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SURFACE時代から続く14年のキャリアと
ソロとしての新たな刺激が実を結んだ新作『I & key EN』!
6/23(土)梅田クラブクアトロを前に
椎名慶治が人と人の縁が導いた現在地を語る

 新世代の歌姫May’nとのユニット・Astronautsから、ジャニーズ、アニメのテーマ曲への詞の提供など、外仕事もフルスロットル! SURFACE解散から早2年、ソロアーティストとしての歩みを進める椎名慶治が、4月に最新ミニアルバム『I & key EN』をリリースした。人気の高いバラードを敢えて封印し、ハイテンション&ハイエナジーで攻め立てるアッパーな全7曲は、お得意のロック/ポップスはもちろん、ヒップホップに歌謡曲、スカからK-POP風味のデジロックまで(!?)、旬のアレンジャーが繰り出す時代の音の上を、独特の言葉のチョイスと語感で軽やかにステップする“椎名節”も絶好調! SURFACE時代から続く14年のキャリアとソロとしての新たな刺激が交差する今、タイトルの“合縁奇縁(あいえんきえん)”=“人と人との不思議な巡り合わせの縁”さながら、1つ1つの出会いが、まさに実りの季節を迎えつつある椎名慶治にインタビュー。新作に伴うツアーもいよいよ開幕、6月23日(土)梅田クラブクアトロでのツアー大阪公演に向け気合十分で臨む彼の、過去・現在・未来を赤裸々かつボーダレスに横断する、楽曲さながらスリリングでハイスピードなマシンガントーク(笑)、ご賞味あれ!

椎名慶治からの口八丁手八丁動画コメントはコチラ!

――2012年第一弾アイテムとしてミニアルバム『I & key EN』が4月にリリースされましたけど、やっぱり2011年あってのこの作品であって。昨年の1stアルバム『RABBIT-MAN』のリリース時は本当にSURFACEと地続きの感じでしたけど、2011年は椎名さんにとってどんな1年でした?

 
「SURFACE時代に外仕事をあまりした覚えもないのに、解散して1年経つ頃には仮面ライダーフォーゼのユニット(=Astronauts)組んでたり、タッキー&翼に歌詞を書いてる自分が不思議だなぁと(笑)。逆に言うとあまりにも順調過ぎるというか、それにちょっと自分が着いていけてないというか。“俺、何がやりたいんだろう? カッコいいとは思うけど、これ本当にやりたいこと? 分っかんねぇけどやっとくか!”みたいな感じで、勢い任せでずーっと走ってた1年でしたね」
 
――そう考えたら不思議ですよね。だって言ってしまえば、SURFACEが現役で勢いがあった時代の方が“ブランド”なわけじゃないですか。その頃にそういう話があったわけじゃなくて、ソロになった今、そんな話がボンボン舞い込んでくるっていう。
 
「そうなんですよ。だから相方(=永谷喬夫(g))がいけなかったのかなぁって(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「いや、ホンット分かんなくて。事務所がいけなかったのな?(笑)」
 
――今より全然デカい事務所ですけど(笑)。
 
「やっぱり人と人とのつながりは金勘定だけじゃないんだなって。マネージャーと2人しかいないこんな弱小事務所で、話をこれだけ持って来てくれるのは、やっぱり人というか、“椎名に頼んだら面白いことが出来そうだ”って思ってくれる人がいるからで。それが、SURFACEからやってきた1つのキャリアだと思うし、本当に不思議とタイミングが合ったんだなぁと」
 
――何が変ったかと言ったら、あの頃から時間が経っている。何が変わらないかと言ったら、椎名さんは歌い続けている。その歌声を聴いてきた、関わってきた人たちがこの業界にずっといれば、その人たちのポジションも自ずと変わっていて。
 
「まさにその通りで。僕が14年やっている間に辞めてしまった方もいるけど、階級がえーらい上がっている人とかもいて。あんなに馴れ馴れしく話してた人が、今じゃ社長だよ!みたいな。あの頃撒いた種が、今芽を出したというか。ヤラしい話ですけど、“ラジオに出たい!”って言ったら“いいよ、おいでよ、出してあげるよー”って言ってくれる人がいる。俺は本当に裏表がないので、嫌な人は嫌だと思っちゃうし、いい人はいいって言っちゃう。そういうところが気に入られてたのはありますね。“ラジオのレギュラーやりたいんですけどー!”、“いーよー!”ってわけには普通いかないじゃないですか(笑)」
 
――そらそうだ(笑)。
 
「それはやっぱり“椎名だったらいいよ。椎名だったら喋れるし”との理解あってのことだと思うし。仮面ライダーフォーゼのテーマ曲にしても、俺の仮面ライダー好きを知っててくれたから実現した話だし。今なんか『しろくまカフェ』っていうアニメのオープニング曲の歌詞も書いてますけど、こんなの書く人間だったかな俺?みたいな(笑)。ホント縁ですよね」
 
――外仕事から吸収するものって何なんでしょう?
 
