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『映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』
ゲスト声優&主題歌を担当した知念里奈インタビュー

シリーズ16作目を迎えた『プリキュア』シリーズの劇場版『映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』が、10月19日(土)より、梅田ブルク7ほか全国にて公開される。TVアニメでおなじみのキュアスター&キュアミルキーらが、不思議な生き物“ユーマ”と出会い、“うた”を通じて絆を深める様や“ユーマ”を守るために戦う姿を描き出す。監督は、『映画魔法つかいプリキュア!奇跡の変身!キュアモフルン!』の田中裕太。声優はTVシリーズと同じく、でんぱ組.incの成瀬瑛美、小原好美などが務めている。そんな本作の公開を前に、宇宙怪盗を捕まえるべく奮闘する警部補メリー・アン役で、ゲスト声優として本作に参加し、主題歌も歌う知念里奈が作品について語った。

――『スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』の声優のオファーが届いた時はどのように感じましたか? また、知念さんは息子さんがふたりいらっしゃいますが、息子さんの反応はいかがでしたか?


まずは、まさかこんなご縁があるなんて! という感じで、すごく嬉しかったです。下の子はまだ赤ちゃんですが、上のお兄ちゃんが今中学2年で、彼が4、5歳の時は日曜日に仮面ライダーを見て、その後のプリキュアもふたりで一緒に見ていたので、プリキュアの声優に決まったことを報告するとすごく喜んでくれました。プリキュアが2004年からスタートしていて、長男が2006年生まれで、3、4歳の頃から3~4年は見ていたので、プリキュアは身近な存在でした。

――知念さんは2001年には映画『ドラえもん のび太と翼の勇者たち』でも声優を務めてらっしゃいましたが、久しぶりの声優で苦労されたことはありましたか?


“表現”という意味では舞台と同じなのですが、声優は全く違うんですよね。普段の舞台では衣装を着たり、かつらをかぶったり、そういうものに色々な意味で助けられていたんだなと思いました。声だけの表現で、しかもプリキュアに登場するポップな可愛いキャラクターなので、テンションを高くしてほしいと監督さんに言われて、想像していたよりも5倍ぐらいのテンションで頑張りました。

――舞台と声優が全く違ったというのは、発声はもちろん何もかもが舞台とは違ったという印象でしょうか?


そうですね。まず、このプリキュアのポップな絵で、普通の声では合わないですよね。特に、私が演じたメリー・アンは犬ですしね(笑)。この映画で声優の仕事をした次の日は、喉がきつかったんです。普段と違う動きをして頑張ったんだと思います。毎日公演をやっている時の方が、喉は普通でした。私の技術が足りないからだと思いますが、普段とは全然違う部分を使っていたんだと思います。やはり、声だけで表現するということは、全然違いました。最初の頃は分からないまま、とにかく一生懸命にやっていたんですが、後半まで撮った後に、キャラクターがやっと見えてきたので、最初の頃に撮ったシーンは撮り直したんです。それくらい、やり方をつかむまでが大変でした。

――知念さんが演じられたメリー・アン警部補は、「~であります」という独特の話し方をするキャラクターですが、演じられていかがでしたか?


下の赤ちゃんが、テレビでプリキュアをつけているとプリキュアたちの声に反応するんですね。可愛い子の声色に。何もわかっていなくてもこの声色に反応することに気づいて、子どもたちが見てくれた時に、メリー・アン警部補を好きになってくれるような、気を引くような声色ができたらいいのかなと思って、体当たりで頑張りました。自分の持っている引き出しを全部使った感覚でしたし、挑戦という意味ではすごく楽しかったです。演じていくうちに、テンションがどんどん上がっていくので、私はどうなっちゃうんだろうと思いながら演じていました。スタッフさんたち皆さんが、本当に愛情を持って取り組まれているので、あまり良くないテイクの時は、どういう言葉で私に伝えれば伝わるだろうかと考えてくださって、何回も指導していただいて、何度も何度も撮り直しをしたんですが、皆さんのプリキュアへの愛情をすごく感じました。

――男の子でも女の子でも、子どもたちは皆“ヒーローもの”への憧れを持っていると思います。知念さんにとって“ヒーローもの”というのはどのような存在でしょうか?


それこそ、長男はずっと仮面ライダーのベルトばかりで遊んでいましたし、子育てしていると必要ですよね、ヒーローが。今回の映画も、プリキュアは地球人ですが、“ユーマ”という宇宙から来た不思議な生き物と出会って、全く異なる者同士が歩み寄って、分かりあって、心を通わせていく、そういう口で説明してもなかなか子どもたちに伝えられないことを、こういうエンタテインメントで伝えられることは素晴らしいなと改めて思いました。映像がポップで、可愛くて楽しくて、歌ったり踊ったりして、それを観て楽しいと思っている中で、大事なメッセージを子どもたちに受け取ってもらえるのは、すごいことだと思います。

――知念さん自身も、声優を務めてワクワクされましたか?


プリキュアの映画というのは、子供たちが参加型で、ペンライトを振って応援したりして、すごいということを聞いて、ますます公開が楽しみになりました。私は男の子の母親なので、プリキュアの映画の世界を経験したことがなかったんですが、今回関わらせていただいて、ピンクが好きだったことやフリフリに憧れていたことなど、自分が少女だった頃を思い出して楽しむことができて、女の子の母親の楽しみ方ってこういうことなのかなと思いました。周りの女の子がいるママ達も、プリキュアの映画シリーズをすごく楽しみにしていますし、すごくいい話なので、お兄ちゃんにも観てほしいですし、ゆくゆくは下の子にも観てほしいと思っています。

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――知念さんは、完成した映像を見ながら声を入れられたんでしょうか?


