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女の本音を赤裸々にポップソングにぶち込むガールズバンドが
新作『嘘でもかわいいと言って』を携え6/30(土)ROCKTOWNへ!
結成からデビュー、アーティストとして芽生えた自覚まで
急成長を遂げる注目新人・HAPPY BIRTHDAYにインタビュー

 昨年10月発売のメジャーデビュー・アルバム『ファーストキス』に収録された『しゃかいのごみのうた』のYouTubeが、驚異のスピードで再生回数30万回を越え話題に。女の子のかわいさ、弱さ、嫉妬、恨み、コンプレックスetcドロドロとした本音をストレートに綴った詞の世界をポップでカラフルなメロディに乗せ、じわじわと注目度を高めるニューカマー・HAPPY BIRTHDAYが、5月23日にミニアルバム『嘘でもかわいいと言って』をリリースした。楽曲プロデュースにaikoやいきものがかりらを手掛ける島田正典らを迎えた今作は、赤裸々だけでは済ませない作詞家としてスキルや歌い手としての表現力、一皮向けたサウンドメイクといい、前作から僅か7ヵ月の間に明確なステップアップを楽曲で示した今作は、メインストリームを射程圏内にロックオン。今後の彼女たちの可能性を十分に感じさせる一枚となっている。そこで、6月30日(日)には阿倍野ROCKTOWNにて初の自主企画ライブを控える2人に(当日はあっこ(ds)の24歳のハッピーバースデー!)、新作の話はもちろん、楽曲に込められた意図やアーティストとしての自覚と原点、現在に至るまでのストーリーをインタビュー。真逆の人間でありながら磁石のように引き合い化学変化を起こし続ける2人のコンビネーション抜群のトーク、ホントいいコンビです(笑)。

HAPPY BIRTHDAYの2人からのハイテンション動画!

――ミニアルバム『嘘でもかわいいと言って』がリリースされて、何か反響は届いてますか?

 
きさ(vo&g)「もっと来て欲しいなっていうのが、素直な…アレですかね(笑)」
 
あっこ(ds)「はがゆい」
 
(一同笑)
 
――もう? まだ新人やで(笑)。
 
あっこ「もっと! みたいな(笑)」
 
――まだ時間かかるやろ(笑)。
 
あっこ「アハハハハ(笑)。せっかちなんで(笑)。江戸っ子なんで」
 
――それこそ去年の10月にメジャーデビューして、ちょっとずつ自分たちの存在を知ってもらえてね。
 
きさ「それはすごくあります。ホンットに誰1人知らないところから始まったし、少しずつ聴いてくれる人が増えているのは実感してるので」
 
あっこ「ライブとかでちょっとずつね」
 
きさ「すごい嬉しいですね」
 
――今作におけるテーマは何かあったんですか?
 
きさ「失恋に限らずいろんな別れを乗り越えて、必死にもがいて何とか頑張っていこうとする1人の女の子の日常を描こうと思って。それが前作より、ちょっと成長した女の子なのかなっていうのは、自分で描いていて思いますね。あとは、とにかく音ですね」
 
あっこ「メンバー募集してたけど集まんなかったりして(笑)、2人組になったのは結果だったんですけど、それを自分たちは今すごく面白いと思ってて。縛りはきいちゃんの曲できいちゃんが歌って、私がドラムなだけ。それさえあればどういう形であれHAPPY BIRTHDAYなんだっていう芯がもうあるし、そこにすごく自信もあるし魅力を感じてるから。ホントに曲が呼んでいるアレンジを素直に取り込もう!って」
 
――逆に言うと、今まではしなかったのか、出来なかったのか。
 
きさ「今までは“したくなかった”ですね。まだ、曲に対する思い出=自分自身のことになり過ぎて、周りが全く見えてなかった。すでにサポートでベースやギターを弾いてもらってたわけだし、次の作品を作るときは、曲が良くなるようにもっと弦とかピアノが欲しいと素直に思って。やるんだったらとことんやりたいし、中途半端にちょっとだけ音を加えて、一応ロックサウンドみたいな感じはホントに嫌だったんで。思いっきり振り切りたいなって」
 
あっこ「アレです、曲に対する愛が自我を超越したんですよ!(笑)」
 
――なるほどね。この子=曲が一番かわいくなるためにってね。大概はデビューして“コレが私”っていうモノをドバッと出して徐々に成長していくと思うんですけど、HAPPY BIRTHDAYはそのタイミングがまだ1年足らずと思うと、メチャクチャ成長が早いなと。自分の中でも変化は感じました?
 