「自分が書いた歌詞を自分で歌うのは得意分野じゃないですか。だけどそれって、聴感上僕が歌ってるから許される。実はSURFACE時代から何度か外仕事にチャレンジしたことがあって。結局落ちたわけですから、その頃はやっぱり自分の言葉は自分でしかなくて、外仕事として通用する言葉じゃなかった。面白いとは、独特だとは自分でも思うけど、それだけじゃダメだなって。でもそういうチャレンジを何度も繰り返してたから、コンペじゃなく名指しで“今の椎名くんにだったら任せられる”って、タッキー&翼のディレクターの方とかが話を振ってくれるようになった。それがSURFACEから今まで14年間やってきたキャリアと信頼関係だと思うし、全部人のつながりなんで」
 
――やっぱりステータスとかポジションとか裏表で付き合っていると、結局その関係って元来気持ちのいいものではないから、長くは続かないですよね。やっぱりブレない人がブレない人を見つけ出すというか、響き合う。
 
「本当にその通りだと思うし、そう言う意味では今この関係もそうだと思いますよ、ホントに。もうなかなか長い関係になって来ましたね。いつもお世話になってます(笑)」
 
――いえいえ(笑)。にしても、ここ最近は椎名さんが積み上げてきたものが、花開いていく感がありますよね。
 
「まだまだだなぁとは思ってるんですけど、1年やってきてここでライブしたらこれぐらいのお客さんが来てくれるとか、ある程度見えてきたのはデカイですね。俺、自分を大きく見せるのが苦手で。だからステージでカッコつけてる人を見ると笑っちゃうんですよね。氷室(京介)さんがモニターに足掛けてるのはカッコいいんですよ。ただ、あれを20代の子とかがやってるのを見ると笑っちゃう。やっぱりその人のキャラが周囲に植え付けられてないと認められないというか。だから俺もまだ、モニターに足掛けるの早いかなぁ!? もうちょっとかなぁ!? みたいな(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) まだ? もういいんちゃいます?(笑)
 
「たま~に掛けるんですけど、ゆーっくり下ろしますもん(笑)」
 
(一同爆笑)
 
「ゴメン。掛けちった、みたいな(笑)。もうちょっとナチュラルに出来るようになれたらいいなぁ」
 
――足掛けるときに、“俺、今からモニターに足を掛ける”って意識が働いちゃうんですね(笑)。
 
「そうそう! 俺、完っ全に計算してますからね。ここは掛けていいよね? みたいな(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「それが自然と出来るようになったときが、カッコ付けてなくてカッコいいときだと思うので。モニターはまだ、早いっすねぇ…(笑)」
 
 
“壊してくれ”って言えるようになったのはデカイかもしれない
 
 
――今回の『I & key EN』は敢えてのミニアルバムだと思うんですけど、この流れになったいきさつはいったい?
 
「昨年6月に1stアルバム『RABBIT-MAN』を出して、そのツアーも終わって、卯年の『RABBIT-MAN』に一つの区切りを付けられて、お客さんも集まってくれた。SURFACEの解散という人生の大きな分岐点を経て、売り上げ的にも、お客さんの反応を見ても下がってない。というかむしろ上がってきてるし止まれないと。マネージャーからも“ここで止まったらもったいない!”と言われ、“いや、もったいないって言われたって、今終わったばっかじゃねぇかよ!!”みたいな(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「12月に『RABBIT-MAN』のライブDVDを出すことは決まってたけど、そこから次につながる、点を線に出来るアイテムを年内にもう1枚出したいと言われ…結果シングル『I Love Youのうた』(M-4)を同時発売したんですけど、その帯を見ると“2012年SPRING Coming Soon”みたいなことが書いてあって…え!?って。まぁ俺にはナイショですよね、完全に(苦笑)。だから休みたい!っていう気持ちと、休ませない!っていう気持ちのせめぎ合いの中間地点が今回のミニアルバムになったっていう(笑)。でもミニアルバムって、シングル以上にチャレンジ出来て、フルアルバムと違って起承転結もいらない。冒頭でも言ったけど、ガムシャラに走り続けてはいるけど、本当に自分がやりたいことなのかをもう一度再確認したくて、だったら今回は自分のやりたいジャンル、やりたい音楽だけを詰めようと。元々バラードがあまり好きじゃなくて、それは他人のライブを見ててもそうで。ただ、俺のバラードが好きだと言ってくれる人が多いのは理解してるんです。でも、とりあえず今回はバラードなくてもいいですか? やりたいことだけ詰め込ませてください、その代わり次のフルアルバムには3曲入れるんでみたいな(笑)」
 
