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ホーム > インタビュー&レポート > YesもNoも、時代も歌謡も、ロックもロマンも背負い込んで 音楽シーンの道なき道を行く中田裕二の理想郷に光を照らせ―― 会心の3rdアルバム『アンビヴァレンスの功罪』 撮り下ろしインタビュー&動画コメントが到着!


YesもNoも、時代も歌謡も、ロックもロマンも背負い込んで
音楽シーンの道なき道を行く中田裕二の理想郷に光を照らせ――
会心の3rdアルバム『アンビヴァレンスの功罪』
撮り下ろしインタビュー&動画コメントが到着! (3/3)

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大人の応援歌をそろそろ書きたくて
 
 
――『サンライズ』(M-12)もアルバムの最後を飾る壮大な曲で。
 
「大人の応援歌をそろそろ書きたくて」
 
――中田くんは自分の年齢をスゴく意識してるよね。
 
「今はとにかく若い感じのする音楽と、実際に時代を作ってきた40代感がちゃんと出てる音楽はあるんですけど、個人的には30代の年代感がある音楽がまるでないと思ってて。それがスゴくイヤなんです。30代になっても20代みたいな感覚でやってたり。そこはね、俺は武器にしたいんですよね。その世代世代の表現っていうものがあるから。せっかく今ありがたく30代を過ごさせてもらってるんで、その感じをちゃんと表現して無駄にしたくないというか」
 
――40代のミュージシャンはまだギリギリ音楽が売れて盛んなときを味わえてる。20代は、もうそういうことが音楽では起きないと思ってる世代かもしれない。30代ってどっちも見てきてるけど、どっちもダイレクトじゃないみたいな世代で、所在のなさはあるのかもしれないね。
 
「よく“ロストジェネレーション”って言いますけど。でもそういうものを見て育ってるし、救われてる事実があるんで、そこは捨てられないというか…俺はね。そんなこといつまでも言ってちゃやっていけないよって思われるかもしれないけど、このご時世だからこそ、そういう意識って必要だと思うんですよ」
 
――だからこそ、『サンライズ』で“遅くはないぜ また始まろう”って、ちゃんと今の年齢でこの1行を言えたのはデカイというか。
 
「30代がやっぱり元気を出さないとね。それぞれに結果を出していくことが、下の世代にもつながるし」
 
――それこそチャゲアスの『PRIDE』(‘89)とかのあのムードというかね(※CHAGE&ASKAが31歳の頃に発表)。
 
「あれとかはまさに“30代感”ですよ、ホントに」

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ハッキリさせなくていいこともあるし
ハッキリさせるときに、その反対の事柄からヒントを受けることもあると思う
 
 
――でまぁタイトルが『アンビヴァレンスの功罪』。何のこっちゃって感じですけど(笑)。
 
「アハハハハ!(笑) これはもう角川(映画)的なんですよ、イメージが」
 
――『Wの悲劇』とかあの類の(笑)。アンビヴァレンスは=相反する感情が同時に混在する、表面化する。
 
「今の時代ってどっちかに決めたがるというか、善悪観がハッキリし過ぎてる。どっちかに当てはめないと落ち着かないみたいな、心の弱さがあるんですよね。日本人って曖昧なところを結構大事にしてきたし、より深く、物事を両極で見て、ちゃんと判断する。ハッキリさせなくていいこともあるし、ハッキリさせるときに、その反対の事柄からヒントを受けることもある。アンビヴァレンスを意識するのって、重要な要素かなぁって」
 
――今作がそうというよりは、中田裕二の目線としての核みたいなところはあるね。
 
「そうですね。昔から多分、ずーっとそうだと思うんですよ。そのことを歌ってる。それを両方書くことによって核心に近付きたい」
 
――角川映画もそうやけど、そういう時代のムードを作るものがいっぱいあったよね。トレンディドラマの話もそうやし、何かそういうものが時代の各所に埋め込まれてたよね。
 
「埋め込まれてたねぇ、宝石が」
 
――もう今はなくなっちゃったな。だからこれから中田裕二がそれを、宝を埋めに行くわけですな。
 
「でもね、みんなが日々の暮らしで遠ざけてるだけで、絶対にそれぞれあるんですよ。今さらこんなこと言ってもねぇみたいなものが…そこはもう一度、物置の奥から引っ張り出して欲しい。そのときにいろいろ夢見てたことを」
 