きさ「常に変わり続けてるし、考えることも毎日毎日成長していくのがモロに分かるから、もうデビューアルバムの『ファーストキス』を作ったときの私とは別人ぐらいの感覚で。やっぱりたくさんの人と出会って、自然とそうなっていきましたね」
 
――ここ半年ぐらいの会った人数って、今までの人生に比べて相当多いですよね。いろんな言葉ももらうし、いろんな顔も見るし、感受性が豊かにはなるかもしれない。良くも悪くもいろいろ感じると思いますし。
 
あっこ「なんかタフになれました、すごく。閉じて守ってたのが、開いて“来いや~!”みたいなスタンスになったから(笑)。楽しめてる、人生を」
 
きさ「葛藤とか悩みとかはね、もちろんあるんですけど」
 
あっこ「もう“私なんて”って思ってる時間がないなって。だから笑い飛ばして“私下手でしょ? ハッハッハ、でも頑張ってます!”みたいなスタンスでやる以外にないというか。ハツラツとやった方がいいんですよ」
 
――それは自分のためにも、周りのためにも、HAPPY BIRTHDAYのためにも。
 
あっこ「そうなんですよ。そっちの方が成長が早いし近道だと思って」

 
毎日怒ってるし毎日泣いてるし毎日笑ってるし
ムカつくことも悲しいことも常にあるけど、今はとにかく楽しくて

 
――前作の『ファーストキス』だったら、個人的には『エピローグ』『特別な日々』『閃光』の歌詞が沁みるんですけど、曲を聴いたときの印象が良くも悪くも違うというか。詞の世界観でしんみり切なくなるけど、その言葉は明るくてポップなメロディに乗っている。そのギャップもHAPPY BIRTHDAYの1つの武器ですけど、今作の『嘘でもかわいいと言って』を聴いて思ったのは、詞と曲のマッチングがすごくいい。以前はギャップが面白かったけど、今回は地続きの音が鳴っていると思ったんですよね。
 
きさ「今まで歌詞については、ホントに思ってることを、自分の気持ちいい言葉を選んで書いてるだけで、聴いてくれる人のことを考えてなかったんですよ。けど、今回は…メチャメチャ考えた、ホントに。もう、相当な時間を費やして、すっごく苦しかったんですけど、何回も何回も何回も書き直して…。演奏は全て決まっているけど歌詞はまだみたいな状態から言葉を乗せたりもしたから、そういう意味でも音とマッチした歌詞にはなってるかもしれない」
 
――ある意味プロの世界というか、自分の音楽がみんなの音楽になっていく。失うべきじゃない自分とのバランスが、この世界でやっていく上での肝だとは思うんですけど。
 
きさ「そうなんですよね(笑)」
 
――今作ではその成長や意志が、説明を受けなくても作品を聴いて分かる。
 
きさ「ありがとうございます。嬉しいです、うん」
 
――やっぱりデビューしてこの半年間だったりが、2人にとって成長せざるを得ない、考えざるを得ない時間だったのかなって。でも大きなハプニングやアクシデントがあったとかではないですよね? もうジワジワと?
 
あっこ「そうですね~毎日がハプニングです(笑)」
 
きさ「特に何があったわけではなく…毎日怒ってるし毎日泣いてるし毎日笑ってるし、ムカつくことも悲しいことも常にあるけど、今はとにかく楽しくて。感情の激しさみたいなものは昔から変わってないけど、自分の中で何とか上手く付き合えるようになってきた気は少ししていて…少しですよ! 少し! すぐ余計なところで怒っちゃったり、“ギーッ!”とかってなるんですけど(笑)。曲との付き合い方も変わったし、考え方も1年前とは全っ然違うし」
 
――何がどう変わったんですか?
 
