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『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』
佐久間由衣インタビュー

累計アクセス数が1000万を超え、すでに書籍化、ドラマ化もされている大人気ブログを基にした親子ドラマ『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』が、6月21日(金)よりTOHOシネマズ梅田ほかにて公開される。本作は、ずっとすれ違ってきた父親の本心を、正体を隠してプレイするオンラインゲームを通じて知ることになった息子アキオの心情を描いた感動作だ。映画にドラマにと大活躍の続く坂口健太郎と、ドラマ『おっさんずラブ』などの吉田鋼太郎がダブル主演を務め、アキオに思いを寄せる同僚・里美を佐久間由衣が演じている。本作の公開を前に、佐久間由衣が作品について語った。

――里美は、映画のオリジナルキャラクターです。どのように里美のキャラクターを作り上げていったのでしょうか?
台本を頂いた時に里美というキャラクターが比較的すぐに想像できたんです。オリジナルキャラクターだということを知って、いい意味で自由に、監督やスタッフさん達と色々と意見を出し合いながら里美という像を作り上げていきました。里美は、自分の世界観が構築されていて、今の時代になかなかいないような不思議な女の子だなと感じたんです。分かりやすく突飛な役ではないですが、マイペースで自分のリズムを持っていて、彼女のちょっとした発言に「ん?」と思ってしまうようなところがあったりする、チャーミングな女の子なのかと。洋服や容姿も今っぽくなく、SNSもやってないような。それなのに、同僚の女の子ともちゃんと仲良くできてしまう、独特な女の子かなと想像を膨らませました。監督さんやスタッフさん、衣装部さん、メイクさん、みんなで里美を作り上げていきました。里美の、自分の世界観を持っているところがアキオと似ていると思ったので、傍から見てもこのふたりは合うだろうなと思ってもらえるようなカップルリングに見えたらいいなと思っていました。でも、好きだから女性らしさを全面的に出すのではなく、中性的な女の子にしたかったので、物語の雰囲気を崩してしまわないように、ふわふわしているようなほんわかした女の子像を心がけました。

――本作では、ゲームパートのキャラクターの声も務めてらっしゃいます。
現実パートを撮り終えた後に、他の声優さん達が声を入れるタイミングで私も参加させていただきました。出来上がっていたゲームの映像に声を乗せたのですが、声優さんのお仕事をするのは初めてだったので、正解が全くわからなくてとても難しかったです。普段の里美の姿とゲームのキャラクターの格差がすごかったので、声量や表現の仕方も難しかったです。今回は、ゲームプレイを録画した動画に声を吹き込むので、アニメーションではないですし、声を入れる上でも映像がゲームの“間”で作られていて、セリフがそこに入りきらなくて臨機応変にその場で言葉を削ったりすることもあって、本当に難しかったです。

――劇中ではゲームをプレイするシーンもありましたが、ゲームの経験はおありでしたか?
ゲームはやったことがありましたが、ファイナルファンタジーをしたことはなかったので、作品に入る前に練習しました。「ファイナルファンタジーXIV」はすごく難しかったんですが、自分の思ったようにゲームで操作できるようになったらもっともっと楽しめるんだろうなと思いました。そこにたどり着く前に何個か壁があるんですが、その入口は見えた気がします(笑)。その扉を開けたら、私はまってしまうなと思いました(笑)。

――ゲームをプレイしているシーンも多かったですが、撮影はいかがでしたか?
実際にゲームをやっているということが、カメラを通して見ている方には伝わりづらいと思うので、感情を表現する意識を持ちました。私は、ゲームに慣れていないという設定から入ることができたので、里美らしくゲームの世界に入っていくことをどう表現すればいいのか考えました。普通にゲームをやっているだけだと、何が起こっているのか、どういう気持ちでゲームをやっているのかが伝わらないと思うので、モニターもない状態でカメラが目の前にあって撮影するというのは、また違ったお芝居の難しさを感じました。