――アハハハハ!(笑) 聴いた感じとしてはやはり攻めの印象がありますよね。椎名さん的にも今回の制作は楽しめたんじゃないですか?
 
「すごい楽しかったですね。悩まなかったし、一本の軸を通そうという気すらなかった(笑)。あと今回はいろんなアレンジャーとやってみたかったのがあって、後輩の磯貝サイモンや、仮面ライダーでお世話になってる鳴瀬シュウヘイ、『I Love Youのうた』でお世話になったAKIRAくん、オダクラユウとか。あとは『I'm aサラリーマン』(M-5)のホーンアレンジで中西亮輔さんとか、自分たちを含めて7組のアレンジャーがいて、7曲入りで、ジャケットにも7 人。まぁ偶然なんですけど」
 
――バラードというチャンネルを切って、椎名さんが持っているアッパーな部分だけで満足させないといけないという意味では、それはそれでチャレンジではありますよね。
 
「なのでノリがそっくりな曲は一切入れたくなかった。ロック、ファンク、スカ、ジャズもやりたい。デジロックもいいし、K-POPを茶化してみたり。本当に楽しんで作れたし、俺が思う理想のアレンジにちゃんとみんなが落とし込んでくれた。やっぱり仲間に恵まれてるなぁって。ほっときゃカッコ良くしてくれるんで」
 
――今回のセルフライナーノーツを読んでいても、すごく制作を楽しんでる空気がありますね。
 
「やっぱりアレンジを外に投げたのが一番デカイんです。その分歌詞に、歌に集中出来るから」
 
――逆に言うと外に投げられる余裕というか、信頼関係ですよね。
 
「“壊してくれ”って言いましたから。そう言えるようになったのはデカイかもしれない」
 
 
歌詞に関しては絶対に人が書かないところを切り抜きたい
 
 
――1曲目の『年齢不showtime w/ZERO』のタイトルなんかはまさしく“椎名節”だし、これはハードなオープニングナンバーですよね。
 
「サウンド的にはベースがうねってたり、ドラムもすっごいタイトだし、ギターもダブルで全然違うフレーズを延々弾いている。でも、皆がウワァーッとなってる中で、如何に余裕をぶっこける自分がいるか。ここに自分も乗っかって盛り上がってると、ただのうるさい子供のバンドになっちゃうから」
 
――ホント台風の目に椎名さんがいるというか。
 
「あぁもうまさにまさに。その表現がすごく合ってるかも」
 
――ZEROさんのラップもキレキレですし。でも、ラッパーとのコラボを今や普通にやっているのも面白いですよね。今までそんなイメージなかったですから。
 
「SURFACE時代はホントなかったんで、不思議ですよね。ZEROは今回のツアーではラップもコーラスもやってもらいますよ~」
 
――次の『はないちもんめ』(M-2)も、“新しさよりも懐かしさが先にくる世界観”というのも納得のサウンドで。
 
「この歌謡のノリが昔っから好きなんですよね。BOØWYさんの『季節が君だけを変える』(‘87年)とか、斉藤和義さんの『お家へ帰ろう』とか。ちょっと間違えるとチャラケて聴こえちゃうんで、実はすごく難しい」
 
――この曲は特にそうなんですけど。ある種J-POPとか歌謡曲が元気だった頃の血がこのアルバムには流れてるなぁって。今回のアルバムを聴いたときの“90年代前半感”というか、音楽が元気な時代の匂いがちゃんとあって、且つ古くさくないっていう。
 