きさ「私はとにかくネガティブで根暗なんですけど(笑)、最近は完全にポジティブな方を向いてますね。1年前の日記とかを見ると、暗いことだけブワ~っと書き続けてるのが、今はそこから何とか前を向いてることは確かで」
 
――それは詞を見ても感じたんですけど、例えば『あなたの居ない明日』(M-3)とかもポジティブだと思うし、今までだったら多分、“苦しいしんどい”っていうところが…。
 
あっこ「あ~! もうすごいよく分かってらっしゃる! うん、そうですよね~」
 
きさ「アハハ(苦笑)」
 
――今までは苦しいしんどいが9割で、まぁポジティブが1割あるかな…いやないわ、ぐらいのバランスだったと。
 
あっこ「そうですよね~! 同じです、同じ風に思ってます」
 
――でも今回はそれこそ強さすらも感じるし。女の子の弱いところもしんどいところもめんどくさいところもぶっちゃけるのが良さではあったんですけど、最終的に前を向く強さが今作の歌詞には現れてる。
 
きさ「以前は、負の感情に前向きな要素を足すみたいな感じで。今は前しか見てないんですよ。だからホントはもう、前だけ向いてる歌ばっかり作りたかったぐらいで。でも、負の感情を加えた方が自分的にも気持ちいいというか、やっぱりその方が引き立つんですよ。私が完全に明るい歌をド直球でやるよりは、今は私の本当に持っている部分を入れていこうと。だから気持ちの入れ方が逆になったんですよね」
 
――だから曲から感じるものが変わったのかもしれないですね。でも、心配にもなりますね。
 
きさ「あ、ホントですか?」
 
――それだけ前を向いてるっていうことは、そのリバウンドが来そうで怖いなと(笑)。
 
きさ「いや、大丈夫だと思います。家では常に元気みたいな感じでは全然ないので(笑)」
 
 
つけまつげはきゃりーぱみゅぱみゅに先にやられちゃったんで
完全にアイプチに切り替えました(笑)
 
 
――あと今作では『愛のパレード』(M-2)『あなたの居ない明日』が、aikoやいきものがかりetcを手掛ける島田正典さんプロデュースで。一緒にやってみてどうでした?
 
きさ「島田さんのタンバリンへのこだわりはマジ!(笑)」
 
あっこ「アハハハハ(笑)」
 
きさ「タンバリンに何時間かけて…結局録れなかったんですけど…うまく叩けなくて」
 
――そうなんや(笑)。
 
きさ「“シャ~ン”っていうとこだけは島田さんがやったり。ホントにかなりのタンバリンテク…それが一番ビックリです(笑)」
 
あっこ「島田さんは音楽が好きなのはもちろんなんですけどホントに素晴らしい人で、面白いし、私たちの面白さにも気付いてくれるし分かってくれる。だから話が出来るし、もう最高でしたよホントに」
 
――やっぱり売れっ子アレンジャーになるだけの人間的な魅力もある方なんですね。
 
あっこ「すごい寡黙な方なんですけどあったかい人で。ドラムに関して誰も気付いてくれなかった部分に、“アレいいよね”みたいなことも言ってくれて。“うわ~何!? そこに気付いてくれたの? 嬉しい!”みたいな。キュンとさせるのが上手な人です(笑)」
 
(一同笑)
 
きさ「でも、余計なことは何も喋んないみたいな」
 
あっこ「みんなと空気を作ろうというよりは、ホントにアーティスト肌」
 
きさ「音楽が好きだから、信じて一緒に作れるっていう」
 
――島田さんの件もそうなんですけど、僕は今作を聴いたとき、勝負出来るアルバムになったなと思ったんですよ。今までのある種“異端児”という立ち位置から、音楽シーンでちゃんと戦っていける1枚になった。でもちゃんと自分たちの芯はあってね。
 