――坂口さん演じるアキオと共に働くオフィスでの撮影が多かったと思いますが、撮影現場はどのような雰囲気でしたか?
佐藤隆太さんが、現場を明るくしてくださっていたので、とても楽しかったです。私が演じた里美は、アキオ以外の人へのリアクションがほとんどなかったので、佐藤さんの演技に笑いをこらえるのに必死でした。映画の中で佐藤さんが上司に呼ばれてジャケットを着るシーンがあって、それも佐藤さんの提案だったんですが、偶然のアクシデントでジャケットがめくれてしまって。遠くからそのシーンを見ていたんですが、本当に面白くて。そのシーンが、そのまま映画に使われていました(笑)。

――初共演となった坂口さんの印象は?
坂口さんとご一緒の撮影は短く、さらに私が演じた里美は坂口さん扮するアキオを影から見ているというキャラクターだったので、勝手に観察していたのですが、私にも「やりにくくない?」と聞いてくださったりして、周りをすごく見て、気遣ってくださる方でした。撮影現場では、坂口さんが座長としていて真ん中に居てくださっている印象を受けました。公開前に、キャンペーンで色んな所にふたりで行かせていただいていますが、少年のようで、とっても面白い方です。

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――佐久間さんは、太平洋戦争末期の“疎開保育園”の実話を映画化した『あの日のオルガン』でも、本作でも穏やかな笑顔が印象的でした。撮影時に心掛けていることをお聞かせください。
変な言い方かもしれませんが、絶対に見捨てないぞという気持ちで役と一緒に現場にいるようにしています。撮影前に自分の思っていたことと現場に行くと違うこともありますし、現場ではいろんなアクシデントが起こることもあるので、そういうことに臨機応変に対応していけるように心がけている中でも、やはり自分の心と体で表現するのがお芝居なので、どんなことがあっても役を通して表現することを忘れずに、何があっても役を見捨てないぞという気持ちで、自分が頂いた役と一緒に挑む気持ちで撮影に臨んでいます。

――佐久間さんが出演されていないシーンも多かったと思いますが、完成した映画を観てどのように感じられましたか?
現実の役者さんが演じてらっしゃるパートの感情を、ゲームのキャラクターに乗せて見ることができるので、現実パートとゲームパートがつながっていることに感動しました。色々な試行錯誤があったと思うのですが、どちらにも感情移入してしまう映画になっているなと、私も、ひとりの観客として感動しました。完成した作品を観て初めてアキオの家での様子も観られたので、いつもは自分の出ている作品を客観的に観ることはできないのですが、観客として楽しむことができました。父と子の関係もすごく繊細に描かれていて、心の機微がたくさん見える素敵な親子の物語だと思いました。

 

取材・文/華崎陽子




(2019年6月13日更新)


Check

Movie Data

(C) 2019「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」製作委員会 (C)マイディー/スクウェア・エニックス

『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』

▼6月21日(金)より、TOHOシネマズ梅田ほかにて公開
監督:野口照夫(実写パート)
山本清史(ゲームパート)
脚本:吹原幸太
出演:坂口健太郎、吉田鋼太郎
佐久間由衣、山本舞香
前原 滉、今泉佑唯、野々村はなの
和田正人、山田純大/佐藤隆太、財前直見
声の出演:マイディー役(アキオのゲームキャラ)南條愛乃
あるちゃん役(ゲーム内フレンド)寿美菜子
きりんちゃん役(ゲーム内フレンド)悠木碧
原作:「ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」マイディー
配給:ギャガ

【公式サイト】
https://gaga.ne.jp/hikarinootosan/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/181557/


Profile

佐久間由衣

さくま・ゆい●1995年3月10日、神奈川県生まれ。2013年ViVi専属モデルオーディションでグランプリを受賞。その後専属を卒業。2017年のNHK連続テレビ小説「ひよっこ」でヒロインの親友役を演じ一躍脚光を浴びる。主な出演作に『人狼ゲームBEAST SIDE』、『あの日のオルガン』など。TVドラマでは「明日の約束」、「シグナル 長期未解決事件捜査班」、「チア☆ダン」などがある。今後の公開作は、初主演映画『“隠れビッチ”やってました。』(冬公開予定)。