――中田裕二にとっても、いいきっかけになりそうな作品ですね。
 
「そうそう。だから次の作品がスゲェ楽しみで。もう結構曲は揃い始めてるんです。次はどポップな感じかも」
 
――それは聴いてみたいね~。1回本気出すじゃないけど。本気じゃなかったわけじゃないけど(笑)。
 
「超ど真ん中に直球を投げに行くっていうことを、そろそろね」

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お客さんとの付き合いももう長いんで
やっぱりね、もっといい場所へ連れて行きたい
 
 
――ツアータイトルもスゴいです、『INTO THE GALAXY』(笑)。
 
「古いですよね。なかなか古い(笑)」
 
――まぁでもアルバム3枚あったら。
 
「もう一応全網羅。これに超直球を加えていくってことかなと思ってます」
 
――これもまた愉快な仲間たちと来るわけで(笑)。
 
「はい、愉快な仲間たちと(笑)。うん、やっぱね、スゴく楽しいですね。ライブも好きだし。刺激されますよね、みんな引き出しが多いから。こう出たらそう来るかみたいな。そこでまた発見もあるし」
 
――自分の音楽を持って全国を旅出来るってやっぱいいね。
 
「幸せですね。ちゃんとお客さんも来てくれるし。それはホントありがたいな」
 
――人の力があって生きているのを実感するのも、歳ならではなのかと思うね。
 
「感じる。だってソロになってガタン!って規模が落ちる人もいたりするし。そう考えると俺は恵まれてる方だと思うし、お客さんとの付き合いももう長いんで。やっぱりね、もっといい場所へ連れて行きたい。そういう想いがスゴくあるんですよね。まだ“友達に中田裕二って言っても誰か分かってもらえない”って言う人が多いから(笑)。そういう悔しい想いをさせてることが、俺も悔しい。だからちょっとね、頑張んなきゃなって思うんです」
 
――今応援してくれてる人って、愛を感じるよね、やっぱり。
 
「ホンットに。友達とかではないけど、ある意味“チーム昭和”みたいな(笑)。やっぱり俺の歌を好きでいてくれてるのは同世代が多いので。同じような感覚を持っていて、それが結構大切だって思ってくれてる。そういう意味でも憂さを晴らしてあげたいというか(笑)」
 
――SNSもやらないし、ブログもそんなに頻繁に更新するわけじゃないし(笑)、交流の場はライブでしかほぼない。でも、ちゃんとそんなことを思ってたのね。これを読んでくれてる人たちにも、聴いてくれてる人たちにも。
 
「やっぱりちゃんと作品を楽しんでくれてるから。絶対にお客さんの方が俺以上に自分の作品を聴いてますからね。俺ほとんど聴かないからね、自分の曲。やっぱり聴き手のものなんですよね、出た後はもうお客さんのものだから。ちょっとここから頑張って還元しますよ!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
Photo by 宮家秀明(フレイム36)
撮影協力:西天満ミツバチ堂

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(2013年11月20日更新)


Check

Movie Comment

中田裕二がスイーツ他について
熱弁する(笑)動画コメント!

Release

グルーヴとロマンで独自の世界を
突き進むめくるめく3rdアルバム!

