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2011年のブレイク最右翼!?
熱いハートをラウドなミュージックに込めて
人気上昇中のSPYAIRの1stアルバム『Rockin' the World』
制作秘話連発のインタビュー&動画コメントが到着!

 昨年8月にメジャーデビュー以降、名古屋・栄のストリートで鍛え抜かれたライブパフォーマンスとラウド&キャッチーなアッパーチューンを礎に、ジワジワとその人気を上昇させているロックバンド・SPYAIR。この夏は、韓国のフジロックと称される『JISAN VALLEY ROCK FESTIVAL 2011』への出演、松田翔太主演の日本テレビ系土曜ドラマ『ドン★キホーテ』主題歌に抜擢されたシングル『BEAUTIFUL DAYS』の発売とシーンを沸かせた5人が、メジャー1stアルバム『Rockin' the World』を9月21日に遂にリリースした。デビュー以降のシングル5枚を全収録したフルボリュームな今作は、彼らのたぎるほどの音楽への情熱をぶち込んだ、強力にして爽快な1枚に。彼らの人柄が伺える抜群のチームワークとここでしか聞けない(!?)ぶっちゃけトーク(笑)、10月30日(日)日比谷野外音楽堂でのワンマンライブを間近に控えた彼らに、『Rockin' the World』制作秘話を訊いた。

IKE(vo)とKENTA(ds)の仲良し動画コメントはコチラ!

――この夏は、韓国最大の野外フェス『JISAN VALLEY ROCK FESTIVAL 2011』に出演、ドラマの大型タイアップも付いたシングル『BEAUTIFUL DAYS』がリリースされと活発な動きがありましたけど、まずは海外でのフェス出演に対する率直な感想を聞かせてもらいたいなと。
 

IKE(vo)「1度韓国へは行っていたんですけど、やっぱり改めて衝撃が走る部分がありまして」
 

――と言うと?
 

IKE「一応、言葉を何となく覚えて行って、“アンニョンハセヨ~”っていうところから始まったんですけど、もう、こっちが投げかけた言葉に対して、200%の熱量でグワーって返ってきて」
 

KENTA(ds) 「すごかったです、本当に」
 

IKE「俺らを待ってたとかではないと思うんですけど、“ロックというジャンルの音楽”を待ってたんだなってすごく感じて。そこに対して圧倒的な熱量があったし、やっぱ韓国ハンパねぇみたいな」
 

KENTA 「韓国のロックバンドって、年配の方が多くて若手がほとんどいないらしいんですよ。フェスも俺らが出させて頂いたやつか、あともう1つあるかないかみたいな。だけどロックを聴いてる人自体はものすごく多いと聞いてたんですけど、今回のフェスに出てみて“な~るほど”みたいな」
 

IKE「音に飢えてるんですよね」
 

KENTA「早く音出してくれ!みたいな空気が本当に会場全体から流れてて。メインステージの裏ぐらいに俺らの楽屋があったんですけど、ステージから漏れ聴こえてくる音よりも、観客の歓声の方がデカイんですよ! こっちまでビリビリ伝わってきて…“すげぇな~”って」
 

IKE 「もうホントにすごかった。“熱狂”という言葉の意味を知ってるつもりでいたんですけど、甘かった(笑)」
 

――それはいい経験ですね。日本でのライブが物足りなくなっちゃったりして(笑)。
 

KENTA「あるかもしんない(笑)」
 

IKE 「世の中にそういう場所があるって認知出来たのが良かったと思います。日本語で歌ってるからほとんど意味が分からないはずなのに、俺らの音楽で遊んでくれて、楽しんでくれてる。お互いが共有出来る僅かな言葉を放つだけで、ドンッとくるこの感じ。SPAYAIRは、ライブだったら世界中のどこに行っても出来るぞっていう自信にもつながりましたね」
 

――音楽は国境を越えると言うけど、本当に…。
 

IKE「まさに!」
 

KENTA「越えます! 越えます!」
 

IKE 「その意味をちゃんと自分たちでライブをして分かって帰って来れたんで。これは本当に宝ですね。俺らがどんどん発信したいという意思さえ示せば、応えてくれる。絆をちゃんとつなげてくれると思う。忘れずにいたいなと」
 

