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《第14回大阪アジアン映画祭》が3月8日(金)に開幕! (1/2)

この2月から大阪メトロの電車内や駅構内で張り出されている、ヒョウ柄の服を着たオバチャーンが大きな口を開けて何かを叫んでいるインパクト大のポスターをご覧になった方はいるだろうか。実はこのポスター、3月8日(金)~3月17日(日)までABCホール、シネ・リーブル梅田、阪急うめだホールほかで開催される大阪春の風物詩、大阪アジアン映画祭(以下OAFF)のメインビジュアルなのだ。

メインビジュアルも女性なら、今年のOAFFではメインとなるコンペティション部門で全14作品のうち、女性監督作が8作品入選を果たし、過去最高となった。ちなみに昨年映画業界の平等を訴え、審査委員長のケイト・ブランシェットをはじめ82名の女性がレッドカーペットに集結したカンヌ国際映画祭では、18作品中、女性監督作の入選は3作品だけ。女性映画祭と名がつく映画祭以外で、これほど女性監督の作品がコンペティション部門に入選するケースはまだ稀だ。しかも、今年は長編デビュー作にしてあっと言わされるような若き才能が集結している。

コンペティション部門をはじめ、プログラミング・ディレクターを務める暉峻創三氏(以下暉峻PD)の胸アツコメント付きで、オススメ作品をご紹介したい。

コンペティション部門の半分以上が女性監督作品!
現代を映し出すアジア映画を目撃しよう!

<第14回大阪アジアン映画祭注目作紹介vol.1>


【フィリピン映画界の巨匠を超える新星を見逃すな!】
『視床下部すべてで、好き』<コンペティション部門>
 

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不思議な魅力を持った若い女と、年齢も職業も違う4人の孤独な男の関わりを、マニラの猥雑な町並みを舞台につづる女性監督、ドウェイン・バルタザールの話題作。町並み描写が素晴らしい。ファムファタールのような女に振り回される男たちを悲哀たっぷりに描いている。
 
暉峻PD「香港映画の場合、ウォン・カーウァイ(『恋する惑星』『ブエノスアイレス』)登場以前、登場以降という言い方をするが、ドウェイン・バルタザールもまさにカーウァイ級のインパクト。フィリピンの巨匠、ラヴ・ディアス(『立ち去った女』)やブリランテ・メンドーサ(『ローサは密告された』)などを将来超えていく存在になるはず。必見です!」


 
【大ヒット上映中『金子文子と朴烈』のチェ・ヒソ
 最新作でランニング女子に!】
『アワ・ボディ』<コンペティション部門>
 

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昨年のOAFFオープニング上映作品『金子文子と朴烈』(映画祭タイトル『朴烈 植民地からのアナキスト』)でゲストとして来場し、その笑顔と豊かな表情ですっかり大阪のファンを魅了した主演女優チェ・ヒソ。女性監督、ハン・ガラムの長編デビュー作で、まじめだが冴えない31歳女子を演じている。性への衝動、仕事、家族との関係と様々な問題と向き合う女性の内面、そして外見の変化を見事に体現したチェ・ヒソに注目したい。
 
暉峻PD「今年は男か女かという性的な二分法の揺らぎを感じる作品が多く、本作も同性への愛が絡む作品。『金子文子と朴烈』でチェ・ヒソを知った人は、『アワ・ボディ』で彼女の役者としての幅の広さ、引き出しの多さに感動させられるはず!」


 
【業界人も号泣!ハンカチ必須の香港発ヒューマンドラマ】
『みじめな人』<コンペティション部門>
 

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No Ceiling Film Production Limited (C) 2018

アンソニー・ウォン(『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』)を主演に迎えたヒューマンドラマ。身体の麻痺を抱えた孤独な男と、彼のお手伝いとして日常生活を支えるフィリピン人女性の心の交流をつづる。脚本家、CMディレクターとして活躍してきたオリヴァー・チャンの長編デビュー作。
 
暉峻PD「昨年、釜山国際映画祭の業界向け試写(マーケット)で鑑賞。業界人たちは、通常クールに鑑賞し、途中で退出することも多いが、この作品はエンドロールが終わっても誰も帰らないし、声をあげて号泣しすぎて、泣き止まない人もいるぐらいだった。まさに泣ける映画!」


 
【『バッド・ジーニアス』制作会社の最新作が日本初登場!】
『ホームステイ(原題)』<ニューアクション、アジア!>
 

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(c)2018 GDH 559 Co., Ltd.
 
昨年日本で上映されたアジア映画で、『カメラを止めるな!』同様、若い客層からも人気を集め、タイ映画として異例のヒットを果たした『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』。この制作会社による最新作が登場!森絵都の小説『カラフル』を原案にしたファンタジー・スリラー。日本でも原 恵一監督によりアニメーション映画化されたが、実写化、しかもスリラー!?ぜひ、その衝撃を目撃して!
 
暉峻PD「『バッド・ジーニアス』の映画会社「GDH559」は、会社に作家性があり、社内で徹底議論しながら企画を練り上げるので、監督が違ってもその会社のカラーが濃厚にでている。『ホームステイ(原題)』も、最初はSF 特撮アクションかと思うが、従来のイメージを超えた『カラフル』になっていること間違いなし!」

 
 
【人気トランスジェンダーが主演!2世代のトランスジェンダーを描く注目作】
『女は女である』<Special Forcus on Hong Kong 2019>
 

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(c)Association of World Citizens Hong Kong China

アカデミー外国語映画賞に輝いたチリ映画『ナチュラルウーマン』は、トランスジェンダーの女優が主演を務めたことでも大きな話題になったが、香港からも人気トランスジェンダー、トモ・ケリーを起用し、トランスジェンダーの問題を描く映画が登場。ベテラン女優・歌手のアマンダ・リーと2世代のトランスジェンダーの物語が交差する。
 
暉峻PD「本作のプロデューサーも50代で女性に性転換した人。アマンダ・リーは映画の中で男性から女性に性転換した中年を演じている。実年齢が20代後半のトモ・ケリーは人気ユーチューバーで、日本語もペラペラ。映画では男性として生まれながら女として生きることにアイデンティティを見出す高校生を熱演している。ゲストとして来阪予定なので、ぜひ会いに来てほしい」

 
 
【出演作3本が入選!芋生悠(いもう・はるか)がキター!!!】
 

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(C)2018「恋するふたり」製作委員会

特別招待作品部門の『恋するふたり』(稲葉雄介監督)、インディ・フォーラム部門の
『左様なら』(石橋夕帆監督)で主演、同部門『JKエレジー』(松上元太監督)では主役級と出演作3本が入選した芋生悠。今年のOAFFで上映される日本映画の注目株になること間違いなし!
 
暉峻PD「芋生さんの出ている映画でつまらない映画はないといっても過言ではない。今後もっと大きな存在として伸びていく逸材。ファンは芋生映画祭をチェックして!」




(2019年2月21日更新)


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《第14回大阪アジアン映画祭》

会期:2019年3月8日(金)~17日(日)
会場:ABCホール、シネ・リーブル梅田、阪急うめだホール、国立国際美術館

[問]大阪アジアン映画祭 運営事務局
■06-4301-3092

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