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ホーム > インタビュー&レポート > 「The Melody~100年の音楽~コンサート」 ザ・シンフォニーホールのステージに立つ ヴァイオリニスト川井郁子が語る、自分らしさと情熱と。


「The Melody~100年の音楽~コンサート」
ザ・シンフォニーホールのステージに立つ
ヴァイオリニスト川井郁子が語る、自分らしさと情熱と。 (1/3)

 ヴァイオリニスト川井郁子が1月31日(土)、ザ・シンフォニーホールで「The Melody~100年の音楽~コンサート」を行う。これは彼女が出演、演奏するミニ番組「100年の音楽」(テレビ大阪毎週金曜/22:54~23:00)のコンセプトを受け継ぐもの。時代を超えて人々に愛されてきたメロディの数々をピアニストのフェビアン・レザ・パネ、チェリストの渡邉辰紀をはじめとするミュージシャンらとともに演奏。またダンサーの長澤風海を迎え、彼女ならではの深い情熱を湛えたステージを展開する。昨年7月には、アルバム『The Melody~100年の音楽~』をリリース。クラシックを中心に、ジャズ、ポピュラーなど、ジャンルを自由に行き来する彼女の音楽は多くのファンに支持されている。また近年では2014年、ソチ・オリンピックのゴールドメダリスト羽生結弦(『ホワイト・レジェンド』2010-11/SP)をはじめ、多くのフュギュアスケートの選手たちの滑走に使用されるなど注目を集めている。コンサートを控えた川井郁子に聞いた。

■衝撃だった、アストル・ピアソラの音楽。

―――コンサートや番組のタイトルにもなっている「100年の音楽」というのはどういう意味なんでしょう。


 ひとつは100年以上残って来ている曲という意味。もちろんクラシックの作品は何百年も残って来たわけですけど、新しい曲でもきっとこの先100年は聴かれるだろう名曲っていう意味なんです。そしてもうひとつは100年の世代に渡って楽しんでもらえる音楽っていう意味。今生きている3世代くらいの人たちみんなの心に届く音楽ですね。ジャンルに捉われない、誰もが知っている名曲のコンサートという風に考えていただければと思います。

―――確かにクラシックだけじゃなくて、ポピュラー、映画音楽やジャズなどからも選曲されてますよね。川井さんに一度うかがいたかったんですけど、クラシックをずっと専攻されていたのに、その編曲をご自身でなさったり、ポップスやジャズや映画音楽を分け隔てなく演奏する方向に進まれましたよね。何か思うところがあったんですか。

 芸大時代に、クラシックに疑問を持ったんです。同じ曲をいろんな方の名演も残っている中で私たちが弾いて、しかも、気持ちのまま好き勝手に弾いちゃいけないっていう部分に。もっと自分らしく弾きたいっていう思いがありながら、当時、ポピュラーな曲を弾かせていただく機会もいただいたんですけど、その頃はそれなら誰でも出来るんじゃないっていう意識があったんです。それがある時、アストル・ピアソラの音楽に出会ったことで、クラシックだろうがジャズだろうが、自分の音楽のジャンルを作るのは自分自身であることに気づかされたんですね。それで自分で音楽を作りたいなと思ったんです。アレンジや、自分らしく弾くということにこだわるようになったんです。

―――衝撃的だったんですね。どこでピアソラに?

 最初の出会いは『リベルタンゴ』。まず一緒にやってるピアニストから電話が掛かってきて、絶対にいっこちゃん好きなアーティストだと思うから聴いてみてって言われて。まだ日本でブームになる前だったんですけど、買いに行って、聴いた時の衝撃はすごかったな。興奮しましたね。


―――ピアソラのどんなところに興奮したんですか?

 タンゴではない、けれどもある意味、タンゴ以上にタンゴであるっていうとこかしら?確かに踊るっていう観点では、踊りにくい。だけどタンゴのスピリットがあって洗練されてるし、クラシックのよさも入ってるし。すべてを彼色に染めるっていうのか、彼はバンドネオン奏者なんだけどヴァイオリンも自分の音に染める強さがある。すごく求心力のある音楽ですよね。

―――その求心力を言い換えると、情熱、みたいなものでしょうか?

 情熱ですね、もうこれ以上ないほどの。でも情熱っていってもただ熱い、発散するラテン系じゃなくそれを内に秘めた、内省的な情熱。すごく冷静な面と、熱い面の両方が常にあるのがかっこいいですね。

―――でもピアソラに憧れたとしても川井さんの音楽に出てくるものはまた違うものですね。川井さんの音楽には、もう少しやわらかなもの、を感じます。やわらかくて、もう少し、大らかなもの。

 ピアソラには彼自身のアルゼンチンの血っていうのがあるんですよ。で、私にはきっと脈々とある日本人の血っていうものがあって、自分のジャンルを模索する中で、「和」のテイストっていうのがすごく入ってるんだなと思うんです。自分で曲を作ってもどこかで「和」のアレンジをすると必ず合うっていう。人に音楽を届けようとする時に、そういうところが自然に出て来るのかも知れない。ピアソラがアルゼンチンのタンゴでいちばん自由に音楽を表現したように、私も日本人の血の中でヴァイオリンを弾く時に、いちばん自分らしい表現ができるっていう意味で。だからそうした部分のやわらかさみたいなものを感じていただいたのではないでしょうか。

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(2015年1月22日更新)


Check

川井郁子(ヴァイオリン)

「The Melody
 ~100年の音楽~コンサート」


●2015年1月31日(土)17:30
 ザ・シンフォニーホール
 S席-5500円 A席-5000円 
 チケット発売中 Pコード 247-764

【演奏予定曲】
・リベルタンゴ
・ニューシネマ・パラダイス 
 テーマ曲・愛のテーマ
・ツィゴイネルワイゼン
・Let It Go  他

【問い合わせ】
キョードーインフォメーション
■06-7732-8888

チケット情報はこちら


川井郁子 MOVIE COMMENT

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Now On Sale

「The Melody~100年の音楽~」

01.So In Love
02.春の声
03.白鳥
04.愛の挨拶
05.慕情
06.黒い瞳
07.ロンドンデリーの歌
08.ツィゴイネルワイゼン
09.ウィリアム・テル序曲
11.ジュ・トゥ・ヴ
12.リベルタンゴ
13.アメイジング・グレイス
14.黒いオルフェ
15.ラ・クンパルシータ
16.チャールダーシュ
17.G線上のアリア
18.ふるさと
19.ニュー・シネマ・パラダイス
   テーマ曲・愛のテーマ
20.星に願いを
21.ブルーバード

VICC-60891 3000円+税