――まぁそんな濃い経験もありつつ、いつの間にアルバムを作ったんだっていうね(笑)。
 

KENTA「まぁそうですよね(笑)」
 

IKE 「仕込んでましたよ~」
 

KENTA「そもそもインディーズで3枚目のアルバムを出そうかと話してたときに、ちょうどメジャーのお話が来て。そのアルバム制作が一旦なくなって、メジャーに行ったんで…言ってしまえば2年越しぐらいのアルバムなんですよね。デビューしてからシングルも5枚と結構な量を出させてもらって、その間もずっとアルバムのことはみんなの頭の中にあったんで。本当に2年越しぐらいの夢が…待ちに待った1stアルバムが出せるなと」
 

――そうか! じゃあ前回の『サムライハート(Some Like It Hot!!)』の取材のときに、カップリングの『Crazy』は2年半ぐらい前に作った曲で…と話していたのは、当初はそのアルバムに入れようかという?
 

IKE 「そうなんです。そのときに作ろうとしてたアルバムの曲だったりしたんですよね」
 

KENTA「その辺からもう全部つながってきちゃうんですよ、この『Rockin’ the World』っていうアルバムに」
 

――逆に2年の間に作りたい曲が変化したり自分たちの成長もあったりで、内容はやっぱり変わってきますよね?
 

IKE 「曲とかクオリティは全然変わってきたと思うんですけど、根っこには2年前から考えていたことがあって。言うなれば名盤を…何回でも聴けるアルバムを作ろうと、結構口に出して言ってきたんです。リピートしてもらうためには1曲1曲がそんなに長くないほうがいいとか、集中力が持たないから間にフッと気持ちの抜ける曲を用意しようとか、そういう話は2年前から始まってて」
 

KENTA 「今出来る最高のクオリティの曲であることはもちろん、“内容”というよりも“概要”をすごく前から話してたんですよね」
 

――今の音楽シーンの状況で言うと、デビューアルバムまでにシングルを5枚も切れることはなかなかない。でも逆に、アルバムはその5曲を入れることが前提になってくるから、全体のバランスの難しさがやっぱりありますよね。
 

IKE「実際ありましたねぇ」
 

KENTA 「それは作曲するUZ(g)もすごく考えてたし。でも、出来上がったものを聴くと、意外にくどくないというか。シングルが5曲あっても、すごく流れのいいものに出来たと思いますね」
 

――確かに今作はライブのセットリストにも通じる曲順ですよね。
 

IKE 「流れは一番気にしていたところですね。うちって、シングルを切れるような曲でもカップリングに惜しみなくポンと入れちゃったりしてるんで、それも集めて言わばベスト盤を作っちゃうことも出来たんです。アルバムっぽい曲を一切排除してね。でも、やっぱりさっき言った2年前から抱えてるコンセプトはブレなくて。長く繰り返し聴けるアルバムにするために、ちゃんとシングルとのバランスを考えながらも、他の曲も用意していって」
 

――シングルだけ突出してても作品としてはバランスが悪いですからね。シングルが多いからこそ逆に、アルバム曲のクオリティが求められる。
 

KENTA「ただ、曲数自体はUZがものすごく作ってたんでストックはあったんです。多分、あと2枚はアルバム出せるぐらい、確実に彼は曲を書いてる(笑)」
 

――それは頼もしいですね~。
 

KENTA「今もきっと東京で曲書いてますから(笑)」
 

IKE 「彼の中でもアルバムのウエイトが大きくて、常にその構想を抱えながらのシングルの制作だったし。パワーのあるアッパーなシングル曲ばかり作っていると、逆にアルバムに必要な曲が薄々分かってくるじゃないですか? そういう曲も書き貯めてきていたので、選曲自体はスムーズにいきましたね」
 

――レコーディングの中で掴んだ確信だったり、逆に難しさみたいなものはありました?
 

