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勇気と覚悟をくれたのはいつだってミュージック!
FoZZtoneが解散の危機から音楽の夢とプライドを語り尽くす
結成10周年に高らかに掲げられた新作『Reach to Mars』&
激動の10年を総括するメンバー全員ロングインタビュー (1/2)

 FoZZtone、結成10周年! 今年は3月に彼らが“発明”した購入者が収録曲を自由に選べるオーダーメイド・アルバムの到達点『O.M.A BEST』、4月にメジャー時代のベスト盤『Early Best Album 2007-2009』、5月にはアニメ『遊☆戯☆王ZEXALⅡ』エンディングに抜擢されたシングル『GO WAY GO WAY』、そして、6月に5thアルバム『Reach to Mars』を4ヵ月連続リリースと、持ち前の溢れる音楽的探究心とカテゴライズ不能なサウンドメイクを余すことなく発揮。アニバーサリーイヤーに拡大し続ける才能とリスナーを追い風に只今全国ツアー中のFoZZtoneに、その10周年を記念したキャリアを総括するメンバー全員参加のロングインタビューを敢行した。この10年の天国と地獄の舞台裏、出し惜しみなく語り尽くす(笑)紆余曲折のドラマ、ここでしか聞けない秘蔵エピソードの数々…記録より記憶の前人未到を更新し続けるクリエイティブなバンドワゴンは、いまだに消えない情熱という名のガソリンを燃やしながら突き進む。解散の危機、メジャー/インディー、後悔と信頼、夢と憧れ、音楽がくれたものの全てが、ここにある。このインタビューが愛すべき3人の音楽に触れるきっかけとなるならば、とても嬉しい。


 
よく10年続いたよね、ホントに
 

――今年は結成10周年ということで、それこそメジャー時代のベスト盤『Early Best Album 2007-2009』も出たりと多少なりとも振り返る機会にはなったと思いますけど。
 
キャノン=菅野(b)「今回のベストは、お世話になったディレクターさんに選曲も曲順も全部お任せして」
 
渡會(vo&g)「“10周年だからお前らのベストを出そう”って言ってくれて、そんなに言ってくれるんだったらもう全部任せますよって。盤が仕上がった後で、スッゴい客観的に、“あ、こういうバンドだったんだ俺たち”って教えてもらったというか」
 
――それこそどんなバンドだったと思った?
 
竹尾(g)「売り辛いだろうなぁって思った。単純に」
 
――アハハハハ!(笑)
 
渡會「カテゴライズし辛い」
 
竹尾「でも、それは別にマイナスじゃないとは思いましたよね」
 
渡會「そこを改めて確信した上で、俺たちが唯一押し通してきたことってバラエティ感かなぁって思いましたね」
 
竹尾「当時は“結構ブレてるかもなぁ俺たち”って思ったこともあったんですけど、結局ベストを聴いてみると、全然ブレてへん。売れる売れへんは別にして自信になりましたね」
 
――いろんなことに翻弄されバランスを取りながらも、ちゃんと自分たちの音を刻んでたんやね。でもまぁよく10年続きましたな(笑)。
 
渡會「思いますよ。もうみんなに対して思う(笑)。事務所に対してもメンバーに対しても、支えてくれたファンに対しても、よく10年続いたよね、ホントに」
 
竹尾「10-FEETと打ち上げで話したときに、ずっと順風満帆なんやろなぁって思ってたら、“いや、解散の話なんて何回もあったよ”って言われて。こういうバンドでもやっぱそうなんやって。逆に言うと俺らがない方がおかしいなと思ってね。だからFoZZtoneもそういうことをちゃんと越えてこれたのよね、先輩たちと同じように」
 
 
河川敷でキャノンと唐揚げ弁当食いながら“辞めっかぁもう…”って(笑)
 
 
――10-FEETですら解散の危機がある。FoZZtoneにも当然あったわけじゃないですか。“これは終わるなぁ~“みたいなときってあったの? ヤベェなこれ、みたいな。
 
キャノン「アハハハハ!(笑)」
 
竹尾「いや、当然ありますよ。いつやったっけ? 武並(サポートds)さんが入った最初の赤坂BLITZの前っすかね」
 
キャノン「『NEW WORLD』(‘11)が出る前か。メジャー落ちして半年ぐらい」
 
竹尾「そうそう! 河川敷でキャノンとローソンの唐揚げ弁当食いながら、“辞めっかぁもう…”って(笑)」
 
(一同笑)
 
竹尾「ワッチ(=渡會)が結構疑心暗鬼な時代があって、全然俺らのことも信用してくれてる感じもないし、“一緒にやってる意味あんのかなぁ、キャノン…どうすっか俺たち、もう辞めっか”って。じゃあ次のスタジオでちょっと話してみようって。何かもうグッチャグチャやったんですよね」
 
