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いったい誰がこのバンドを止められるのか!?
大胆不敵なトライアルとタフなメッセージをシーンに提示し続ける
FoZZtoneが到達した『INNER KINGDOM(内なる王国)』!!
大阪ワンマン直前インタビュー&動画コメント (2/2)

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保護してくれ!! 俺ら絶滅危惧種を(笑)
 
 
――『FIND OUT』(M-2)は、“大切なことに気付いてもその気持ち維持し続けることはとても難しいという実体験”から出来ているとのことですが、これはいったい?
 
渡會「『LOVE(M-1)』を作ったとき、すごく真っ白な気持ちになれたんですよ。その後、ツアーでいいモノも積み上げて“このままレコーディングに向けて気持ちを高めていこう!”みたいな空気になったのに、ちょっと時間が空いたらすぐ“ざけんなよマジおめぇらよ~”みたいな気持ちになってたり。あのとき感じた大事なマインドを、なぜ維持出来ないのかってすごく思ったんですよね。そんなとき、たまたま車で埼玉の方に行ったとき、うちの地元の山が見えて、俺が実家を出た頃はもっと売れる予定だったなぁとか(笑)、そういう最初の志みたいなものも思い出したりして。その気持ちをいつでも思い出せるように、具体的に曲に落とし込む作業しないと、やっぱり俺はダメなんだなって思ったんです。フィジカルってそういうことなのかなぁって」
 
――そして今回もまさかの2枚組という。オーダーメイドもそうですけど、2枚組を踏襲したのも同じ理由で?
 
渡會「うーんまぁそれもありますし…まぁそれだけかな」
 
――アハハハハ!(笑)
 
渡會「すごく単純な発想ですけど、前回2枚組を出して今年は1枚って、口では何とでも言えるけど、単純に量が減ったみたいな(笑)。それはよくねぇなって」
 
――ホントに自分で自分を苦しめていってますね(笑)。
 
渡會「ハイ(笑)。量を減らさず質を上げる」
 
――でも、2枚組だから表現出来ることも感じ始めてるんじゃないですか?
 
渡會「2枚組特有の連続性とか関連性っていうところで、FoZZtoneは面白味を提示出来るんじゃないかなぁとは思ってて。それこそが音楽を“アルバムで聴く”っていうことだと思うんですよね。今までのアルバムもストーリーを気にして作ってきたけど、聴いても気付かない人は一切気付かないんですよ。でも、2枚組はその対比だったり関連性が、すごく象徴的に見えやすくなるツールだなぁと」
 
――FoZZtoneは、試み的にもそうですけど、音楽的にもどんどん自由になっていってる感じがしますね。
 
渡會「そうですね。自分たちがすごくいいなと思ったバンドでも、一緒に飲んだときとかに話してると、特に音源に関してはいろいろと縛りがあるんだなって感じるんですよ。“自らに課してるって…大人にそう言えって言われたんだな”みたいな感じの人もいるし」
 
――メジャーだと特に、ある意味周りが求める、期待される音楽性みたいなものもありますからね。
 
渡會「最初に『LOVE』を作った時点で、そういう業界の体質も嫌だなぁっていうのは思ってたんですよ。自分たち以外の人が自分たちに掛けている謎のプレッシャーみたいな。それに応えるのがプロという意見も、場合によっては違うと思うんです。それであのロックバンドたちは一時期必死に4つ打ちのダンスビートを叩いていたのかとか、下北系ギターロックみたいな流れを踏襲していたのかと思うと、オリジナリティの抹殺だなって。そんなものも完全に吹っ切って、もっとデカいところで音楽やってるんだって思いっ切り言ってやろうっていうのがあって、『LOVE』を作った部分はあるんですよね」
 
――レコーディング中で印象的なエピソードって何かありました? ここに苦労したとか、こここだわったとか。
 
渡會「もう竹尾なんかね、ずーっとガガッ! ココッ! キュッキュッ! ってギターでヘンな効果音を延々出してるから、何する気だろう?って思ってたら、エンジニアさんに“好きなように切り貼りしてください”って(笑)」
 