あっこ「うんうん。それはすごく思ってます」
 
きさ「自分的には相当納得がいってますね。もう毎回ホントにそうですけど、出来ることは全部やりました」
 
――もう1人のアレンジャーの大久保友裕さんは、『あの子の彼氏』(M-1)『アイプチコンプレックス』(M-4)『こうやってまた君に嫌われる』(M-5)と、これぞHAPPY BIRTHDAYなリードになり得る面白い曲が多いですね。
 
きさ「もう大久保さん大好きなので」
 
あっこ「『アイプチコンプレックス』とか、もう3人で“マジウケる!!”って大爆笑しながら作って。もうホンットにずっと笑いながらレコーディング。ウケるかウケないかが基準というか」
 
きさ「“ヤバい、コレウケる。入れよう”みたいな(笑)」
 
――『アイプチコンプレックス』はおもちゃ箱みたいな曲ですよね。かわいくて、ぐっちゃぐちゃなところも含めて、すごくファニーな曲というか。あと最初に聴いたとき、何か男の人の声が聴こえたような気がして、“幻聴かな…”ってちょっと思った(笑)。
 
あっこ「アレ私が言ってるんですよ(笑)」
 
――え、そうなん(笑)。『アイプチコンプレックス』とかは、やっぱり男性からは生まれ得ない曲じゃないですか。
 
きさ「前からずっとアイプチの曲を作りたかったんですよ。最初は“つけまつげ”も歌詞に入ってたんですけど、きゃりーぱみゅぱみゅに先にやられちゃったじゃないですか(笑)。なので、完全にアイプチに切り替えました(笑)」
 
 
これだけ苦労したら、これだけかわいいモノが生まれるのかと思った
 
 
――ただ、このアルバムの中には“女の子”と“女性”と、どちらも見え隠れしますよね。ただ若くてキャピキャピしてるだけじゃない女の人の気持ち。そこがこのアルバムの強さにつながってるのかもしれない。
 
きさ「それって、今の私が冷静に若い女の子の曲を作ろうとしたからかもしれないです」
 
――ホント作家みたいやね。
 
きさ「アハハ(笑)。ホントに冷静に、若い女の子の話とかは何年か前の自分を想像して書いたりとかしてるんで」
 
――それってちょっとした引き目線じゃないですか? その感覚は昔から持っていたもんなんですか?
 
きさ「初めてやりましたね。だから今回の歌詞はメチャメチャ時間がかかった。でも私、ホントに全部に満足がいってて。あれだけ悩んで、あれだけ大変だったんですけど、今作には1ヵ所も嫌なところがないんですよ。全部に納得がいったので、これだけ苦労したらこれだけかわいいモノが生まれるのかと思った。今まで簡単に作ってたモノより、ずっと愛着が強いんですよね。でもまぁ自分を十分入れちゃってはいるんですけど(笑)」
 
――曲の個性が強いから、作家的な目線は持てない人だと思ってました。むしろ持たなくていいとも思うし。
 
きさ「私も出来ないと思ってました。でも出来ましたね(笑)」
 
――アハハハハ(笑)。
 
きさ「嬉しいです。そうですよね、私もそう思ってました」
 
――それがデビューして2~3年経って、じゃなく、この半年間で出来てるからすごいなって。それが今回の作品を聴いて一番に思ったところですね。
 
 
ちょいちょい自分の復讐ネタを混ぜて発散してるんで(笑)
 
 
――よく、恋愛は男の方が引きずるとか言うじゃないですか。でも、最後の『こうやってまた君に嫌われる』なんかを見てると、やっぱり女の人も相当引きずるのかなって。
 
きさ「コレはもうドロドロにしてやろうと。男の人が聴いたらイヤだろうなって思うところまでいこうって、ホントに考えて書いた(笑)」
 
あっこ「アハハハハ(笑)」
 
――“わたしは邪魔なのかな”とか言う人ウゼぇって(笑)。
 
きさ「絶対にそうで。だから言われたくないというか、ホントにそこまで突っ込んで書いてるんですよ。だからコレが私だとか言われるとすっごいムカつくんですけど(笑)。狙って書いてるってイヤな言い方ですけど、そのくらいの気持ちで書いてやろうと思ってるし、でもちゃんと自分の事実も入ってるし、元カレへの嫌がらせもところどころ入ってる。私、復讐心がすごいんで(笑)」
 