「もうまさにそれを目指してましたから。今の時代にはあんまりいないと思うし、そういう意味では自分がこの目で見て来たモノだし。歌詞に関しても絶対に人が書かないところを切り抜きたくて、“はないちもんめ”をこういう形で書く人は絶対にいないだろうって」
 
――“僕が欲しいならハッキリ欲しいって言ってよ”って、強気なんだか弱いんだかよく分かんないこのフレーズとかもまさに(笑)。
 
「計算通りですよね。ヤラしいですよね(笑)」
 
――詞に関してもいろいろな椎名節を垣間見られるというか。はいこのフレーズ罠、罠、罠、ちょっと離れて罠。みたいな(笑)。
 
「アハハハハ!(笑)」
 
――『お節介焼きの天使と悪魔と僕』(M-3)はリード曲ですけど、これはまさに王道の1曲ですね。ライナーノーツにも“こういう曲が作れなくなったらヤバい”って、ある種のリトマス試験紙じゃないですけど。
 
「こういう王道の曲がなかったら、遊べなくなっちゃうんでね。SURFACEがそうだったんですよ。全曲シングルみたいだけど、同時にそれが自分たちを苦しめてることに気付かないままで…。だから70点は採れるけど、100点が採れなかった。普遍的で、時代に流されずに聴ける“ザ・歌謡曲”な『I Love Youのうた』とか『お節介焼きの天使と悪魔と僕』が王道のJ-POP=100点だったとしたら、後はもうとことん遊べばいいから、『年齢不showt ime』みたいな挑戦的な曲も出来る。そういう遊びがやっと出来るようになったんです。これは永谷と俺の悪いところだったんだろうと思うんですけど、余裕がなかったんですよね。真面目過ぎてホントぶつかったし」
 
――このミニアルバムを作っていく中で、過去を思い出したり、何が出来て何が出来てなかったか、いろいろ分かりますね。
 
「めちゃくちゃ分かりましたね。後悔は人生の中でなるべくならしたくないと思ってますけど、あのとき永谷とこういう会話が出来てたら、もしかしたら抜け出せたんじゃないかとか、そう思ったことはソロになってからだけでも3回はあるかな(苦笑)。次の『I'm aサラリーマン』とかは、自分でもSURFACEっぽいなぁと思いながら作ってて。そういうときに永谷が隣にいたら何て言うのかなって思ったし。未練はないけど、たまにふと思い出しますよね。SURFACEのことは、うん」
 
――それを思うのは、やっぱりSURFACEが可能性を残してたからでしょうね。皮肉なもんで、自分がソロをやることでそれを確信していくという…。とは言え『I'm aサラリーマン』なんかは…。
 
「もうもうもう、絶っっっ対俺ですもん(笑)」
 
――俺なんて取材のための紙資料に“ウマい!”って思わずメモッたぐらいの椎名節(笑)。
 
「アハハハハハ!(爆笑) ありがとうございます(笑)」
 
――サラリーマンからしたら“そんな華やかな仕事してて、サラリーマンのこと歌ってもリアリティないじゃん!”みたいなところもあるかもしれないけど、案外歌詞の中の“信じる人”がスタッフだったりお客さん、“君の笑顔”が嫁さんともファンとも取れるし、ミュージシャンの気持ちをサラリーマンに置き換えてもマッチするんだなって。
 
「いや、同じですよ、ミュージシャンも。SURFACEが終わってソロになった椎名慶治の会社での立ち位置は、新人バンドから追い抜かれ、ファンから指差されみたいな(笑)。“もう音楽辞めてやるー!!”が=“こんな会社辞めてやるー!!”だったり。みんなそうなんだ、同じなんだって。今回のミニアルバムの中で一番共感を呼んだ曲でしたね」
 
 
俺の外仕事のきっかけは、結構TAKUYAさん始まりが多い
 
 
――例の『Giant Step-SHIINA ver.-』(M-6)は、自分がずっと憧れた仮面ライダー(フォーゼ)のテーマ曲で。これはやっぱり嬉しいですよね。
 
「最初は信じてなかったです。テレビで流れてるのを見てようやく“俺だぁ~!”って(笑)。ツインボーカルのお相手のMay'nちゃんなんて22歳だから。14歳差だから(笑)。だからすごく嬉しかったというよりも不思議でしたね。素直に喜んでなかったな(笑)」
 
――縁の話で言ったら、TAKUYA(ex.JUDY AND MARY)さんのPV撮影の場にお邪魔して…っていうところからこの曲につながったんですよね?
 
