ホーム > インタビュー&レポート > 「今回改めて食べることって大事だし、 作ってもらう人への感謝の気持ちを感じるようになりました」 『にがくてあまい』主演、川口春奈インタビュー
――原作は小林ユミヲさんによる人気コミックとのことですが、主人公マキを演じる上で原作から参考にした部分はありましたか?
お話をいただいてから原作を読ませていただき、もちろんマキの人物像は参考にしました。でも、原作を知らない方にも彼女の魅力を伝えたいと思ったので、そこにとらわれすぎずキャラクターを作っていく努力をしました。
――キャラクターを作っていくときにとくに気を配ったことは何だったんですか?
表情にメリハリをつけて思い切りの良さを表現するよう気を配りました。完璧じゃないし、不器用なんだけど憎めない。失敗しても全力でまっすぐ頑張る。仕事に全力で頑張っても結果はそう簡単にはついてこないものですよね。映画を観た方が「それ分かるわ~」と好感を持ってくださるような、いろんな表情をみせることがマキちゃんの魅力を伝える一番の方法かなと思いました。
――確かにマキの一喜一憂は観ていて清々しい。表情と共に感情表現がストレートで天真爛漫なマキは川口さんにぴったりな役だと感じました。
立場も年齢も置かれている環境も自分自身とはまったく違うので、彼女の性格や彼女の弱いところ苦手なものを理解した上で、どうやったらそこに嘘偽りがなく、等身大のまま演じられるかを今回とても考えました。働く女性を演じたのはほぼ初めてですし、子どもみたいに泣いたり、恋したり、呑んで倒れたり、いろいろと忙しい役ではありますが(笑)、とても楽しく気持ち良く演じられました!
――また、何でも本当に美味しそうに食べる姿が良かったです。
あれは、本当に美味しかったからです! 美味しい表情は素のわたしがそのまま映っています。
――ゴーヤを使った料理などオーガニック野菜料理の数々を提供するのが林遣都さん演じる渚。林さんは本当に料理がお上手なように見えました。
普段はあまりされないらしいのですが、今回かなり練習されたらしくて、指を切ってしまったりしていました。わたしは食べるばかりで申し訳なかったですね(笑)。
――川口さん自身はお料理されるんですか? この映画に関わったことで食べ物への興味が広がりましたか?
料理は、たまにすることもありますがあまり得意ではないです。美味しいものを食べに行ったりするのは以前から関心はあったんですが、今回改めて食べることって大事だし、作ってもらう人への感謝の気持ちを感じるようになったと思います。
――食材は丸ごと食べるのがいいという意味の“一物全体(いちぶつぜんたい)”という言葉が映画には出てきますよね。
固いところ、苦いところに栄養があったりする。この言葉は、今回初めて知りましたが、食べ物だけではなく人にも置き換えられる深い言葉で勉強になりました。
――そこと繋がるように、映画は苦手なことに挑戦することで、新しい自分を発見できるということが描かれています。川口さんが今克服したい苦手なことな何ですか?
苦手なものと言えば“人”かもしれません。人見知りで、思っていることを伝えるのが下手なんです。だからマキちゃんみたいにはっきりとものが言えたらいいのになぁと思いました。
――また、本作は始まりと終わりでマキの最優先事項についての台詞が出てきます。川口さんにとって今の最優先事項は何ですか?
自分自身だと思います。まずは自分のことを知ること。周りの人のほうがわたしのことをよく分かっていたりするなと感じることがあるんです。仕事も大事なんですが、仕事をするのにもまずは自分がしっかりしなくてはいけないなと思っています。
――では、仕事・女優としての目標は?
今はまだまだ場数を踏んでいろんなものを吸収していくことが大事かなと思っています。その先に幅広い役柄を演じられる女優になれればいいなと思います。ひとつひとつの作品ごとに顔が違って観えるような女優になりたいです。
――では、最後に。
わたし自身が観ても面白いなと思う漫画チックでコミカルな設定ではありますが、全てがコメディというわけではなく家族の話に触れていたりしてしっとりと温かくなる部分もあります。ぜひたくさんの方にご覧いただきたいです。よろしくお願いいたします!
(2016年9月12日更新)
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