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もはや伝説! 大盛況となった塚口サンサン劇場での
「マッドマックス 怒りのデスロード」Screaming"MAD"上映の
みんなが知らない裏側レポート

 先月、塚口サンサン劇場で行われた映画イベント『マッドマックス 怒りのデス・ロード』Screaming“MAD”上映。チケットが数分で完売するなど、開催前から熱い支持を得ていたこのイベントは、当日もたくさんのファンが劇場を訪れ、関西ではちょっとこれまでにないほどの盛り上がりを見せた。そこで、このイベントに協力していたV-ZONEのUE神(ウエシン)さんにイベント大盛況に至るまでの裏側をレポートしてもらった。

 「北斗の拳」等、様々な世界のポップカルチャーに影響を与えたことでも知られるカルト映画21年ぶりの続編として、6月に公開されて以来、twitter等で社会現象とも言える拡がりをみせている映画『マッドマックス  怒りのデスロード』。
 
 旧作のキャストが来日出演した、非オフィシャルのファンミーティング「マッドマックス・コンベンション」等、関連イベントも大盛況。東京の地方都市にある老舗映画館、立川シネマシティが、ライブコンサート等で使用する低音再生用スピーカー「サブウーファー」を導入し、重低音を浴びるように体感する「極上爆音上映」を開催し、チケット即完売が続出する現象まで起こっていました。
 
 そんな中「西では無いのか?」のファンの声に、大阪の地方都市、尼崎の老舗映画館、塚口サンサン劇場が、ライブ・コンサートのように歓声をあげながら、映画を鑑賞する「screaming MAD上映」を企画。コンベンションのサポート等、マッドマックスのイベントを大阪のトーク・ライブハウス、ロフトプラスワンWESTで3回も開催していたV-ZONEに、上映会のサポート依頼がきました。当初は「絶叫上映」を盛り上げる“賑やかし隊”を集めて欲しいとの依頼でしたが、「マッドマックス大好き」な連中が集まり、準備期間が一週間の企画はいつの間にかどんどん膨れ上がっていきました(笑)。
 
 予算が無い中の工夫として企画された「screaming MAD上映」でしたが、ファンの声はやはり、体感度の高い「大音量上映」を期待する声が多く、何とかならないのか?と試行錯誤。そうしていると友人から、ステージの下が全てサブウーファーのライブハウス「SOCORE FACTORY」に音が大きくなりすぎる為にはずされた、サブウーファーがあるとの情報が!! 普段からバンドのライブでお世話になっていたので、早速連絡。格安で貸していただけることになり、音響問題が解決へ。
 
 更に体感度を上げるため、昔の東宝東和がホラー映画の劇場公開時にやっていたような、劇中の登場人物が場内を練り歩くようなギミックがあれば面白いのでは…となり、次はマッドマックスのコスプレイヤーを探すことに。知り合いの方に見せていただいた、SNS 投稿で「デスロード」に登場する濃いキャラクター群の中でも、ぶっちぎりの存在感を魅せていた、悪の親玉「イモータン・ジョー」のマスクを完全に再現されていた、特殊メイクアップスタジオ、KID'S COMPANYの仲谷さんに連絡。「上映会には是非参加したいが、アレはマスクしか制作してなくて、全身のコスプレは一週間では無理。一晩考えさせてほしい」とのことでしたが、翌日「デイティールの細かさに対して、特にうるさい(であろう)、マッドマックスファンは怖いが、やってみます!!」との返事が。しかもキッズカンパニーの特殊メイクアップアーティスト総出で、劇中に登場する「焼き印」をそっくりに再現するメイク販売までやっていただける事になりました。
 
 並行して、もともと劇場から依頼されていた「絶叫上映」を盛り上げる“賑やかし隊”、劇中に登場する狂信的暴走集団ウォーボーイズの名を借りた「V-ZONE ウォーボーイズ」の召集も進行。今回の「デスロード」は、映画『味園ユニバース』にも出演していたロックバンド「赤犬」等、関西で活躍するミュージシャンやアーティストにも多大な影響を与えており、関西のアーティストでも特に盛り上げ上手な方々で、「マッドマックス大好き」を公言してる方々に、片っ端から連絡することに。当日予定がすでにある方が多かったのですが、「なんとか調整して、参加したい!!」と小学生レベルの情熱で(笑)、20人以上のウォーボーイズが参加する事になりました。
 
 上映会3日前にやっと音響設備のリハーサルを開始。当初スクリーン4の上映のみの予定でしたが、劇場側から同時上映されるスクリーン3でも音響を足してほしいとの依頼が。音響の調整を担当している方に、追加のサブウーファーを手配してもらい、何とか対応。上映会前日、追加のサブウーファーも設置で迫力倍増のテスト上映。立ち会ったV-ZONE メンバー全員がテストだということを忘れ、作品に感動し、泣いてしまう没入っぷりで準備完了。
 