渡會「やっぱり近しい人でメジャーに1回行きました、インディーズに戻りました、でも大成功しました、みたいな人がいなかったから、もうここからは確実に落ちていくと。とにかく何かぶん回さなければっていうことだけに集中していて…。やっぱりね、俺自身もメンバーみんなが沈んでるのってスっゴくよく分かるから。今までは割と人に恵まれてトントン拍子にいってたのに」
 
竹尾「いつの間にか周りに誰もいなくなって、みたいな」
 
渡會「そういう状態からパッと現実に返ったときの悲壮感たるや…。そんな中で2人から“もう辞めようと思う”と言われて。あ、こうやって俺の人生は終わるのかって。もう完全に逆走馬灯(笑)。今後の俺の人生がブワァ~!って見えて。あ、3年以内に死ぬな、俺って(笑)。これは何とかしなきゃと思って、とにかく続けようって話して」
 
竹尾「それでワッチは、“マイナスの話はもう全部したじゃん! じゃあプラスの話をしよう、ここからどうやったら続けられるかを話そう”って。そこで、お互いの不満をぶつけ合ってね」
 
キャノン「最悪の選択肢として解散があるとして、でもやれることがまだイッパイある」
 
竹尾「単純に俺らは信頼されてないことがスゴくフラストレーションで。けどそのとき、ワッチもバンドのことをちゃんと考えてくれてんねやって思えた。もしかしたら、自分が死んでまう云々やったかもしれないですけど(笑)、俺らにはそう映ったんですね」
 
渡會「結構ディープな話をした上で…だからそのときのBLITZでのライブは、俺は今でも覚えてる。グチャグチャを前向きに言い合って、“うっせぇ! やったるぜ!!”みたいな感じにみんながある意味開き直って…ホントにいいライブだったなぁって思ったよ。そこからみんなが回復していくというか、同時にいかに野心的に攻めていくかを考えるようになりましたね。今回の一連のインタビューで、“10年前はどうでしたか?”とかよく聞かれたんですけど、それこそデビューした当初って、やっぱりチヤホヤしてもらえるんだろうなぁとか(笑)、これからガーッて上がっていくんだろうなって期待してた部分があって。でも、現実はそうじゃない。俺も含めてメンバー全員に、“あのときこうすればよかった”っていう物事が絶対にあったんだろうなぁって。でもそれが悔いになってるからこそ、今の活動につながってるのもあったし」
 
――そうやね。逆に中途半端に満たされてたら終わってたかもね。
 
竹尾「そうそう。だからヘンな話、Zeppとかでライブが出来ちゃって勘違いしてたら、解散してたと思うんですよ」
 
――まだまだ始まってもないのに終わんのか!? みたいなね。
 
竹尾「そうそうそう!」
 
渡會「俺らがデビューした当初に思い描いてたところには、一切たどり着いてない。だから、いざこざはとりあえず置いといて、今までやり切れてなかったことを全部やろうって。そういう意味で、いろいろな企画が動き始めたんだと思いますね。ただ、この10周年の機会に、デッカいステージでやるとかはあんまり思い描いてなくて。それよりも俺の曲を地球中が聴いてるとか、そういうビジョンの方に憧れがあるんですよ。例えば崖の上でPV録って、みんながそれを観てギターを始めるとか(笑)、マディソン・スクエア・ガーデンでライブするとか」
 
キャノン「スタジアムでやりてぇなとか(笑)」
 
渡會「っていうのを踏まえた上で、ただ続けるんじゃなく、各々が行きたい場所に行くためにどうすべきなのか。それを満たさないと永久に不幸なままだなって」
 
竹尾「このバンドを始めたとき、メンバー全員の名前を覚えられるようなバンドになろうと言ってたのにも関わらず、メジャーデビューしてからは、やっぱりボーカルを立ててとかそういう風にシフトしてしまった自分たちがスゴくいて。やりたいことをちゃんとやろうってなったときに、やっぱり根本的に目指すところはそこだったんですよね。各々が“俺がいるからこそのバンドなんだ”って思えないと嘘だなぁって。今はそれをちゃんとやり始められてるのかなぁって思います」
 
 
とにかく同じことを続けるっていう方法論は、根本的に俺たちとは合わない
 
 
――仕切り直してここ2~3年やってきて、今までとは違うリスナーに気付いてもらえるようにもなってきたよね。
 
渡會「それが一番明確に変わったのが『LOVE』(‘12)。あれを出した辺りから、ラジオで聴いたとかテレビで観たとか、スッゴい報告をもらうようになって。1つの評価として俺たちは正しいことをやったんだって思えたし、やっぱり進まなきゃいけないなって。そう思った一番の理由が、各々が思い描いてることに対して、今現状としてあるキャパが圧倒的に小さ過ぎるのを感じたから。それは自分たちで満たしていかないと。とにかく同じことを続けるっていう方法論は、根本的に俺たちとは合わない。ドンドンドデカくなって、ドンドン進化していくスタイルじゃないと、将来的にアメフトの開会式でライブするとかにはならない(笑)。何かその辺から見え始めましたね」
 