KENTA「『Rockin’ the World』(M-1)とかだと、“グルーヴ一発でいこうぜ!”っていう感じでスタンダードなレコーディングをしてるんですけど、逆に『Stay together』(M-7)とかだとキックだけ、スネアだけ、ライドシンバルだけみたいに、部分録りをしたんです。そうすると打ち込みのような感覚で聴けるんだけど、音は生みたいな、ちょっと不思議な感覚で聴こえたり。そういうサウンド面での構築というか、1曲1曲を録るために作り込んでいく作業がものすごく楽しかった」
 

IKE 「俺の場合は曲の性質によってマイクを選んだりとかね」
 

KENTA「音のクオリティはマジで高いと思います。やっぱりこのクルーだから出来たんだなって思いますね」
 

――それで言うとやっぱり、今メジャーでやってる意義はありますよね。
 

KENTA「そうなんですよね。インディーのときはその辺で悔しいこともいっぱいあったんすけど、やっとメジャーに行けていろんなことが分かってきて、いい音を作り出せるようになってきた。まだ探求の途中ではあるんですけど、いいクオリティで、俺らのオリジナリティを出せてきたなって」
 

――他のアーティストで割と長くインディーズで活動をしていて名前もその道では通っていて、言ってしまえば今さらメジャー行く?みたいなバンドがいたんですよね。でも取材で、“今はもうメジャーもインディーも関係ない時代だと思ってたけど、やっぱり違いました”って言ってて(笑)。
 

KENTA「俺らもそれは思いました。やっぱり5年間インディーでやってきて、“メジャーなんか行かなくても別にインディーで食ってけるんじゃね?”みたいな話もしてたんですけど、やっぱり関わってくれる人の数もクオリティも違うし、すごく勉強になる」
 

IKE 「同じ舞台でずっとやり続ける素晴らしさもあると思うんですけど、その舞台を変え続けるというか、今後そのステージを大きくしていくことで自分たちも変わっていけるように、ずっと変化していけるように活動していければ、音源も、ライブも、人としても成長していけるのかなって」
 

――前回の取材で2人に初めて会ったときよりもバンドの状況が良くなってるのも感じるし、今日会ったときの印象もすごく落ち着いてるというか。覚悟がある感じが以前より随分しましたけどね。
 

IKE 「本当っすか!? ありがとうございます!」
 

KENTA 「腹くくんないと、もう本当に(笑)」
 

――ワイワイ言ってる場合じゃないぞと(笑)。楽しいだけじゃねぇぞみたいな。
 

KENTA「そうですね~いろいろなところがやっぱ見えてきたんで(笑)」
 

IKE 「うちって結構分業制で、そのセクションをきちっと守ってるバンドだと思うんです。レコーディングをすることによって、そこにエンジニアさん、プロデューサーさんって新しい人が加わってくれるじゃないですか? 本当にみんな愛と責任を持ってやってくれてるんで楽しいし、クオリティも上がってきたのが分かるし。もう信じられないぐらい、いい音で録音させてくれるんですよ。そんないい環境の中で歌うわけじゃないですか? “最高の遊び”ですよね。本当に音楽を楽しみながらやらせてもらったんで」
 

KENTA「だからその分、腹くくんないとね(笑)」
 

IKE「そうなんですよ! 腹くくってないとブッ壊れちゃう(笑)」
 

――歌しか歌えないと言ってた人が、それを存分にやれる環境を与えられてるんですもんね。
 

IKE 「俺らが売れなかったらこの環境もなくなっちゃいますから。もう大きくなっていくしか道がないんです(笑)」
 

KENTA「やっぱりいろんな感性が磨かれて、今ようやくこの1stアルバムが作れて…この時期で良かったのかなって、実際はちょっと思ってますね。僕らの技術にしても何でも」
 

――それこそデビュー直後に出してても、何かが違ってたでしょうね。
 

IKE「フワッフワしてたと思いますよ(笑)。まぁ100%満足ではないかもしれないけど、次につながる再スタートするためには…」
 

KENTA「ものすごくいい作品になったよね。でも、2ndの方がもっとよく出来る自信もやっぱりあるし」
 

――そうでしょうね。アーティストの皆さん、作り終わった後そう言いますもんね。
 

IKE 「1つ1つレコーディングで悔しい想いは残ってはいたりするんで。それを払拭した先、ですよね」
 

――その悔しい想いを聞きたいですね~。
 

IKE「マジっすか?(笑)」
 

KENTA「よし、一番悔しいやついこう(笑)」
 

IKE 「え~俺の一番悔しい記憶はですね、『STRONG』(M-5)っていう曲があって、サビで“ドシャブリの今日も 信じるんだMyself”って歌ってるんですけど、まさに自分の心の中がドシャブリに…まぁ要はレコーディングを飛ばしちゃったんすよ、俺。体調不良で」
 