「そうです。現場で“あのRed Bullをずっと配ってる男は誰だ!?”って(笑)。自腹で20本位買って来て、スタッフに配ってたんで(笑)。それがすごく印象に残ってたみたいで、本当に仕事になってしまうっていう。そこで知り合ったのが今回のミニアルバムにも参加してくれている鳴瀬シュウヘイで。だから全部がつながってるなぁ~って」
 
――ちなみにTAKUYAさんとは、そもそもどういうつながりなんですか?
 
「元SURFACEのディレクターがTAKUYAさんに、“SURFACEの椎名って奴がいい歌詞書くから一度会ってみれば?”って薦めてくれたんですよ。その出会いをきっかけに喜多修平という新人のデビュー曲の詞を書いたら、“お前いいな、次の曲もやれよ”って。もう4年前ですかね。だから俺の外仕事のきっかけは、結構TAKUYAさん始まりが多い。ホントに人脈の広さには驚かされますね。見た感じスッゲェ怖そうな人なんだけど、この人はそういうところもきちんやってきたんだなって。4年も一緒にいると、“あ、可愛いなぁこの人”っていうところも分かってきて。だからみんなが離れないんだって」
 
――この曲は“-SHIINA Ver.-”ということでソロ用にリアレンジされてますが、レコーディング時は喉の調子が相当悪かったそうで…。
 
「もう絶不調で。例えて言うと、“震えて~る♪”ぐらいしか歌えないんですよ。声が出ない。俺が震えるわ(笑)。だからとりあえずパーツパーツで録っていく」
 
――それはよっぽどですね。この曲は作詞が自分じゃないわけですけど、それってどういう感覚です?
 
「“カバーした”って感じですね。『Giant Step』も自分の曲ではあるわけだけど、他人の歌詞を覚えるのは大変だなぁって。まぁ自分の曲でも覚えないっすけどね、俺(笑)。でも、作詞の藤林聖子さんはハンパじゃないですから。多分、アニメ、特撮においては今、日本一の作詞家だと思います。『仮面ライダーフォーゼ』の劇中に5~6曲流れてるんですけど、それも全部藤林さんなんですよ。『特命戦隊ゴーバスターズ』も『ONE PIECE』も藤林さん。もう間違いないっす」
 
――アニメ、特撮だとアジアでも流れる、DVDになるとかで、二次使用の頻度がエゲつないですからね。
 
「当たれば1曲何千万の世界が待ってますから。だからこそ俺の『しろくまカフェ』じゃないですか!(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「仮面ライダーの場合はCD売り上げよりも、全国でショータイムですよ。もう二次使用料がハンパじゃない。そうしたら鳴瀬シュウヘイがお店出すとか言い出すんで、調子コイてんじゃねぇよお前!! みたいな(笑)」
 
――この1曲があることで逆にすごく分かるんですけど、椎名さんはボーカリストでもあるんですけど。やっぱり詞ですね。その2つがあって初めて椎名さんになる。
 
「あぁ~それはすごく嬉しいなぁ。ありがとうございます」
 
――と、いうわけで最後はK-POPを激しく意識した(笑)『byte×bite』(M-7)です。やっぱり新鮮ですよね。
 
「元々メロディをアカペラでiPhoneに入れてたんですけど、そのときから頭で鳴ってたのがデジタルサウンドで。昔で言えばマイケル・ジャクソン、今ならレディ・ガガやK-POPだったりすると思うんですけど、デジタルにまみれた世界で一度歌ってみたいなって思ったんです。『I Love Youのうた』のカップリングでもお世話になったAKIRAが、東方神起とか安室奈美恵、俺の元先輩の平井堅のアレンジもやっていて。実はAKIRAは元々俺がデビューする前のオーディションからの仲なんですよ。最終審査で8000組から25組が選ばれて、そのとき隣にいた男がAKIRAで。その後モーニング娘。とかを手掛けアレンジャーとして開花していく中で、俺は俺でSURFACEが軌道に乗ってきて。全然連絡は取ってなかったんですけど、“誰か変態的アレンジでぶっ壊せる人いないかなぁ”って思ってたら、AKIRAの名前が挙がってきて。もうめーちゃくちゃカッコよかったですね」
 