――あと、FoZZtoneはメンバーの脱退や解散の危機もありつつ10年続いたってことは、やっぱり何かしらの縁があって集まった人たちというか。
 
渡會「だってホントにこの間マネージャーに、“渡會くん、音楽辞めたら多分死ぬと思う”って言われて(笑)。人から遂に言われたなぁと思って(苦笑)。あ、向いてんだな音楽にって、逆にね(笑)。もうやるしかねぇなって」
 
――収録曲を購入者が選べるオーダーメイド・アルバムという斬新な試みも2年やってきて。今改めてどう思う?
 
渡會「俺は1回寝かせたいなと思ってます。っていうのも、“こんな音楽の楽しみ方があるんだよ”っていうことを宣伝するためにやってきた部分があって、ファンがとにかくオーダーメイドを遊び尽くしてくれたっていう結果が残ったから。でも、その面倒くささと手に入れる喜びを、全然関係のない人たちにも味わってもらうためには、俺ら自身がもう1サイズ広がらないと、オーダーメイドの本当の面白みは生まれないなって」
 
――あと、今年は10周年で、ちゃんとお祭り感があることがやれてるのも嬉しいよね。
 
竹尾「最近仲間になってくれる人が増えてきてるなってメチャクチャ感じるんですよ。それはチャートの何位に入るとかよりも、スゴく大事なことやなぁって。今まで出来てなかったなぁとも思ってるんで」
 
渡會「そういう風に俺たちに価値を見出してくれてるのが嬉しくもありつつ、いいプレッシャーも重なって」
 
――自分たちが知らないところで勝手に、“FoZZtoneいいんだよね”って言ってくれてる人が増えてきてくれてるということよね。ようやくやねぇ、そう思ったら。
 
竹尾「いや、ホンマそうですね。だから今年がデビューだと思ってるんで(笑)」
 



(2013年7月19日更新)


Check

Release

“キャリア史上最も身軽で爽快”
と謳われた無敵の最新作!

Album
『Reach to Mars』
発売中 2800円
SPACE SHOWER MUSIC/
TIME'S MARK
PECF-3050

<収録曲>
01. 世界の始まりに
02. 情熱は踵に咲く
03. Master of Tie Breaker
04. She said
05. Shangri-La
06. BABY CALL ME NOW
07. 1983
08. ニューオーリンズ殺人事件
09. 21st Century Rock'n'roll Star
10. Reach to Mars

Profile

フォズトーン…写真左より、竹尾典明(g)、渡會将士(vo&g)、菅野信昭(b)からなるロックバンド。一度聴いたら虜になる切ないメロディと一癖あるアレンジで独自の世界観を確立している。2nd アルバム『The Sound of Music』(‘09)では70年代クラシックロックをテーマに制作、3rd アルバム『NEW WORLD』(‘11)ではクラシックミュージックの構築美を追求し、組曲を作り上げ、ロックオペラライブを演出した。アルバムジャケットは主に渡會のイラストデザインで、『NEW WORLD』のジャケットは小説の作りになっている。音楽をもっと楽しんで欲しいという想いから、購入者が選曲し曲順を選べるという業界初の試み“オーダーメイドアルバム企画”を実施し、その企画を支持したタワーレコード13店舗との“タワーレコード店舗別オーダーメイドアルバム企画”も実現するなど、音楽で真摯に遊ぶロックバンドである。’13年は結成10周年のアニバーサリーイヤーであり、意欲的に制作/ライブ/企画に取り組んでいる。

FoZZtone オフィシャルサイト
http://www.fozztone.com/


Live

盟友たちとの対バンツアーを経て
ファイナルは曰くつきのあの場所で!

【大阪公演】
チケット発売中 Pコード196-569
▼7月20日(土)18:00
梅田Shangri-La
オールスタンディング3000円
[共演]LUNKHEAD
[オープニングアクト]Talows
夢番地■06(6341)3525
※3歳以上は有料。

【仙台公演】
チケット発売中 Pコード197-503
▼7月26日(金)18:30
LIVE HOUSE enn 2nd
オールスタンディング3000円
[共演]MONOBRIGHT
G・I・P■022(222)9999

【福岡公演】
チケット発売中 Pコード200-582
▼8月9日(金)18:30
DRUM SON
スタンディング3000円
[ゲスト]GOING UNDER GROUND
キョードー西日本■092(714)0159
※6歳未満入場不可。

【東京公演】
チケット発売中 Pコード201-331
▼9月7日(土)18:00
赤坂BLITZ
スタンディング3300円
2F指定席3300円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※3歳以上はチケット必要。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

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に至ったバンドの危機と再生を語る
驚異の傑作『NEW WORLD』!
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