竹尾「後は分かるよね?っていう感じ?」
 
――アハハハハ!(笑) ずるいっちゃずるい(笑)。
 
(一同笑)
 
竹尾「そういうチームだから言えることでもあるし、結局自分の頭にあるモノを口じゃなくて音で伝えられてないと、俺はもうニセモンだなぁって思うし。エンジニアさんがそういう自分のことも、FoZZtoneというバンドの中でのギターの立ち位置もすごく分かってくれている人なので。やっぱり信頼関係があるからそういうことも出来る」
 
――音を聴いてても、やっぱり竹尾氏みたいなギタリストは今はいないなぁって。
 
渡會「そうなんですよね」
 
竹尾「保護してくれ!! 俺ら絶滅危惧種を(笑)」
 
――ホントそうだわ(笑)。
 
竹尾「まぁどれだけテクノロジーが発達しようが、ギターっていう楽器はもう70~80年代で完成されていると俺は思ってるんです。ギターメーカーが新しい音を探そうといろんな素材を使ってみても、結局最後にはヴィンテージ市場が一番伸びるんですよね。何でかっていうと、もう完成されちゃってるんです。新しい奏法がどうとかって言ってくる奴は、ちょっと鬱陶しいなぁって思うんですよね。そこ、ちゃんと割り切れよって」
 
――アハハハハ!(笑)
 
竹尾「俺たちは用意されたモノの掌で踊るしかないんだって。けどその中で、自分が何を選択して、思いっ切りカッコいい!って言えるものは何なのかっていう」
 
――バンドが自由になればなるほど、ギターに関してはすごくいい成分が出てきてますね。
 
竹尾「このレコーディングに入る前にいろんな音楽を聴いて、いろいろ弾けるようになってたんですよね。だから、スペイン風だとかアフリカ風だとかのフレーバーが、改めて用意してなくても出すことが出来た。でもそれはレコーディングのためじゃなくて、結局自分のためなんで。それをバンドのために常に上手く出せるようになっとかないとなぁとは思ってますね」
 
――作品から感じる大陸性だったり雑食性みたいなモノが、今作ではより色濃く出てますよね。
 
渡會「基本的には踊れるとか気持ちいいみたいな、リズミカルなアルバムにしたいっていうのはすごく思ってたんですよ。そうなると、やっぱり普通のバンドのリズムに留まりたくないのもあって。あとは単純にメンバーがワールドミュージックにまでを手を出し始めたのがそのタイミングだったから、これはもうやってしまえ!みたいな」
 
竹尾「今回はすごくバンドっぽい作品だなぁって思ってて。多分自分1人とかワッチ1人とかだったら、すごく偏った作品になると思うんですよ。けど、このバンドにはいろんな考え方の奴がいて、いろんなプレイスタイルの奴がいる。新しい音ってそこにしかないと思うんですよ。1人で新しい音を作り出すなんて無理で、結局よく分からない化学反応がいつの間にか起きて、あれ? こんなことになっちゃったっていうのが、新しい音だと思うんですよね」
 
――言ったらFoZZtoneも長いじゃないですか。それでもまだそういうことがあるんですね。
 
渡會「そうなんですよ。そして、ようやくそれをやり始めたみたいなところもあると思います」
 
竹尾「確かに」
 
――刺激とか衝動とか新しさはなくなっていってしかるべきなのに、今さら覚醒し始めたみたいな(笑)。
 
渡會「根本的になくなっていくモノは絶対にあるし、慣れていくモノだと思うんですけど、絶対にみんなが成長するって、自分の中で信じてるんです。コミュニケーション取っていれば必ず、そのコミュニケーションが良質なモノになっていく。いや、そう信じないともうやってらんねぇなみたいな(笑)」
 
 
根本的にみんなの身体の中には輝かしいパワーがあって
ただアウトプットの仕方がよく分からないだけ
 
 
――今回タイトルは『INNER KINGDOM(内なる王国)』と。これはどこから来たんですか?
 