――出た! だって前の取材でも、体調管理はちゃんとしてねって話になったのに(笑)。
 

KENTA「そうなんすよ!(笑)」
 

IKE 「またやりました(苦笑)。それでもスタジオに行って歌おうとしたんですけど、結局全然声が乗らなくて。“もう帰れ”って言われて…。結局、体調はまだ完璧じゃなかったんですけど、その3日後ぐらいにレコーディングはやらなきゃいけない。歌詞にある“同じチャンスは2度とない”っていう一節を、本当に自問自答しながら歌いましたね…」
 

KENTA「その飛ばした日の朝にブログが上がってたんすよ。“37.7”っていう意味ありげな数字がタイトルで」
 

IKE 「まぁその日それぐらいの体温だったんですよね。この気持ちは後で絶対残るなと思ったんで、この日に録音したのを忘れないようにタイトルを付けたんですけど、結局録音出来なかったという(笑)」
 

KENTA「“この日しか歌えない想いがあるんで、俺頑張ってきます!”みたいなことが書いてあったのに(笑)」
 

IKE 「歌詞もインプットされてるわけじゃないですか? でも、完全に自分の体調はドシャブリなわけじゃないですか? よし、もうコレは曲にグッと入ってやるしかねぇ!って思ってスタジオ行ったらもう全っ然ダメ(笑)」
 

KENTA「全っ然“STRONG”じゃなかったらしいです(笑)」
 

――アハハハハ!(笑)
 

IKE 「“全然マイクに声乗ってないんですけど~”みたいな」
 

KENTA「で、帰らされて。その背中は本当にドシャブリでしたね(笑)」
 

IKE 「思い出深い曲です(笑)。忘れらんないっす(笑)」
 

KENTA「いやでもIKEが悪いですからね。体調管理が出来なかった」
 

――それはもうボーカリストの宿命ですから、やってもらわないと。
 

KENTA「ホント頼んますよ。今、後ろの3人(=周りにいるスタッフ)みんな思ってるから」
 

IKE 「ちょっと言い訳していい? 言い訳していい?(笑)」
 

KENTA「いや、ないっす。言い訳とか。この世界、結果がすべてですから」
 

(一同爆笑)
 

IKE「そうなんですよね。ホント結果がすべてなんですよ…」
 

――このチームだから別日与えてくれましたけどね。そうじゃなかったら物理的にも日程的にも“やっぱり今日録るしかない、でも何だお前その体調管理は!”って言われながら録らなきゃいけなかったかもしれないよ。
 

KENTA 「そうだよ。薄っぺらい『STRONG』になってたかもしれないわけだよコレ」
 

IKE 「そういうことを人に言いまくると、自分もそうなるからね! 気をつけてね!(笑)」
 

――アハハハハ!(笑)
 

KENTA「俺、レコーディング飛ばしたことまだ1回もないもん」
 

IKE 「俺もやれると思ったんすよ! やれると思ったら声が出なかった。ビックリした。風邪ってホントに喉にダメなんだって」
 

KENTA「気付くの遅くね?(笑)」
 

IKE 「やれると思ったんだよ…」
 

KENTA「多分コレ、一生ネタになる話だろうな(笑)」
 

IKE 「1stアルバムって、バンドにとってもね、ずーっと残るじゃないですか。ずーっと消えないわけですよ、俺のコレ(笑)。まぁそういう意味でも、いい作品を残したなと(笑)」
 

――やっぱり音には人間が出るわけですから。それも記録されるわけですからね。
 

KENTA「そうですよね、確かに」
 

――でも話を聞いてて、デビューアルバムですけど最高のスタッフに恵まれて、何もかも上手くいきましたって言われても、やっぱり面白くないですもん。そういうエピソードはどんどん言ってください(笑)。
 