あっこ「そこが最高なん(笑)。きいちゃんね、歌詞に元カレへの嫌がらせをちょいちょい入れるんですよ」
 
きさ「アハハハハ!(笑) 制作の中で自分の復讐ネタを混ぜて発散してるんで、最高に満足してるんです(笑)」
 
――元カレが聴いて、“コレ、俺の話じゃ…”って思うという(笑)。
 
きさ「“でも、他に違う部分いっぱいあるから違くない?”みたいな(笑)」
 
(一同笑)
 
――例えば“杉並区”とか具体的な地名を書いても、聴く人は自分の思い出とすり合わせて脳内変換するから、かえってバシッと区名を出してくれた方が感情移入出来るというか。
 
きさ「いや~ホントに一語一句メチャメチャ悩んで決めてるんで。全部に意味があるから」
 
――話を聞いてると、サウンド的には楽しくても、歌詞的には苦しい作業だったようで。でもそれによってきっちり言葉を配置出来たから、ちゃんと達成感にもつながった。
 
きさ「めっちゃ苦しかったんです。もう忘れちゃいましたけど(笑)。もっと自分的にも広がりたいと思ってたんで、そういう風にちゃんと“歌詞”を書くこともやってみようって。でも、初めてやった作業だったから楽しかったな」
 
――あと、声の変化で気持ちやシーンの転換を感じさせたりと、歌い手としての幅も今作を聴いて思うところで。
 
きさ「ホントですか? いや~ありがとうございます。なんか私、地声が低くて」
 
――ホンマやね(笑)。
 
きさ「いつも高い声を作ってブリッコして歌ったりしてるんですけど(笑)。今回はサビでも結構恥ずかしがらずに低い声を出したなって。今までは自分の低い声が好きじゃなくて抵抗があったんですけど、低い声の方が伝わるときもある。あっことかが低い声をすごく褒めてくれるから」
 
――今作が出来上がったときはどう思いました?
 
あっこ「自信モリモリな感じ(笑)」
 
――アハハハハ(笑)。
 
きさ「コレ売れるでしょって思いましたね。もうね、知ってさえもらえれば絶対に売れるんですよ(笑)。その自信が揺らいだことは一度もない」
 
――おぉ! それはもうHAPPY BIRTHDAYを始めた頃から?
 
きさ「そうですね。100%売れると思ってるから。1%も売れないと思わないから、多分それはないんですよ。もう起こらない(笑)」
 
――それこそ結成してすぐにアルバム『デートに行けない日曜日』(‘10)を作ることになったんですよね。
 
あっこ「そのときはまだ人間にすらなれてないような状態ですけどね(笑)」
 
きさ「アハハハハ!(笑)」
 
あっこ「動物ですよ、ホント。もうただの獣(笑)。前作の『ファーストキス』でやっと人間になって、今回の『嘘でもかわいいと言って』でちょっと女になって色気付いてきちゃってる感じです(笑)」
 
 
音楽が一番好きだったんで
自分の好きなことを仕事に出来るなんて思ってなかった
 
 
――今作が出た後にはライブもありますが、HAPPY BIRTHDAYにとってライブとはどういう場所なんですか?
 
あっこ「私は2人であることの“自由さ”を追求したいから、レコーディングでもライブでもオケを使うことに抵抗がなくなったし、極論言えば私がドラムを叩かなくても成立するぐらいのライブを目指してるんです。今は私たちの曲を伝えるために、“この2人がいればHAPPY BIRTHDAYなんだ”って徐々に徐々に頑張っている段階で、ようやくスタートラインに立てたぐらいで、まだまだなんですけどね」
 