――やっぱり今の時代感がする曲ですよね。その時代の音に椎名さんが乗っかったらどうなるか。
 
「ここまでハッキリと声を加工したことはなかったですね。歌詞はマイケル・ジャクソンが“これ以上僕にプレッシャーを掛けないでくれ”っていうことをただひたすら妹と歌ってるだけの『スクリーム』がイメージ(笑)。でも仮面ライダーもちょこっと入れちゃったり(笑)」
 
――これ明らかにいらんでしょ(笑)。
 
「完全に気付いて欲しい遊び心というか。で、最後の“ジャンピンジャンピンなぅ”はKARAです(笑)」
 
――聴き覚えのあるフレーズが(笑)。あと、この曲が何気に最後の曲なのもスゴい。
 
「『Giant Step』がオマケみたいな曲だからって最後にしちゃうと、ホントのオマケに見えちゃうし、大きなお友達たちも悲しんじゃうんで(笑)。『byte×bite』は最後に“I & key 縁”っていうフレーズも使ってるし」
 
――案外、椎名さんがこの辺乗っかったら売れるかもですよ~。
 
「そろそろヘッドセット付けようかな(笑)。身体ムッキムキにして、バッカバッカ踊ろっかな(笑)」
 
 
“椎名慶治は椎名慶治だった”って、“もうしょうがねぇよな、あいつは”って
言ってもらえるようなライブにしたい
 
 
――そして、タイトルの『I & key EN』=合縁奇縁。初めて聞いた言葉です。
 
「友達とソロになってもこれだけ恵まれた環境にいる話になったとき、“それはお前にまつわる“合縁奇縁”なんじゃねぇの?”って言われて。俺がその言葉になぜ食い付いたかというと、“アイ”という言葉で始まってたからなんです。背中を押すポジティブソングがSURFACEだとしたら、“I”をテーマにソロはやってみたくて、デビューミニアルバムはまんま『I』、フルアルバム『RABBIT-MAN』はRABBITのIだけ赤くしたり、その次のシングルが『I Love Youのうた』で。あと、合縁奇縁の意味を調べたら、人と人のつながりだと。人と人とのつながりは全て因縁めいたモノから始まるから、善くも悪くも人とのつながりは全部因縁なんですと。だから実はあまりいい言葉じゃないんですよ。“敵”とか“仇”でも合縁奇縁で結べちゃう。綺麗事じゃないからこそリアリティもある言葉だし。ただ、そのままタイトルにしようと思ったら、“愛縁機縁”とか“相縁機縁”って漢字がいくつも出てきて…四字熟語なのに答えが3つあるって何だよと(笑)。このまま並べるわけにはいかないから、英語の“I”、“& key”に関しては後付けで(笑)、最後の縁=“EN”は、実はSURFACEのファンクラブライブも『EN』で、デビューから今までの全ての“EN”(=縁)を思うような、ちょっと泣けてくる言葉にしたくて、『I & key EN』になりました。だから本当に友達の“合縁奇縁”っていう魔法の言葉から始まったっていう」
 
――出来上がったときってどう思いました?
 
「そういう意味では、作ってて追い込まれてなかったんで、出来たね~!位の感じでしたね。でも俺、自分のソロ作品の中で一番好きだし不思議だなぁって。だからホントにリラックスしてたんだなぁって」
 
――もしかしたら初めて解放された状態で作れたのかも知れないですね。
 
「それはあるかも知れない。やっぱり毎回追い込まれてますからね。でも次のフルアルバムのときには、“出来たぁ~!!!!”みたいな感じになると思うんですけどね。“んもう嫌ぁーーーっ!!!! もう作りたくなーい!!!!”ってなると思います(笑)」
 
――『I & key EN』に伴うツアーもあって、大阪は6月23日(土)梅田クラブクアトロでライブです。1stツアーに関しては反省点も多くて、改めて新人気分を味わったってブログにも書いてましたね。
 
「あの頃は結局SURFACEの延長上な自分がいて、身体に馴染んだことをやってしまったところがあって。でも、『byte×bite』みたいな曲で本当にヘッドセットをして踊るとか、そういうチャレンジはしてもいいよなって。ステージを見上げたときに、SURFACEの椎名と重なっちゃうのは避けたい。でもそれってなかなか拭えるものではないので、じゃあ堂々とモニターに足掛けるか?とか(笑)」
 
――アハハハハ!(笑)
 