IKE 「ハイ! 分かりました(笑)」
 

――でもね、それでも頑張って歌ったテイクには、体調万全で歌ったそれとは違う気合いや魂が入り込むというか。


IKE 「声の質感がやっぱ全然違いますね」
 

――それはもう、逆に言うとその日しか出なかったテイクですから。
 

KENTA「そうですね」
 

IKE 「なんかどことなく寂しそうです(笑)」
 

――アハハハハ!(笑) 『STRONG』と謳いながらも、その中に秘めた哀愁があるのはいいじゃないですか。
 

IKE 「でも、体調が本当に“STRONG”だったらどんな声で録れたんだろうな…って、やっぱ思っちゃうわけじゃないですか?」
 

KENTA 「それは、お前が悪い(笑)」
 

IKE「コレはもう、一生グルグルグルグル…(笑)」
 

KENTA 「自問自答だね(笑)」
 

――面白いですね~やっぱ音楽ってね。
 

IKEKENTA「面白いっすね~」

 

――やっぱり音楽は人が作るものだから、こういうハプニングが起こり得るわけですから…あれ? なんかまだありそうな含み笑いしてますけど(笑)。
 

IKE 「いえいえいえ(笑)。とりあえず大丈夫だと思います(笑)」
 

KENTA「でもね、IKE。『BEAUTIFUL DAYS』(M-4)では、初めて生のストリングスが入るってことで、みんなテンション上がって。ストリングスだけ別日に録りがあるから、みんなでワクワクしながらスタジオに行ったら、IKEだけ来なかったんです」
 

――え? 何で?
 

KENTA「寝坊です、この人(笑)」
 

(一同爆笑)
 

――ホント、ちゃんとしてください(笑)。
 

KENTA 「ちゃんとしてください(笑)」
 

IKE「それは、いろいろ考えたんすよ! 別に無理すれば行けたんすけど、なんか眠かったんすよ(笑)」
 

――アハハハハ!(笑)
 

IKE 「で、ここは割り切ろうと。みんなはもう生でストリングスを聴いて、気持ちも入っちゃってるから、どう聴いたって良く聴こえるはずだと。俺はもうSPYAIRの今後のこと、未来のことをイメージして、本当に生でやることが必要なのか? デジタルのサンプリング音でも実際は変わんないじゃないか?っていうのを判断するために、敢えて身を引いたと。で、後で聴いたんですけど…めっちゃ良かったっす(笑)」
 

(一同爆笑)
 

IKE 「もう一発で分かる。誰がどう聴いたって分かるぐらい生が良かったっす。これからもずっとね、ストリングスは生でいきたいなって、そのときに思いました(笑)」
 

KENTA「絶対あのとき来なかったのを後悔してるよ…(笑)。もうめっちゃくちゃスゴかったんですよ。キッて音を鳴らし始めただけでゾワゾワゾワって鳥肌が立って。“スゲー!!”ってみんなで盛り上がって。その後すぐにスタジオ練習があったんで、そのとき録った音をIKEに聴かせてあげたんですよ」
 

IKE 「そこでデジタルと生では全然モノが違うということが、やっと分かったわけです。勉強になったぜ(笑)」
 

KENTA 「だからIKEさん、いろいろやらかしてますよ(笑)」
 

――しでかしてますね~(笑)。掘り出したらもう、どんどん出てきますね。良かった、突っ込んで(笑)。
 

KENTA「アハハハハ!(笑)」
 

IKE 「やっぱいろいろありますよね(笑)」
 

――もう裏話ないですか? あるでしょまだ(笑)。
 

IKE 「優しい曲に関しては、早朝に公園を散歩しながらイメージを固めた曲がほとんどで、『Stay together』『Beautiful』(M-8)『I miss you』(M-9)もそうだし、『My Friend』(M-12)もそう。近くに公園があるんですけど、その公園を歩きながら曲のオケを聴いて、イメージを固めて。それ以外の結構ガッツのある曲たちは、ガンガン走りながら、また違った状況でイメージを作り出してから、レコーディングブースに向かったり」
 

KENTA「だから風邪引いたんじゃないの?」
 

IKE「実は…そうなんだよね(笑)。“STRONG”になろうと思って、ガッチガチに筋トレして走り込んだら、風邪引いちゃった(笑)」
 

(一同爆笑)
 

