ピエール・ボハナ造形美術監督が語る、魔法のトランク、杖など小道具へのこだわり『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』イベントレポート

ホーム > インタビュー＆レポート > ピエール・ボハナ造形美術監督が語る、魔法のトランク、杖など小道具へのこだわり『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』イベントレポート

ピエール・ボハナ造形美術監督が語る、
魔法のトランク、杖など小道具へのこだわり
『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』イベントレポート

『ハリー・ポッター』の新シリーズ『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』がいよいよ11月23日(水)より公開される。『ハリポタ』シリーズ全作品＆新作『ファンタビ』で小道具を手がけたピエール・ボハナ造形美術監督が公開に先駆けロンドンから来日し、半月ほど日本に滞在。北海道、仙台、静岡、名古屋、福岡、東京、そして最後に大阪を訪れた。

ピエール・ボハナ造形美術監督とは――

『ハリー・ポッター』シリーズで、空飛ぶほうきや魔法の杖、クイディッチの試合のスニッチなど、ほぼすべての小道具の制作を手掛けてきており、『ハリー・ポッター』全シリーズ以外では、『ダークナイト』、『ゼロ・グラビティ』、『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』など、近年のハリウッド超大作で小道具制作に携わっている。

『ファンタビ』こと、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』は、原作者のJ.K.ローリングが脚本も手がけた新たなシリーズ作品で、ピエール・ボハナ造形美術監督は「とにかくワクワクした。『ハリー・ポッター』での仕事は多くの素晴らしい出会いもあり、本当に楽しかった。今回も関われることにこの上ない幸せを感じました」と企画を聞かされた当時を振り返った。

映画は、圧倒的な知識と情熱をもつ魔法動物学者のニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)が1926年のニューヨークで、魔法のトランクから人間の世界に逃げ出してしまった魔法動物たちの行方を追う中で、魔法界と人間界を揺るがす危機に立ち向かうというストーリー。

実際に撮影に使われたトランクを手に、ピエール・ボハナ造形美術監督は「物語の設定が1920年代なので、当時多かった圧縮されたボード紙に縁取りのみ革という作りに見えるように作りましたが、実際はカーボンファイバーという素材でこれはズームアップで撮る用のもののひとつです」と語った。

そして魔法の杖については「杖は各キャラクターに合わせて、ひとつひとつ違うんです。主人公のニュートは魔法動物に夢中な人で物に執着がなく手入れもいい加減。なので、トランクもそうですが使い古されたようなあまり手入れされていない感じを出しています。それと杖の持ち手の部分が貝殻で出来ていて、自然のものが好きなニュートの特徴を現しています」と細かな造形についても教えてくれた。

劇中、ニュートが世界中から集め、愛情を持って共に暮らしている魔法動物たちの愛くるしさも本作の見どころ。少し恥ずかしがりやだが懐くと愛らしい小枝のような“ボウトラックル”、キラキラと光るものが大好きで、コインや宝石など見つけたら一目散に走ってお腹の袋にしまいこむ黒い毛が特徴の“ニフラー”など個性豊かな魔法動物が次々と出てくる。中でも、怖い目にあうと透明になって逃げ出す“デミガイズ”について、「『ハリー・ポッター』シリーズに出てくる透明マントは、デミガイズの毛で作られているんですよ」とピエール・ボハナ造形美術監督。『ハリー・ポッター』シリーズを観ていなくても十分楽しめるワクワクが詰まった映画だが、細かいところでのリンクはやはりファンには嬉しいポイント。是非、注目して観てほしい。

（2016年11月22日更新）

Check