 そして迎えた、上映会当日。楽屋に着くと、机にズラリと並べられた、イモータン・ジョーのコスチュームが。実は、本編でイモータン・ジョーのコスチュームは二種類あり、時間の関係でどちらかしか無理だろうと思っていたのですが、しっかり二種類ありました(笑)。
 
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 製作された、KID'S COMPANYの仲谷さんに聞いてみると「通常業務もあったので、製作期間は実質3日ぐらいだった」とのこと。「コーナンに同じネジが無かったので、型を造って自作した」という細かいディティールも完璧で、流石プロ!!とびっくりしました。
 
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 ライブを終えて駆けつけてくれた、石井モタコくん(オシリペンペンズ)等々、続々と楽屋に登場する、V-ZONE ウォーボーイズ達。それと同じころ、特殊メイクブースもオープンし、上映会のチケットが買えなかったお客さんを含む、ウォーボーイズ&ガールズが、焼き印を求めて大行列を作っていました。そこには、「マッドマックス大好き」というMBSアナウンサーの西靖さん&関西の人気情報番組「ちちんぷいぷい」のカメラクルーも入り、異様な盛り上がり。しかも、着付けに二時間以上かかって完成した、イモータン・ジョーがその場に登場すると、劇中でウォーボーイズが連呼する掛け声、「V8」コールが巻き起こり、希望者殺到の写真撮影会に突入。上映前からすでに場は出来上がってました(笑)。
 
 上映会本番、今回、V-ZONEウォーボーイズは1Fのスクリーン4と地下3Fのスクリーン3、10分の時間差で同時上映されている、同作品の両方を盛り上げなければならず、タイミングはぶっつけ本番でした。
 
 先ずは、スクリーン3、イモータンジョーが登場するだけで、巻き起こる大歓声と「V8」コール。鳴り響くクラッカーに紙吹雪、上映前に場内は大狂乱のMAD状態です。上映が始まり、イモータンジョー、最初の登場も盛り上がり、スクリーン4へ階段を走って移動する、V-ZONE ウォーボーイズ達。すでに汗だくです(階段の登り降りが一番キツかったとの声あり(笑))。スクリーン4もバッチリ出来上がっている観客と、MADに盛り上がり、後は両スクリーンの盛り上がりに対応して、ウォーボーイズを振り分けて、盛り上げていきました。
 
 上映終了後、「最高でした!!」と蔓延の笑顔を浮かべる皆さんを見て、本当にやって良かったと安堵しながら、上映会は無事終了しました。
 
 最後に、サンサン劇場の戸村さんに、「Screaming MAD 上映」を何故、開催したのか聞いてみました。
 
 「単純な理由ですが「こんなことをしたら面白そう」に尽きます。映画館で、静かに映画を観ていただくのは大前提ではあるのですが、映画と一体化できる体験は「映画館」という場所でしかできないと思っています。映画館の楽しみ方の選択肢のひとつに今回のような上映スタイルを入れることで、映画館で映画を観る楽しみや、映画館って楽しい場所であることが、一人でも多くの方に伝わったら嬉しいです」
 
 大狂乱の大成功に終わった、大騒ぎの上映会でしたが、なによりも凄かったのはやはり『マッドマックス 怒りのデスロード』の作品としての素晴らしさだと思います。公開後によく、他の作品を「デスロードみたいな作品」と言っている映画評を見かけます。台詞がほとんど無く、壮絶なアクションが続く、斬新な作風ですが、そこには他の様々な作品でも語られてきた、「最悪でも、前に進め」というシンプルで普遍的なメッセージが込められていると思います。今年は娯楽映画の当たり年で、いい作品が沢山、公開されていますが、やはり残る作品は何かしらのメッセージを持っています。そんな別のマッドマックスに出会うことも、映画の楽しみ方のひとつだと思います。そんな出会いを探して、また映画館で遊びましょう(笑)!!
 
文:UE神(V-ZONE)



(2015年9月 2日更新)


Check
劇場横でスタンバイするV-ZONE ウォーボーイズ

Movie Data





©2015 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED

『マッドマックス
 怒りのデス・ロード』

<R15+>
●9月4日(金)まで、梅田ブルク7
 9月11日(金)まで、塚口サンサン劇場
 にて上映中
 10月3日(土)より、アースシネマズ姫路
 にて<4DX><3D>字幕にて公開

出演:トム・ハーディ
   シャーリーズ・セロン
   ニコラス・ホルト
   ヒュー・キース・バーン/ほか
監督・脚本・製作:ジョージ・ミラー

【公式サイト】
http://www.madmax-movie.jp

★イベント当日のPhoto Album★
https://www.facebook.com/piakansai/posts/945631898808836

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V-ZONE スケジュール

●9月8日(火)19:30
V-ZONE〜廃盤、絶版ビデオ祭りPart9 〜青春残酷物語〜
●10月24日(土)19:00
V-ZONE〜廃盤、絶版ビデオ祭り×別冊映画秘宝プレゼンツ『80年代 悪趣味ビデオ学 ハロウィン!〜ビデオが殺しにやってくる!』

※詳しくはロフトプラスワンウエストのHPをご覧ください。