Album
『アンビヴァレンスの功罪』
発売中 3000円
NIGHT FLIGHT/RENDEZ-VOUS
NFCD-0002

<収録曲>
01. TERMINAL
02. MIDNIGHT FLYER [album mix]
03. ENEMY
04. 彼女のレインブーツ
05. blue morning
06. アンビバレンス
07. プリズム
08. マイ・フェイバリット
09. HEROINE
10. ユートピア
11. 旅路
12. サンライズ

Profile

なかだ・ゆうじ…’81年生まれ、熊本県出身。'00年、仙台にて椿屋四重奏を結成。'07年のメジャーデビューを経て、歌謡曲をベースにした斬新なロックサウンドで多くの音楽ファンを獲得。'11年1 月の突然の解散発表は大きな反響を呼んだ。3.11東日本大震災の被災地/被災者に向けて作られた『ひかりのまち』を震災直後に配信リリース(収益はすべて義援金として寄付)。同年11月、ソロとして初となるアルバム 『école de romantisme』を発表。12月から翌年3月に渡っては、初の全国ツアー『tour de romantisme』を開催(追加を含む、全26公演)。'12年9月、前作からおよそ10ヵ月というインターバルで2ndアルバム『MY LITTLE IMPERIAL』をリリース。10~12月には、2度目となる全国ツアー『IMPERIAL SUITE』を開催(追加含む、全22公演)。'13年5月からは、椿屋四重奏活動時の'09年より行なっている、歌に特化したアコースティックライブプロジェクト“SONG COMPOSITE”を、2年ぶりに開催(全18公演)。9月に3rdアルバム『アンビヴァレンスの功罪』を発表、全国ツアー『INTO THE GALAXY』を全国25ヵ所で開催する。幼少時に強く影響を受けた70~80年代の歌謡曲/ニューミュージックのメロディセンスを核に、あらゆるジャンルを貪欲に吸収した一筋縄ではいかないサウンドメイクと、様々な情景描写や人生の機微をテーマとした詞作によるソングライティングは中毒性が高く、熱心な信奉者が多数。

中田裕二 オフィシャルサイト
http://yujinakada.com/


Live

レコ発ツアーも後半戦に突入
大阪公演が間もなく開催!

『TOUR'13“INTO THE GALAXY”』

【香川公演】
チケット発売中 Pコード208-024
▼11月21日(木)18:30
DIME
スタンディング4500円
デューク高松■087(822)2520
※3歳以上は有料、3歳未満は入場不可。

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード207-076
▼11月22日(金)19:00
BIGCAT
オールスタンディング4500円
夢番地■06(6341)3525
※3歳未満は入場不可。3歳以上は有料。

【愛媛公演】
チケット発売中 Pコード208-025
▼11月24日(日)17:00
松山サロンキティ
スタンディング4500円
デューク松山■089(947)3535
※3歳以上は有料、3歳未満は入場不可。

【神奈川公演】
チケット発売中 Pコード207-474
▼11月30日(土)18:00
横浜ベイホール
オールスタンディング4500円
KMミュージック■045(201)9999
※3歳以上はチケット必要。
3歳未満は入場不可。

【茨城公演】
チケット発売中 Pコード207-923
▼12月1日(日)17:00
水戸ライトハウス
オールスタンディング4500円
ソーゴー東京■03(3405)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

【福島公演】
チケット発売中 Pコード207-686
▼12月6日(金)19:00
club SONIC iwaki
オールスタンディング4500円
G・I・P■022(222)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

【栃木公演】
チケット発売中 Pコード207-923
▼12月8日(日)17:00
HEAVEN’S ROCK Utsunomiya VJ-2
オールスタンディング4500円
ソーゴー東京■03(3405)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

【広島公演】
チケット発売中 Pコード207-533
▼12月14日(土)18:00
ナミキジャンクション
オールスタンディング4500円
夢番地広島■082(249)3571
※3歳以上チケット必要、3歳未満は入場不可。

【静岡公演】
チケット発売中 Pコード208-322
▼12月15日(日)17:00
Live House 浜松 窓枠
オールスタンディング4500円
サンデーフォークプロモーション静岡■054(284)9999
※3歳以上有料。3歳未満は入場不可。

【宮城公演】
チケット発売中 Pコード207-686
▼12月17日(火)19:00
仙台Rensa
オールスタンディング4500円
G・I・P■022(222)9999
※3歳未満は入場不可。
3歳以上はチケット必要。

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