――単純やね(笑)。
 

KENTA 「ホント単純(笑)」
 

IKE 「俺すごい単純なんで。逆に自分でイメージを作り出せたら、気分が簡単に動くんです」
 

――なるほど。そういうムードに自分を持っていければ、逆にすぐ加速出来るというか。
 

IKE 「そう。ノレる体質だって分かってたからやってみたんすけど、まぁ失敗もあり、成功もありみたいな」
 

スタッフ「一応、1つだけ彼のフォローをさせて頂くと、ちょうどストリングスを録ってるタイミングが絶賛プロモーション期間で、2人とも深夜のラジオ出演とかがずっと続いていたんです。KENTAは割と身体が強いんですけど、IKEはそうでもないのもあって、一応自粛したのもあるんです。深夜3時終わりとかが続いて、朝イチ集合が出来なかったってことではあるんですけど…フフッ(笑)。今日は任せますみたいな」
 

――なるほど。ボーカリストだから喉のケアとか体調管理が大事だから、そこで無理してストリングスのレコーディングを見に行って睡眠時間を削るより、ここでガツっと寝て体力を回復しておいた方が後々のスケジュールのために良いっていうのは、確かにありますよね。
 

IKE 「ホントありがとうございます。そういうことなんです(笑)」
 

KENTA「俺はその日寝たの2時間で見に行きましたけどね~」
 

IKE 「まぁ俺は喉が=生弦みたいなものなんで(笑)。大事にしないと」
 

KENTA 「なるほどね。ちょっと上手いこと言ったね(笑)」
 

――やっぱり音楽は人が作るものだし、いい意味でのほころびだったり、人間らしさみたいな要素は絶対入ってきますからね。
 

KENTA「だからIKEはこの1stアルバムのエピソードをいろいろ作ってくれましたよ(笑)」
 

――インタビューではカッコつけるだけでは終わらせませんからね、そんなもんは(笑)。
 

KENTA「アハハハハ!(笑)」
 

IKE 「ぶっちゃけて言います(笑)。全部ぶっちゃけて言います(笑)」
 

――やっぱりバンドの人間味を知ってもらった方が、絶対に共感出来ると思うので。1つの作品を作る間には、絶対に何かしらの困難があるはずだから。タフにならないとね。
 

IKE 「(KENTAも)苦戦したところ、実際いっぱいあるっしょ?」
 

KENTA 「そうね…1曲目の『Rockin’ the World』は、結構久しぶりにバンドでジャムって作った曲なんですけど」
 

――この曲はリフでアガる、オープニングにふさわしい曲ですよね。
 

KENTA「ドラムから始まる曲なんですけど、“(エアロスミスの)『ウォーク・ディス・ウェイ』みたいに、聴いたらすぐあの曲!って分かるフレーズちょうだい”って言われて。待て待て、お前ソレすげぇ名曲じゃないか?と(笑)。レコーディング当日までめっちゃ考えましたね。俺って個人でびっちりスタジオに入ったりとかは、なかなかしないんです。最後の調整で1時間ぐらいだけ叩くぐらいで。でも、この『Rockin’ the World』だけは、本っ当に何時間入ったかと思うぐらい個人練習でスタジオに入って。1日5~6時間、ずっとこの曲のフレーズを考えて、パソコンとかも使ってみたけど決まらない…。結局、最終的に難しく考えるのはやめよう、自分の感性から出てきたものにしようと最後の最後に1時間だけスタジオに入ったら、パッとこのフレーズが出てきた。やっぱり俺は考えるより今までの経験を出した方がいいんだなって。今までの練習はなんだったんだって(笑)」
 

IKE 「でも、それがあったから出たんでしょ」
 

――その回り道をしたからこそ、その結論に至れたわけですもんね。
 

KENTA「だからコレは俺の渾身のフレーズですね」
 

IKE 「勢い出てるよ~」
 

――このアルバムは本当にド頭の『Rockin’ the World』『ジャパニケーション』『サムライハート(Some Like It Hot!!)』の3連発で徹底的に攻めて、『BEATIFUL DAYS』でドーン!と落とす、みたいな。ある種の分かりやすい気持ち良さがありますよ。
 

KENTA 「ライブでこの4曲目までの流れでやってみても、ものすごくいい感じでしたね」
 

――アルバムタイトルには1曲目の『Rockin’ the World』が付いてますけど、コレはどこから来たんですか?
 

