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「初出演、初映画の作品がこの映画で本当に良かった」
映画『小さな恋のうた』で俳優デビューを果たした
注目の若手俳優・眞栄田郷敦インタビュー

沖縄出身のバンド、MONGOL800による名曲「小さな恋のうた」からインスパイアされた青春映画『小さな恋のうた』が、梅田ブルク7ほかにて上映中。米軍基地のある沖縄県の小さな町で暮らす高校生たちが、バンド活動を通して歌で、大事な人に大切なことを伝えようとする姿を甘酸っぱく綴っている。沖縄の高校に通いながら、自作の曲で観客を熱狂させていた彼らは、その勢いのまま東京のレーベルでのプロデビューを決める。成功に沸くバンドメンバーたちだったが、そんな折ある悲劇が起きる…。『ちはやふる-結び-』の佐野勇斗が主演を務め、森永悠希、山田杏奈、眞栄田郷敦、鈴木仁らが出演し、フレッシュな魅力でエモーショナルなドラマを盛り上げている。そんな本作の公開を記念して、佐野勇斗演じる亮多の親友であり、バンドでは作曲とギターを務める、映画全体の鍵を握る重要な役である慎司を演じた、本作が映画デビュー作となった眞栄田郷敦が作品について語った。

――まずは、初めての演技と初めての映画出演についてお聞かせください。
初めての演技で初めての映画、不安はすごくありました。ギターは楽しめそうだと思いましたが、芝居は特に普段の日常では経験できないようなシーンも多かったので、大丈夫かなと思っていました。でも、本当にいろんな人にアドバイスをもらって、支えてもらって何とか乗り越えられたと思っています。最初は父と本読みをして、助監督と芝居の稽古をしましたし、共演していた佐野さんは、日頃の接し方でも亮多と慎司の関係性を大事にして接してくれましたし、撮影中もたくさん声をかけてくださって、役の関係性を作ることができました。(バンドでドラムを担当している航太郎役の)森永さんも役者の経験が長いので、芝居のアドバイスをもらいましたし、(慎司の妹・舞役の)山田杏奈さんのことも僕は前からすごく尊敬していたんですが、共演して山田さんのお芝居に圧倒されました。特に、佐野さんはずっと現場を盛り上げてくれていました。映画が始まってすぐの部室で演奏するシーンも、1日中撮影していたんですが、1日中あのテンションをキープしていて、本当にすごいと思いました。

――慎司の役作りはどのようにされたのでしょうか?
半年前からバンド練習をしていたので、亮多が前に出て慎司が見守っているというようなバンドメンバーの中での慎司の立ち位置がつかめて、バランスもつかむことができたので、バンド練習は大きかったと思います。最初は個人で練習していたんですが、撮影が近づくにつれてバンド練習の回数も増えたので、撮影直前は週に2、3回のペースでバンドメンバーに会っていました。バンドマンの練習ぐらいのペースで会っていたので、それが慎司の役作りにも活きたと思います。

――ギターを演奏して、歌も歌う役柄でしたが、元々経験はおありでしたか?
ギターは初めてでしたし、カラオケでも盛り上げ役であまり自分が歌うことがなかったので、ちゃんと歌うのは初めてでした。音楽自体は好きなので入りやすかったです。でも、自信は全然なかったです。講師の先生にたくさん教えていただいて、色々アドバイスをして頂いていたので、それが良かったと思いますし、本当に助けていただきました。

――この作品は、歌の力を感じる映画だと思います。MONGOL800さんの曲はこの映画に入る前から聴いてらっしゃいましたか?
MONGOL800さんの曲は、誰もが知っている曲だと思いますし、僕ももちろん聴いていました。特に、「あなたに」は「あなたに 逢いたくて」という歌詞もあるので、恋愛ソングだと思っていたんですが、この映画の中でこの歌はダブルミーニングになっていて、使われ方もすごくいいなと思いましたし、「SAYONARA DOLL」も初めてこの作品で知ったんですが、すごくいい歌だなと思いました。「小さな恋のうた」も、実際にこの作品に携わって歌詞を読み込んでみると、恋愛だけではなくて沖縄への思いや深いものが込められていて、この作品と同じだなと思いました。