映像はまだでしたね。ざっくりした線だけのようなシーンもあったりして(笑)。スタッフさんや声優さんたち、普段から慣れている方には、シーンがちゃんと見えているみたいなんですが、私にはなかなかわからなくて(笑)。振り向いた瞬間に台詞を言ってくださいと言われても、何がどうなっているのかわからない世界でした。数字を見ながら、ここかな? というタイミングで台詞を言っていました。映画の公開1週間前にテレビで放送される回に、私が演じるメリー・アン警部補が出てくる回があるので、キュアコスモ役の上坂すみれちゃんと、一緒に撮らせてもらったんですが、プロの技を見た! と、すごく感動しました。台詞に入っている「…」や「!」にも、声を入れなければいけないんですが、普通に考えると全然わからないですよね(笑)。そういう表現や、少し動いたり、キックを受けたり、台詞はなくてもアニメーションの動きと一緒に、漏れる声みたいなものをすごくたくさん入れなければいけないんです。そういう姿を見させていただいて、面白かったですし、すごいと思いました。目の前で上坂さんがやっているのを見たり、いざ自分にやりなさいと言われると、大変なことだと思うんですが、アニメーションで見ていると全く違和感がないんですよね。走っているシーンの息切れや、少し口から漏れる音が絵とマッチしていて、すごく自然に見えると思うんです。とにかくすごい世界でした。

――メリー・アン警部補はアクションシーンも多そうですね。


私が演じたメリー・アン警部補が、ドジでお茶目な感じのキャラクターなので、監督から「もうちょっと面白い感じで」と言われたんですが、どうしていいかわからなかったです(笑)。私が演じるメリー・アン警部補は、今回の映画の入場者プレゼントになっているミラクルスターライトを落としてしまったりする、ちょっと抜けているところや、一生懸命すぎて空回りしてしまうところのあるキャラクターなんです。テレビでメリー・アン警部補が登場して、彼女とキュアコスモとの関係を描いた回が放送されるのですが、その回には特にメリー・アンがおっちょこちょいなところや、彼女のキャラクターが出ていると思います。

――知念さんは、本作では主題歌も担当されています。すごくしっとりとした歌でしたが、どのような気持ちを込めて歌われたのでしょうか?


プリキュアの主題歌だと思うと、もっと子どもが喜ぶような歌い方をするべきなのかなと思ったんですが、歌詞がすごく素敵で、伝えたい言葉がまっすぐに書かれていましたし、メロディもバラード調だったので、歌詞を丁寧に、大事に、ちゃんと聞こえるように届けようと思って歌いました。

――本作に登場する謎の生き物“ユーマ”は、言葉はわからないけど“うた”が好きという設定です。


“ユーマ”は誰かの悪いエネルギーを近くに感じると悪くなってしまうし、良いエネルギーを感じるとよくなるんですよね。演じながら、それって赤ちゃんみたいだなと感じたんです。赤ちゃんも、言葉は喋ることができないけれども、周囲のいろんな影響を受けてしまいますよね。そう感じると、“ユーマ”が余計にかわいく感じました。プリキュアたちが本当は“ユーマ”と一緒にいたいけど、“ユーマ”にとって一番いいことは何なのかと考えて、行動するところはすごくキュンとしました。たとえば、子どもだとすごく仲の良いお友達が引っ越しで離れてしまうことや、親の立場で言うと子離れされてしまうことなど、“ユーマ”とプリキュアたちの関係性には、色々なことを重ねて観ることができると思います。

――最後に本作を楽しみにしている方へメッセージをお願いします。


私はまだ、テレビの方も映画も観られていないので、完成作がすごく見たいです。子どもたちはもちろんですがお父さんやお母さんも、この作品はいろいろな角度から楽しんでもらえると思うので、ご家族でぜひ観に行ってほしいなと思います。私は、プリキュアとは久しぶりの再会だったんですが、こんなにも時代が変化している中で、全く変わらずに4、5歳の子たちが、その年頃になるとみんながプリキュアに夢中になる、普遍的な素晴らしさがプリキュアにはあると思います。今回の映画のお話のように、他者を受け入れていかなきゃいけないというニュースで話題になっているような事と通じる要素もあって、時代に合わせた変化をしながら、子供たちに変わらず愛され続けている、それはやはりすごいことだと思います。違っていて当たり前なんだよというメッセージを、エンタテインメントで伝えられることは本当に素晴らしいと思います。

 

取材・文/華崎陽子




(2019年10月16日更新)


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Movie Data

(C) 2019 映画スター☆トゥインクルプリキュア製作委員会

『映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』

▼10月19日(土)より、梅田ブルク7ほか全国にて公開
声の出演:成瀬瑛美、小原好美、安野希世乃
小松未可子、上坂すみれ、木野日菜
吉野裕行、知念里奈
監督:田中裕太
主題歌:知念里奈「Twinkle Stars」

【公式サイト】
https://www.precure-movie.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/182114/


Profile

知念里奈

ちねん・りな●1981年2月9日、沖縄県生まれ。1996年にシングル「DO -DO FOR ME」で歌手デビュー。以後、映画やドラマ、舞台への出演など女優としても多方面で活躍。10年以上にわたって、ミュージカル『レ・ミゼラブル』に出演しており、日本で唯一、コゼット、エポニーヌ、ファンテーヌのヒロイン3役を演じている。その他、『ジキル&ハイド』のエマ役、『ミス・サイゴン』のキム、エレンなどの大役を演じるなど、今やミュージカルシーンに欠かせない女優となっている。2児の母としてますます活躍の場を広げている。