IKE 「最後の最後まで決まってなかったんですけど…なんかアルバムのタイトルって、なかなか覚えられなくないっすか? だったら曲タイトルと同じにしようと。その時点でまだタイトルが決まってなかったのがこの曲で、同時にレコーディングも最後の曲だったんですよ。じゃあこの曲に付いたタイトル=アルバムタイトルにしようということで、MOMIKEN(b)に丸投げ(笑)」
 

KENTA「MOMIKEN頑張って考えて!って(笑)」
 

IKE 「結局、この曲の“Rockin’ the World”っていう最初の1フレーズが、そのままアルバムタイトルにもなったと」
 

KENTA「なんかこう…“震撼させる”というか、ロックバンドが“Rock”というタイトルを作品に入れるのは単純明快でいいねって。1stアルバムにはすごくいいタイトルかなと」
 

IKE 「“Rock”と“World”が入ってたら、なんかデカい気がするじゃないですか(笑)。イメージが良かったから即OK!みたいな」
 

KENTA「このタイトルを見てR&Bのアーティストだとは思わないと思うんですね、絶対」
 

――そしてCDを再生して『Rockin’ the World』のあのリフが鳴ったら、ああこういうことね、みたいな。
 

IKE 「ここから始めていこうぜ、ロックしていこうぜっていう意思が伝わったらいいなって」
 

――インタビューの冒頭で海外でのライブの話も聞きましたけど、言われればこのタイトルともすごくつながってるというか。ここからまた始まりますね。このアルバムが出来上がったときはどう思いました?
 

KENTA「すごく…落ち着いた気分になりましたね。“やっと出来た。これでまたここから走り出せる”っていう気持ちがすごく強かった。自分を戒めるではないですけど、気を引き締めていくぞって、聴いた瞬間にすごく思いました」
 

IKE「俺は結構“無”だった気がしますね。感無量で無になったのか…出来た充実感がポンとあっただけで、他のことを何にも思わなかった。その後に、ここからリスタートだなとか、このアルバムを使ってやらなきゃいけないことがどんどん出てきたぞという感じで。でもホントにいろんな人と話し合いながら、1曲1曲掘り下げて作った作品だから自信もあるし、10年でも100年でも残っていくアルバムだと思ってます」
 

――そして、アルバムリリースの後には、10月30日(日)日比谷野外音楽堂でのワンマンライブもあります。この日に向けてはどうですか? デビューイヤーからここ1年で最も大きなプロジェクトではありますけど。
 

KENTA 「今年はこの日に向かって走ってきたのもあるし、やっぱりここをやり切るまでは絶対に気は抜けない。でも、その後の自分たちに何かがないと、燃え尽き症候群じゃないですけど、ズドーンとテンションが下がることもあり得るので。しっかりライブをやり切って、また次に向けて走り出せる準備を今から進めていきたいと思ってます」
 

IKE「なんだかんだ言って日比谷の野音は、SPYAIRの未来に向けた流れの中の、通っていく点になるはずの場所だと思ってるんです。KENTAの言ったことももちろん考えていかなきゃいけないし、その点に向かうための線上にシングルやこのアルバムがあって…もう全部の流れを抱えての野音なんです。ここまで支えてきてくれた人たちに大きく変わったSPYAIRを見せたいし、感謝の気持ちを表現しなきゃいけない。そこでデカく出れそうな自分らが、今はすごく嬉しい」
 

――この日を終えて、何か見えるものがすごくあるでしょうね。そこにいるお客さんたちの顔を見て思うこともあるだろうし。
 

KENTA「あると思います」
 

IKE 「それを見たいがためにやってますからね」
 

――そう考えたら後はもう、体調管理だけですね(笑)。
 

KENTA 「そうっす!(笑)」
 

IKE 「何で俺の方見るん?(笑)」
 

――アハハハハ!(笑)
 

IKE 「まぁ落ち着いて、1つ1つやっていきましょうよ(笑)」
 

――それにしても気合いのこもったアルバムが出来ましたよね。
 

IKE 「いいモノが出来たし、いずれはいろんな人に届くアルバムだとは思ってますけど、今は結構短期間で皆さんに届けていかなきゃいけない時期っていうところで、そこはもう…お力添えを(笑)」
 

――(笑)。そのひとつのきっかけにこのインタビューがなればね、すごく嬉しいなと。
 

KENTA 「いやもう本当にそれは力になってるんで。今後ともよろしくお願いします!」
 

――こちらこそ! 本日はありがとうございました!
 