渡會「メンタルとかフィジカルとかそれすらも関係ないところで、有象無象のものすごいパワーが人間の内側にはある。“元気を出せよ”って言うのも簡単なんだけど、いやいや元々持ってるからそれ、みたいな。根本的にみんなの身体の中には輝かしいパワーがあって、ただアウトプットの仕方がよく分からないだけで。自分の中の素晴らしいモノをまず肯定しようというか、そういうイメージですね。自分でも今何言ってるかよく分かんないんですけど(笑)、なぜか王国まで出て来ちゃった(笑)」
 
――アハハハハ(笑)。そうだね、王国は何だ?って感じですね。
 
渡會「そうなんですよ。結構雰囲気とかノリで作ってるアルバムなんで、小難しく説明しようとするといくらでも小難しくなりますし、多分一生出口がないアルバムだと思うんで。フィーリングで何となくこんな感じ?って聴いてもらえれば、すごくシンプルな作品じゃないかなぁと思います」
 
――出来上がったときって何か達成感はありました?
 
渡會「僕はこれ、CDショップ大賞になんなかったら嫌だなぁって」
 
(一同笑)
 
――またね(笑)。 ※昨年、『NEW WORLD』はノミネートに留まった。
 
キャノン「タイトなスケジュールの中でこれだけの曲数を録らなきゃいけなくて、いやこれは無理だろって最初は思ってたんですけど、終わってみたらこんなアルバムが出来てて。いや、すっげぇなぁと思って(笑)」
 
(一同笑)
 
キャノン「ホントに壮絶だったけど、改めてうちらの関係性ってバンドなんだなぁっていうのは思いましたね」
 
竹尾「俺はね、悪い意味じゃなくて完成したときの達成感って、今までのどのアルバムでも1回も感じたことがないんですよね」
 
渡會「ちょっと!(笑)」
 
竹尾「もう録り終わった瞬間に、興味がなくなってる」
 
――アハハハハ!(笑)
 
渡會「悪い意味じゃないんですけど…って、逆にいい意味が見付からない(笑)」
 
――ヤッたらもう興味なくなったっていう。
 
竹尾「アハハハハ!(笑)」
 
キャノン「最低な男ですね(笑)」
 
――あんなに優しかったのに、終わった途端にもう…。
 
渡會「え? 帰んないの? みたいな(笑)」
 
竹尾「まぁ(笑)やることはやったんだから、評価はみんなが下すモンだし、それに関してとやかく俺が言うことでもないみたいな感じなんで。達成感とかよりも、レコーディングで自分のパートを入れるときの、俺の中での神の時間が、一番好きだから」
 
渡會&キャノン「(笑)」
 
――個人的には『GENERATeR』(M-8)も気持ちいいしアガるし好きですね~。
 
竹尾「バイク音とかエンジン音を入れたかったんですよ。ドルゥンドルゥン!って(笑)。ライブでは一段上のお立ち台にポリスの格好をした女の子がいて、サイレンが鳴ってる中…」
 
――サーチライトが!(笑)
 
竹尾「回る曲だって(笑)。普通若い頃の方が向こう見ずにやるモンだと思うんですけど、俺らはデビューしたてのときの方が、自分に限界を作っていたような気がしてるんですよ。例えば俺やったらマディソン・スクエア・ガーデンで、日本人初のワンマンをやるんだって口では言ってたけど、実際どこかで無理だろうなって冷めてる部分もあったし。30になってからの方が、よりキッズになってきた感じがするんですよね」
 
渡會「ドンドン羽ばたいていってる気がする(笑)。30になるまでの貯金がゼロってマジで引く瞬間もあるけど(笑)、でも、音楽の経験値は恐ろしく貯まってきたなぁと。これを財産にしないとシャレにならんと思って(笑)」
 
――俺も同様にこういう金にならない技術を身に付けてしまったからなぁ(苦笑)。
 
渡會&キャノン&竹尾「アハハハハ!(笑)」
 
――これを活かすしかない、これが正解だった人生にするしかねぇっていう感じはありますね。あとは、同作に伴うリリースツアーもあって。ファイナルの10月27日(土)東京キネマ倶楽部では、2枚目のdisc mental「Pageant : Keller Water」の完成披露会も行われ、CDに収録されていない第三部がそこで明らかになると。まず関西は10月7日(日)梅田Shangri-Laですね。またライブでお会いしましょう!
 