「客が盛り上がってくれて当たり前みたいに思ってたところもあったと思うし、やっぱ自分が引っ張っていかなきゃって、それはすごく感じてます」
 
――そう考えたら、ソロアーティスト・椎名慶治をより意識したツアーになりそうですね。
 
「結局、終わった後は反省ばっかりだと思うんですけどね(苦笑)。でも、反省出来ないライブは成長がないんでしたくない。ただ落ち込みたくない。落ち込むと長いんで、僕。帰って来ないんで」
 
――それは困りますねぇ(笑)。
 
「みんなに“椎名慶治は椎名慶治だった”って、“もうしょうがねぇよな、あいつは”って言ってもらえるような、そんなライブにしたいですね。“も~私たちがいないとダメなんだよね”って言って欲しい(笑)。どれだけあなたが必要とされているか感じて欲しいです。一緒にライブを作り上げて欲しいし、楽しんで欲しいんです。だから当日はそういうライブにしますよ。頑張ります」
 
――いいシメのお言葉を頂きました! 本日はありがとうございました~!
 
「ありがとうございました~!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史



(2012年6月21日更新)


Check

Release

30分でエナジーチャージ!
一気に駆け抜ける最新ミニアルバム

Mini Album
『I & key EN』
発売中 1890円
BEATSISTA
BSCL-0006

<収録曲>
1. 年齢不showtime w/ZERO
2. はないちもんめ
3. お節介焼きの天使と悪魔と僕
4. I Love Youのうた
5. I'm a サラリーマン
6. Giant Step -SHIINA ver.-
7. byte × bite

Profile

しいな・よしはる…’75年12月30日生まれ。SURFACEのボーカルとして、’98年にシングル『それじゃあバイバイ』でデビュー。親しみやすいメロディと独特の詞世界、スリリングかつドラマティックなアレンジが融合したサウンドが支持を集める。その後もライブ活動を精力的に行いその名を広め、SURFACEとしてシングル21枚、オリジナルアルバム6枚をリリース。’10年6月13日の東京国際フォーラム・ホールA公演にて、惜しまれながらもSURFACEの12年の活動に終止符を打つ。バンド解散後、’10年11月に1stミニアルバム『I』でソロデビュー。’11年6月に1stアルバム『RABBIT-MAN』を、同年12月にはライブDVD『椎名慶治1st Solo Live「RABBIT-MAN」』、1stシングル『I Love Youのうた』を同時リリース。今年4月に2ndミニアルバム『I & key EN』を発表。

椎名慶治 オフィシャルサイト
http://www.yoshiharushiina.com/


Live

アッパーチューンで盛り上がり必至!
新作ツアーが間もなくスタートに

【名古屋公演】
チケット発売中 Pコード163-175
▼6月22日(金)19:00
ボトムライン
前売4600円
ジェイルハウス■052(936)6041
※4歳以上有料。3歳以下は入場不可。

【大阪公演】

チケット発売中 Pコード162-559
▼6月23日(土)18:00
梅田クラブクアトロ
スタンディング4600円
サウンドクリエーター■06(6357)4400
※3歳以下は入場不可、4歳以上は有料。

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チケット情報はこちら

 
【福岡公演】
チケット発売中 Pコード163-203
▼6月25日(月)19:00
DRUM Be-1
スタンディング4600円
キョードー西日本■092(714)0159
※3歳以下は入場不可。4歳以上はチケット必要。

【東京公演】
Thank you, Sold Out!!
▼6月30日(土)18:00
赤坂BLITZ
1Fスタンディング4600円 2F指定4600円
VINTAGE ROCK■03(3770)6900
※4歳以上はチケット必要。3歳以下は入場不可。ドリンク代別途必要。

【仙台公演】
チケット発売中 Pコード162-429
▼7月5日(木)19:00
仙台 darwin
スタンディング4600円
G・I・P■022(222)9999
※3歳以下は入場不可。4歳以上はチケット必要。

【東京公演(追加公演)】
チケット発売中 Pコード162-638
▼7月7日(土)17:30
赤坂BLITZ
1Fスタンディング4600円 2F指定4600円
VINTAGE ROCK■03(3770)6900
※3歳以下は入場不可。4歳以上はチケット必要。ドリンク代別途必要。

Column

SURFACEの解散から何から
ぶっちゃける!(笑) 1stアルバム
『RABBIT-MAN』インタビュー

Present!!

直筆サイン入りポスターを
3名様にプレゼント!

【締切】7月17日(火)23:00
※当選は発送をもって代えさせて頂きます。
※受付は終了致しました。たくさんのご応募ありがとうございました。