IKEKENTA「ありがとうございました~!」



Text by 奥“ボウイ”昌史




(2011年10月21日更新)


Check

Release

駆け抜けた1年間を濃縮還元!
ロックでマッシブな1stアルバム

Album
『Rockin' the World』
発売中 3500円
Sony Music Associated Records

【初回生産限定盤A】(CD+DVD)
[DVD]Music Video 5曲+
2010.6.27名古屋・栄広場での
伝説のLive & Document
AICL-2287~8

【初回生産限定盤B】(CD+特典CD)
[特典CD]全9曲収録カップリングBEST
※現在入手不可能なインディーズ時代の
 名曲『OVER』も収録。
AICL-2289~90

【通常盤】
発売中 2800円
AICL-2291

<収録曲>
01. Rockin' the World
02. ジャパニケーション
03. サムライハート(Some Like It Hot!!)
04. BEAUTIFUL DAYS
05. STRONG
06. LIAR
07. Stay together
08. Beautiful
09. I miss you
10. Last Moment
11. SINGING (album mix)
12. My Friend

Profile

スパイエアー……’05年、高校時代から続けていたバンドが解散となった中学の同級生IKE(vo)、KENTA(ds)、MOMIKEN(b)を中心に名古屋にて結成。UZ(g)を誘い4人で活動開始。最初の1年間はライブをせず製作期間とし、’06年10月頃から名古屋の繁華街・栄にある野外広場を中心に自主イベントをスタート。’07年9月、名古屋APOLLO THEATERで初のワンマンライブを開催。この頃から、ENZEL☆(DJ)はサポートとして活動を共にするようになり、’09年に正式メンバーとして加入。’10年6月には、栄・野外広場にて100本目の野外ライブを“FINAL”として実施。延べ2000名の観客を集める。同年8月、シングル『LIAR』でメジャーデビュー。アッパーなラウドロックをベースとしたサウンド、キャッチーなメロディ、ストリートで叩き上げられたライブで、只今人気上昇中。バンド名の由来は、“SPYWARE”というウイルスの言葉の響きに惹かれ、検索して即出てくるようにアレンジされ“SPYAIR”となった。

SPYAIR オフィシャルサイト
http://www.spyair.net/


Live

野外から生まれたSPYAIRが
この秋、東京の野音に挑戦!

『SPYAIR LIVE at 野音
「Just Like This 2011」』
Thank you, Sold Out!!
▼10月30日(日) 16:00
日比谷野外大音楽堂
指定席3000円 立見2800円
ディスクガレージ■03(5436)9600
※3歳以上はチケット必要。雨天決行。

完売に涙を飲んだ方に朗報!
当日券の発売が急遽決定!!

『SPYAIR LIVE at 野音
「Just Like This 2011」』
 当日券予約のお知らせ

10月28日(金)~下記にて電話予約を受付。
当日:指定席3000円 立見2800円
※予定枚数に達し次第受付を終了。
(当日会場では14:00より発売予定)

【ディスクガレージ当日券予約】
■03(5436)9700[12:00~16:00]
※上記以外の時間帯は自動音声にて対応。

New!

初の東名阪ワンマンツアー
初日の大阪は即完必至!

『TOUR 2011「Rockin' the World」』
一般発売12月3日(土)
Pコード154-330
▼12月17日(土)18:00
心斎橋DROP
スタンディング-3000円
キョードーインフォメーション
■06(7732)8888
※3歳以上は有料。

チケットの購入はコチラ!
チケット情報はこちら

Column

名古屋時代の逸話も語った
シングル『サムライハート(Some Like It Hot!!)』インタビュー!