きさ「私はどっちかって言うとレコーディングの方が好きなんですけど、それは録音して形にするのがすごく好きだからで。ライブも面白いですけど、やっぱり“賭け”みたいなところがあるんですよ。レコーディングは1回上手く歌えちゃえば、それがず~っと世に残り続けて最高!って思うんですけど、ライブでは常にヒヤヒヤ感が…精神的にキツいのはライブですね(笑)。両方楽しいんですけど、落ち込んだりするのはやっぱりライブ。一発勝負っていう」
 
――きささんはモノづくりがすごく好きなんでしょうね。
 
きさ「好きです! ちょうど昨日そう思ったところですよ!」
 
あっこ「いや、ホントそうだと思う」
 
きさ「昨日“ものつくり大学”とかいうのに行こうかなとか思っちゃったもん(笑)」
 
――そんなんあるんや(笑)。
 
あっこ「私たちホント真逆なんですよ。私はどっちかと言うと盛り上がるのが大好きだからホントにライブが楽しいんだけど、レコーディングはちょっと寂しいよって。ヘッドホン邪魔だし、ドラムは1日目で終わっちゃうし(笑)。お客さんの顔を見るのも好きだから、何かその辺のタイプは逆ですね」
 
――その方がお互いに引っ張り合えるかもしれませんね。
 
あっこ「そうなんです。バンドって感じでしょ」
 
きさ「ホントにこの間も話してたんです。全然違う部分を持ってるから、何か気持ち悪いくらいに助け合ってる」
 
あっこ「磁石のSとMなんですよ」
 
――え? それSとNやろ(笑)。
 
あっこ「あ、ヤバい! SとN(笑)」
 
きさ「アハハハハ!(笑)」
 
――コレ間違ったところ使うから(笑)。
 
あっこ「イヤ~!」
 
(一同笑)
 
きさ「“私こういうとこがホンットダメなんだよね”って言うと“あ、私それ出来るからいいよやらなくて”みたいな。“私コレがホント出来ないしどうしよう”“あ、私それ超得意だからいいよ”みたいな。全部そういう感じ(笑)」
 
あっこ「そうなんです。だから男もかぶらない」
 
(一同爆笑)
 
――大事ですね(笑)。
 
きさ「絶対“ウッソ~”ってなるもんね、お互い」
 
あっこ「お互い“え、あの人?”」
 
きさ「“え~ヤダ~”とか言って(笑)」
 
――ホントに出会うべくして出会った2人ですね(笑)。
 
きさ「最近、仲良すぎて気持ち悪い。ほぼ毎日一緒に焼き鳥食べてるんで(笑)」
 
あっこ「そうなんですよ。塩辛と。あとクリームチーズの酒盗乗せと(笑)」
 
――仲いいやん(笑)。
 
きさ「ホントに。別に話すことないのにね。“どうする? 帰る? 焼き鳥でも食べない?”って(笑)」
 
――プロフィールを見てると美容専門学校で出会ったわけじゃないですか? そもそも何で美容専門学校に行ったんですか? あっこさんなんか小説家なりたかったって書いてますけど。
 
あっこ「若気の至り若気の至り(笑)」
 
きさ「音楽が一番好きだったんで、自分の好きなことを仕事に出来るなんて思ってなかったんですよ。だから音楽は趣味で一生やっていこうって。それがカッコいいと思ってたし。大学にもホントはエスカレーターで行けたんですけど、音楽やるのに行ってもしょうがない、とにかく専門だけ出て手に職に付けようと思ってたんですけど、仕事ってそんなに甘くなくて…(苦笑)。そんな甘い気持ちじゃ美容師にはなれないことに気付いて、就活中に学校も辞めて。私は好きなことは1つしか出来ないし、何かをやりつつ音楽をやるのはムリだなって」
 
――うん。でもめっちゃしっかりしてますね。
 
きさ「でも全然…自分のことを分かってなかった。毎日同じ場所に通うことが出来ないんです。飽きっぽい(笑)」
 
あっこ「私は…真逆です。しっかりしてない。暴走機関車だったんで(笑)」
 
――アーティスト的な特性も性格も、恋愛体質にしても逆なんですね。
 
あっこ「もうホントそうなんですよ」
 
きさ「ただ、私たちは真逆なんだけど、向いてる方向が一緒なんですよ」
 
――あ、それ大事!
 