――撮影中はどのように過ごしてらっしゃいましたか?
1ヶ月半ほとんど沖縄にいたので、自分の出番がない休みの日でも現場に行って、いろんなものを見ていました。その中で、慎司という役がすごく大事な役だということを改めて感じて、自分のお芝居でいろんなことが変わっていくんだということを実感しました。全体的には順撮りで撮影は進んだんですが、僕は夜のシーンが多かったので、日中にすごく元気なライブシーンの撮影をして、夜に少しシリアスなシーンを撮ったりしていたので、そこは大変でした。

――他のキャストの皆さんとはどのように過ごしてらっしゃいましたか?
バンドメンバーで本当に寮生活を送っているみたいでした(笑)。森永さんの部屋にみんなで集まって、そこで寝たりご飯を食べたりしていました。「ただいま」と帰っていくのは森永さんの部屋でしたね。撮影が終わったら、森永さんの部屋に集合して、そのまま寝ることもありましたし、「おやすみ」と自分の部屋に帰っていく日もありました。バンド部の寮みたいな感じで、楽しかったです(笑)。もちろん、お芝居や役者についての話も聞かせてもらっていましたが、基本的にはバンドメンバーが放課後話しているような話をしていました。そんな風にみんなで過ごしていたことが撮影に活きたんじゃないかと思います。


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――完成した作品を観た時の印象をお聞かせください。
脚本を読んでいましたし、現場にもできるだけ通っていて作品の雰囲気も大体わかっていたんですが、慎司がいないシーンでも、皆さんの表現やお芝居で慎司という存在を感じさせてくれていて、そういう意味でも皆さんに支えられていたんだなと思いました。何て表現すればいいのかわからないんですが、慎司というキャラクターを、皆さんの演技で引き立てて下さったように感じました。そして、すごく小さい、誰もが経験することのある壁から、身近な人の生死や国境のような、すごく大きな壁を、みんなが音楽の力で乗り越えて、音楽を通して家族や国境を越えた友人にメッセージを届けて、バンドで乗り越えていく姿を見て、僕もそれを自分のエネルギーや活力にして頑張ろうと思いましたし、自分が誰かにとっての壁を乗り越える力になりたいと思いました。脚本を読んでいた時から、もちろんいい脚本で、ぐっとくる本だと思っていたんですが、それ以上に感動して、想像を超えてきたように感じました。強いて言うならば、自分の芝居がもっと良ければ、もっと色んなことを感じてもらえる作品になったんじゃないかと思います。ですが、やり残したことはありません。その時の自分の最大限の芝居はできたと思っていますし、これからも前を向いて頑張っていきたいと思っています。

――最後に、この作品を経験した今だからこそ思う、今後への意気込みをお聞かせください。
この映画に参加して、撮影半年前から練習できたことは、役作りにもめちゃくちゃ活きましたし、慎司は言葉では表現しませんが音楽や友情に厚いキャラクターだと思っていたので、練習を重ねていく中で、本当に心からバンドメンバーを思うことができたんじゃないかと思います。初出演、初映画の作品がこの映画で本当に良かったと思います。キャストの皆さんもスタッフの皆さんも本当に温かくて、めちゃくちゃいい現場だったんですが、「こんな現場ないよ」という話をよく聞いたので、今回は半年間の練習期間を設けていただきましたが、これを当たり前と思わずに、役作りや芝居に向かっていきたいと思っています。

 

取材・文/華崎陽子
 




(2019年5月31日更新)


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Movie Data

(C) 2019「小さな恋のうた」製作委員会

『小さな恋のうた』

▼梅田ブルク7ほか全国で上映中
出演:佐野勇斗、森永悠希、山田杏奈
眞栄田郷敦、鈴木仁、トミコクレア
金山一彦、佐藤貢三、中島ひろ子
清水美沙、世良公則
監督:橋本光二郎
主題歌:MONGOL800「小さな恋のうた」

【公式サイト】
http://www.chiikoi.com/

【ぴあ映画生活サイト】
http://cinema.pia.co.jp/title/176114/


Profile

眞栄田郷敦

まえだ・ごうどん●2000年1月9日、アメリカ・ロサンゼルス生まれ。2018年秋に「TGC KITAKYUSYU 2018」の初ランウェイを皮切りにモデルとして活動を開始、本作で映画デビューを果たす。今後の作品に『午前0時、キスしに来てよ』(12月公開予定)が待機するなど、今後が期待される新進若手俳優。