ロータス・カルテット＆ペーター・ブックを迎え 10月9日スタート。シューベルト晩年の作品に光を当てるいずみホールの年間企画「シューベルト－こころの奥へ」 - インタビュー＆レポート

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ロータス・カルテット＆ペーター・ブックを迎え
10月9日スタート。シューベルト晩年の作品に光を当てる
いずみホールの年間企画「シューベルト－こころの奥へ」

　いずみホールは8月24日、記者会見を行い、2016-17の年間企画｢シューベルト－こころの奥へ｣の概要を発表した｡10月9日（日）から2017年3月17日（金）までの全7公演。シューベルトの晩年の作品を中心に、三大歌曲集（「白鳥の歌」「美しき水車屋の娘」「冬の旅」）と室内楽の数々に光を当てる。「シューベルトの音楽というのは外に向かって何かを主張していく、といった性質のものではないように思われます。しかし聴く人が音楽の中に入っていってそこにあるものに耳をすましてみると、それは紛れもなくシューベルトの心の響きであるというような、慎ましやかな表情を持っている。そうしたシューベルトの音楽の特長を表すべく今回は「シューベルト－こころの奥へ」という題名での年間企画とした次第であります｣。いずみホール音楽ディレクター、礒山雅氏は席上、そのように語った。

　会見には礒山氏のほかにロータス・カルテットの山碕智子氏〔ヴィオラ／10月9日（日）〕、鍵盤楽器奏者の鈴木優人氏〔フォルテピアノ／2017年1月13日（金）〕が出席。それぞれが演奏への抱負を語る中、鈴木氏が当日演奏する、いずみホール所蔵のフォルテピアノ「1820年代製ナネッテ・シュトライヒャー」を試奏する場面があった｡「楽興の時」「アルペジオーネ・ソナタ」の冒頭部分などが弾かれたが、印象的だったのは「冬の旅」終曲の「辻音楽師」の伴奏の響き。深淵から届けられるようなその響きは、シリーズの水準を示すにふさわしい純度の高さと言えるものであった｡ユリアン・プレガルディエンのテノールで届けられる本公演への期待が高まる。

　開幕は10月9日（日）。弦楽四重奏曲の傑作｢死と乙女｣と、シューベルトが死の2ヵ月前に書き上げた弦楽五重奏曲を取り上げる。演奏はロータス・カルテット。1993年いずみホールで行われた大阪国際室内楽コンクール弦楽四重奏部門での第3位入賞を契機にドイツへ渡り、シュトゥットガルトを拠点に国際的な活動を続ける弦楽四重奏団である。前半では現在の彼らの成果を示す充実したアンサンブルを、後半ではロータス・カルテットが師事したメロス弦楽四重奏団のチェリスト、ペーター･ブックを加えた演奏で、成熟した五重奏の味わいを楽しむことができる。シューベルトの晩年の境地に迫る演奏が聴けることだろう。

　31歳という短い生涯を生きたシューベルトはその作品に永遠の若さを封じ込めた。孤独な道のりの傍らに、彼の音楽は美しい花のように残されている。シューベルトはその作品に触れることが、そのまま彼の心に触れるような作曲家なのである。「シューベルト－こころの奥へ」。７つの公演はまさにその心の奥の何かを語るに違いない。

シューベルト－こころの奥へ
Vol.1 《ロータス･カルテット&ペーター･ブック》

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●10月9日(日)16:00
一般-4000円(指定) 　
Pコード　297-032 チケット発売中

【プログラム】
シューベルト：弦楽四重奏曲ニ短調 D810 「死と乙女」
シューベルト：弦楽五重奏曲ハ長調 D956

【出演】
ロータス･カルテット(小林幸子、マティアス・ノインドルフ、山碕智子、齋藤千尋）〔写真左〕

ペーター･ブック(チェロ)　〔写真右〕

Vol.2 歌曲集《白鳥の歌》

●11月23日(水･祝)14:00

一般-5000円(指定) 　
Pコード　297-033 チケット発売中

【プログラム】
糸を紡ぐグレートヒェン D118　　水の上で歌う D774　　エレンの歌Ⅲ〈アヴェ・マリア〉D839　
ミニヨンの歌〈知っていますか、レモンの花咲く国を〉D321　　
ミニヨンの歌〈ただあこがれを知る人は〉D877-4　
竪琴弾きの歌Ⅰ〈孤独を求めるものは〉D478　　光と愛 D352

《白鳥の歌》D957

【バリトン】三原剛〔写真左〕【ソプラノ】佐々木典子〔写真右〕
【ピアノ】小坂圭太【ピアノ】千葉かほる

（2016年9月14日更新）

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