゃおもろい話してたのにね(笑)。
 
「そういうことも全部あったからこその『Phase』っていう。ある意味セルフカバーって、SURFACEを忘れさせないための武器の1つじゃないですか。ここで出したことによって刷り込めるし、偶然また『ショムニ』も復活して」
 
――いや~偶然にしては出来すぎたタイミングでしたよね(笑)。
 
「企画を立ち上げたのはこっちの方が先なんですよ。これでまた数年持つかなぁSURFACEは(笑)。あとはもうソロで頑張ってれば場繫ぎは出来るはずだし、頑張りますよ」
 
――椎名さん自身も、やっぱりソロとしてより多くの人に存在を知ってもらわなきゃダメですもんね。
 
「そうなんですよね。だからSURFACEから数えて15周年っていうのはあるけど、ソロになって3年じゃないですか。ということは2年後に5周年なわけですよ。またヘンな記念日が来るわけですよ(笑)。5周年…う~んソロのベストアルバム出してみようかな、『いろいろ考えてやってきたソロの5年間なんだけど、とりあえずここまでの僕を知らない方のために、とりあえず何かまとめて、何とな~くこれが椎名慶治だよって分かるようなものを集めたんでちょっと1回聴いてみて欲しいんだけど』みたいに絶対に言えないようなタイトルで(笑)。まぁ5年経ったらね、名刺代わりに出してもいいんじゃないかなぁって何となく思ってます。だからあと2年は駆け抜けて、そこで1回休んでみようかなぁとか。マネージャーには“もう身体がボロボロなんですけど”ってちょっと愚痴をこぼして。そしたら、その台詞を=2014年、俺もう音楽辞めるから、みたいに受け取ったっぽくて(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「“とりあえず来年作品を出せたらちゃんと休ませますから!”って何回も言ってくるから、俺そんな必死に言ってないんだけどなって(笑)。多分コイツ辞めるなと思われてるから、おもしろいし放っとこうって(笑)。今その最中です。辞めませんけど?(笑)」
 
 
15年歌い続けている自分がいて
 
 
――椎名さんの歌い続ける覚悟ということで言えば、それこそブログにも書いてましたけど、『Phase』の中にもそういうフレーズがあって。何だか縁だなぁと思いますね。
 
「いや、ビックリしました、俺も。『まだまだ』(M-10)で“まだまだ 歌い続けよう 自分の為に”って書いてあって。俺こんなこと言ってたんだって。22歳のくせにね。お前まだデビューして1年だろ! それは歌い続けるだろうよ!と(笑)。だけど15年歌い続けている自分がいて、過去の自分のリリックを15年ぶりに見ると、ある意味タイムカプセルを掘り起こしたみたいな感覚もあったので、おもしろかったですね。“まだ歌ってるわ、俺”って、ちょっと過去の自分と出会いましたね」
 
――いい話ですな。ホントに。
 
「いやいやいや。なので、ちょっと肝に銘じて頑張っていきたいなと思います」
 
――あとは年末に恒例のバースデーライブがありますけど、大阪でのライブは当分ないですねぇ。
 
「来ます来ます! プライベートで来ますよ」
 
(一同笑)
 
「もう大阪に来てストリートやりましょか、梅田のガード下とかで。Twitterでもつぶやいて、警察に止められて、アウトー!みたいな(笑)」
 
――まぁいろいろと来年以降も企んでいるとのことで(笑)、椎名さんの今後の動きを楽しみにしています。周年はまだ続きますからね。本日はありがとうございました~!
 
「ありがとうございました~!」

 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 



(2013年12月27日更新)


Check

Release

安定と新鮮が驚異のバランスで共存!
SURFACEの1stを丸ごとセルフカバー

Self Cover Album
『Phase』
発売中 3000円
UNIVERSAL D
POCS-1108

<収録曲>
01. 空っぽの気持ち
02. さぁ
03. なにしてんの
04. ふたり
05. FACE TO FACE~がんばってます~
06. 線
07. バランス
08. ひとつになっちゃえ
09. それじゃあバイバイ
10. まだまだ
11. 冬の終わり
12. ジレンマ

Profile

しいな・よしはる…’75年12月30日生まれ。SURFACEのボーカルとして、’98年にシングル『それじゃあバイバイ』でデビュー。親しみやすいメロディと独特の詞世界、スリリングかつドラマティックなアレンジが融合したサウンドが支持を集める。その後もライブ活動を精力的に行いその名を広め、SURFACEとしてシングル21枚、オリジナルアルバム6枚をリリース。’10年6月13日の東京国際フォーラム・ホールA公演にて、惜しまれながらもSURFACEの12年の活動に終止符を打つ。バンド解散後、’10年11月に1stミニアルバム『I』でソロデビュー。’11年6月に1stアルバム『RABBIT-MAN』を、同年12月にはライブDVD『椎名慶治1st Solo Live「RABBIT-MAN」』、1stシングル『I Love Youのうた』を同時リリース。'12年4月には2ndミニアルバム『I & key EN』を、今年1月には2ndアルバム『S』を発表。10月9日にはSURFACE時代の1stアルバムをセルフカバーしたアルバム『Phase』、4月17日赤坂BLITZにて行われたライブ映像を収録したDVD+CD『Strip? or Stripper?』を同時リリースした。

椎名慶治 オフィシャルサイト
http://www.yoshiharushiina.com/

Live

年末恒例のバースデーライブにして
スペシャルな2DAYSが開催へ!

『Yoshiharu Shiina LIVE 2013
「Phase to RABBIT-MAN」』
【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼12月28日(土)18:00
shimokitazawa GARDEN
▼12月30日(月)18:00
東京キネマ倶楽部
全立見4800円
[メンバー]椎名慶治(vo)/坂本暁良(ds)/近藤実(b)/友森昭一(g)/オダクラユウ(g)/村原康介(key)/町田孝(perc)/ZERO(rap&cho)
当日券その他のお問い合わせは…
VINTAGE ROCK■03(3770)6900
※未就学児童は入場不可。

Column1

らしさと懐かしさと新しさ
SURFACE→椎名慶治の15周年
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SURFACEから続くキャリアと
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SURFACEの解散から何から
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『RABBIT-MAN』インタビュー