渡會&キャノン&竹尾「ありがとうございました~!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史
 



(2012年10月 5日更新)


Check

Release

刺激だらけのプリミティブなサウンド
2枚組であなたを連れて行く音楽旅行

Album
『INNER KINGDOM(内なる王国)』
発売中 3200円
TIME'S MARK
XQKN-1004

【disc physical】
「Beautiful gene」
<収録曲>
01. LOVE
02. FIND OUT
03. TOUGH!!!
04. Beautiful gene
05. Fish,Chips,Cigarettes
06. Club Rubber Soul
07. half myself
08. GENERATeR
09. waterline
10. MOTHER ROCK

【disc mental】
「Pageant:Keller Water」
<収録曲>
第一部
prologue
Discommunication Breakdown
Keller Water

第二部
Crocodile bird reaction
-Planaria fever-
El Condor Pasa
your song for new morning

第四部
african diabolo
Africa
epilogue

Profile

フォズトーン…‘01年、ジェフ・ベックやジミー・ペイジ、スラッシュなどのギターヒーローに憧れた竹尾典明(g)と、ビートルズやサイモン&ガーファンクルに幼少の頃より親しんだ渡會将士が(vo&g)が出会い、FoZZtoneの前身となるバンドがスタート。’03年、邦楽ロックをルーツとし、レッド・ホット・チリペッパーズ、ベン・フォールズ・ファイヴなどを好む菅野信昭(b)が加入。’07年にミニアルバム『景色の都市』でメジャーデビュー。’10年、購入者が曲順を選べる業界初のオーダーメイド・アルバム『from the NEW WORLD』企画を実施し話題に。同年9月にドラム越川慎介が脱退。’11年7月に2枚組アルバム『NEW WORLD』を発表。今年4月にはミニアルバム『LOVE』をリリースした。

・渡會将士(vo&g)
「僕は天才です。音楽、美術、文学、およそ芸術でくくる事が出来るものには万能とも言える黄金の右脳を持った天才なのです。以後お見知りおきを」
(11.4.23 赤坂BLITZワンマンの自己紹介にて)
※作詞、作曲、アートワーク、
ライナーノーツ、他を手掛ける。

・竹尾典明(g)
「彼は子供です。この2011年の現代に、80's HR / HMの様なギターヒーローになる事を真剣に追求している化石のような子供です」
(同日、渡會談)
※作曲を手掛ける。マーシャル三段積み。
メインギターはレスポール。
無類の酒好き、釣り好き。

・菅野信昭(b)
「彼は凡人です。髭の濃い凡人です」
(同日、渡會談)
※一部作曲を手掛ける。

FoZZtone オフィシャルサイト
http://www.fozztone.com/


Live

レコ発ツアーも後半戦に!
大阪公演が間もなく開催

Pick Up!!

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード174-434
▼10月7日(日)18:00
梅田Shangri-La
オールスタンディング3300円
夢番地■06(6341)3525

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

 
 
【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード176-454
▼10月8日(月・祝)18:00
ell.FITS ALL
スタンディング3300円
サンデーフォークプロモーション■052(320)9100

【福岡公演】
チケット発売中 Pコード175-882
▼10月12日(金)19:00
DRUM SON
スタンディング3300円
キョードー西日本■092(714)0159
※6歳未満入場不可。

【広島公演】
チケット発売中 Pコード174-329
▼10月14日(日)17:00
広島Cave-Be
オールスタンディング2800円
[共演]竹内電気
夢番地広島■082(249)3571

【東京公演】
一般発売10月13日(土)
Pコード182-080
▼10月27日(土)18:00
東京キネマ倶楽部
スタンディング3500円
ディスクガレージ■050(5533)0888
※3歳以上はチケット必要。
 

Column

革新的なオーダーメイドアルバム
に至ったバンドの危機と再生を語る
前作にして驚異の傑作
『NEW WORLD』インタビュー!

“YES! GO!”の精神で生まれた
生命力溢れる新作『LOVE』
ユーストリームで実施された
公開生インタビューを掲載!