あっこ「そうそう! それなんですよ!」
 
きさ「どうなりたいとか、こういうのが好きとか、価値観って言うの?」
 
――よく音楽性の違いでバンドがうまくいかなくなる…みたいなのあるじゃないですか。でも、それよりも多分同じテンションかどうかだと思うんですよね。例えば人生の中での音楽の位置付けが1番の人間が揃ってたらそりゃ素晴らしいけど、同じグループの中に1番と2番のヤツがいると、俺は音楽最優先でやりたいのに、あいつは家庭あっての、仕事あっての音楽で、とかなるとやっぱり歪みが出てくる。
 
きさ「あぁ~なるほど! それは考えたことなかったな。そうですね~」
 
――別に音楽が1番じゃないといけないわけじゃなくて、メンバーみんなが家庭が1番で音楽が2番でも、それはそれで意志統一が出来ててお互いに理解も出来るからちゃんとバンドが進む。大事にする物事の優先順位が一緒だったり、テンションが同じ方が、バンドとしてはうまくいってるなって、傍から見てても思いますね。
 
 
全キャパ使い切ります(笑)
 
 
――今作が出て東阪でライブもありますが、コレはお互いの誕生日にやるわけですよね?
 
あっこ「そうなんです。HAPPY BIRTHDAYという名前にあやかって」
 
――お客さんにとっても誕生日だとちょっと行く理由になりますよね(笑)。
 
あっこ「“あの…プレゼントは…”ていう感じで(笑)」
 
――6月30日(土)阿倍野ROCKTOWNでの大阪公演は、あっこさんの誕生日です。
 
あっこ「全キャパ使い切ります(笑)。私が小説家になろうとしたこと、人生の失敗の全て…それで培ったキャパを全てを使い切ろうと思う…所存なんで」
 
――所存(笑)。
 
あっこ「もう、ぜひ来て欲しいですって、書いといてください」
 
――OK! なんせ誕生日ですからね~。本日はありがとうございました!
 
きさ&あっこ「ありがとうございました~!」
 
 
Text by 奥“ボウイ”昌史

 




(2012年6月28日更新)


Check

Release

女子ならではの目線で綴る詞と
ポップなメロディにハマること必至!?

Album
『嘘でもかわいいと言って』
発売中 1600円
Sony Music Associated Records
AICL-2378

<収録曲>
1. あの子の彼氏
2. 愛のパレード
3. あなたの居ない明日
4. アイプチコンプレックス
5. こうやってまた君に嫌われる

Profile

ハッピー・バースデー…写真左よりあっこ(ds)、きさ(vo&g)。’88年生まれ、東京都出身の2人組。’07年、美容専門学校の入学式で運命の出会いを果たし、同年9月にあっこが小説家になるために中退。翌’08年8月にはきさが音楽と恋愛に狂い中退。お互い別々のバンドで活動する中、’10年2月に新宿の270円均一居酒屋にてHAPPY BIRTHDAYを結成。4月には所属していたお互いのバンドが解散し、HAPPY BIRTHDAYに専念。6月にバンド名を飴玉音楽室に改名するものの、すぐに元に戻す。同年11月、1st アルバム『デートに行けない日曜日』をリリース。’11年10月にアルバム『ファーストキス』でメジャーデビュー。バンド名の由来は、ネット上で検索してもすぐにヒットしないような名前でも、いつか絶対に上位に出てくるバンドになる、との想いが込められている。

HAPPY BIRTHDAY オフィシャルサイト
http://www.happybirthday1988.net/


Live

初の自主企画ライブ大阪編は
あっこ(ds)のハッピーバースデー!

『HAPPY BIRTHDAY PRESENTS
「母性本能をくすぐらないで」
 ~外泊許可記念式典~』
チケット発売中 Pコード165-879
▼6月30日(土)18:00
ROCKTOWN
オールスタンディング3000円
[ゲスト]Unlimited tone/メロディーキッチン
[MC]MCアッコゴリラ~featゴッツ坂口
GREENS■06(6882)1224

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